所感:「NOZZY’S HOTEL MYSTERY by 野島伸幸」
NOZZY’S HOTEL MYSTERY by 野島伸幸とは?
2020年に熊本で行われたマジックイベント「九州 CLOSE-UP MAGIC CONVENTION」においてはじめて販売された、マジック・クリエイター野島伸幸氏のパケット・トリック。
その後WEB上で個数限定販売された。機会があればイベント等でまた販売されるかもしれません。
専用のカード、ワレット、DVD、DL用カード(DVDと同内容)のセットである。
所感
『現象』
3段構成のホテル・トリック。
1段目
2枚のジョーカーと4枚のクイーンを示し、ジョーカー2枚を離してテーブルに置き、それぞれのジョーカーの上にクイーンを2枚ずつ乗せて、3枚のパケットを2つ作りますが、いつの間にかジョーカー2枚のパケットとクイーン4枚のパケットに分かれます。
2段目
2枚のジョーカーをテーブルに置き、手には4枚のクイーンを持っていますが、瞬時にクイーン4枚とジョーカー2枚の位置が入れ替わります。
3段目
4枚のクイーンが実はキングでした。そしてキングの裏はカラフルでした。
2通りのハンドリングを解説。
- 1つはパケット・トリックとして完全に独立させた、ワレットからカードを取り出して演じるもの。
- もう1つはデックからカードを抜き出して行う、バックの変化を行わないハンドリング。
1段目の現象は野島氏がすでに発表しているホテルミステリーの手順と同じ(どのホテルミステリーと同じかは伏せておく)で、2段目以降の現象からが初お披露目になる。
野島氏自身はデックを使う3段目で終わる手順の方をよく演じているそうな。
2段目までがホテルミステリーのストーリーラインに沿った非常にクリーンな現象であり、3段目はホテルミステリーのストーリーに対する野島氏のアンサーとも言うべき「別に間違いが起こっても問題はなかった」という一部の人が非常に喜びそうなクライマックスを付加している。
バックの変化は出来るからやった、反省はしてない。というようなことを言っていた気がする。
ホテルミステリーのような異なる枚数のパケット交換、いわゆるオフバランス・トランスポジションは、現象前後で明確にパケットの状況をディスプレイ出来ることが評価に直結する思っているが、本作品は現象が起きたあと、フェアにマットの上でスプレッドして示すことが出来、非常に不思議である。
ワレットから取り出すハンドリングは、ワレットにセットさえしておけば簡単に演じれる・持ち運びも楽なので(リセットも容易)色々便利である。
のだが、パケット・トリックを演じる際はデックから取り出してから!というハーマン派の人が多かったりするのであろうか?
解説されてはいないものの、デックから抜き出してかつ最後にバックの色を変化させることも可能ではある(と思う)。
解説されていないゆえ構成は自分で考えるしかないが、参考にするとしたら野島氏の作品「THE END」の中で使っている構成が一番良いと思う(問題があるとすれば「THE END」が限定販売品なことであろうか)。
親和性が高く簡単に本作品に適用できるであろう。
ただ、どうあがいても少し大掛かりなショー・アクトのようになってしまうと思うが。
パケット・トリック好き、不思議なことのためなら労力を惜しまない人、野島ファンにおすすめ。
余談だが、野島氏のファンティア(ガッツリプラン以上)に加入していると、販売に先行して解説がされたり、既存作品の新ハンドリングなんかがたびたび配信されるのでお得だったりする。
2020.4.3追記
「MAJION LIVE LECTURE ―野島伸幸 カードスペシャル―」において、バックの色変化をしないバージョンの解説が行われました。