所感:「Rendez Vous by Jean-Pierre Vallarino」
Rendez Vous by Jean-Pierre Vallarinoとは?
フランスの巨匠Jean-Pierre Vallarino(ジャン・ピエール・バラリノ)のカードマジック作品集。
発売は2003年。
バラリノ氏ってめっちゃコンスタントに作品を発表しているイメージがあります。
1995年くらいのマジックのカタログに「バラリノの新作!」とか書いてあった気がします。
最低でも25年近くも新作出し続けてるってすごくないですか?
所感
Dream Wonder
4枚のブランクカードとサインカードを使ったサインドカード現象。
ギミックを使うことで消失の説得力が強くなってる感じ。
必要物の準備は容易な部類である。
ただ、続く「Leader Aces +」で似たサインカード(ハートの5とハートの6、中央部にサインしたシールが貼られている)を使って、さも連続で演じられますよみたいな雰囲気を醸し出したことは許さないよ!
前後に別のマジックを演じるには工夫が必要だと思う。
類似なトリックであれば、松田道弘氏の「サインド・カードのパケット・トリック仕立て」(書籍『魅惑のトリックカード・マジック』収録)とかの方が上質な気がする。
こちらは前後に別の手品を演じるのも楽かと。
興味があればそちらも調べてみるといいかも。
Leader Aces +
1枚サインしてもらったカードをデックに戻す。
テーブル上のスペードのA+3枚の適当なカードを乗せ、スペード以外のAはデックに戻します。
スペードのAのところに4Aとサインカードが集合する。
ギミックにサインさせる系。
裏を見せずにフォースする方法がいくつか解説されてたので、その辺りも参考になる。
「Vallarino Staircase Control」というマルチプルシフトが解説されており、非常に有用だと思いました。
Sandwich Tombant
フェアなサンドイッチカード。
「Vallarino Flight Switch」という変わった技法を使っている。
習得しやすく、見た目は北原氏がやってるような(DVD『TECHINT』に収録されてるSpin Shot)、回転して出てくるあれみたいなもの。
正直、スイッチのときにこんな派手なことしたら無駄に勘ぐられるので別の場所で使うか、回転を自重気味にしたほうが良いのでは?と思ったりはした。
ただ全体的には非常に合理的でフェア。
良いとおもんます。
Collectors
コレクターズ現象。
「Vallarino Twisting Change」が良い。
コレクターズ現象に使えるコントロールのアイディアの中でも、デビッド・リーガル氏のものと双璧を成すのではないかと思った。
これは色々と捗りますね。
Transpo Pocket
4箇所のポケットに入れたエースと、手元のキング4枚が一瞬で入れ替わる。
Guy Hollingworth氏の「Ambidextrous Interchange」(DVD『THE LONDON COLLECTION』収録)とかあんな系。
もうちょっとカジュアル(難易度を)にした感じ。ジャケット使うトリックの入門に良いかもしれない。
内ポケットとかも使うのでジャケット必須。
日頃から着てる人は練習しておくと良いんじゃないかなぁ。
でもこれで入門かぁ、きついかなぁ。
Relax Control
サインカードが、ジャケットの内側から取り出した封筒の中から出てきます。
サインしたカードはデックに戻した後、観客にシャッフルしてもらえる。
そして受け取った後はほぼ無駄な操作なしで箱に戻しているため、めっちゃ不思議。
なんか見たことないギミックカードが色々な操作を可能にしているのだが、ギミックを使っているからといって決して簡単ではない。
上手いやつがギミックを上手いこと活用したら、なんかすごいことなるみたいな典型かもしれない。
Coupe sur les As
カットするたびにエースが出現する。
バラリノ流のカッティング・エースが学べます。
Benjamin Earl氏の『リアル・エース・カッティング』とかが好きな人におすすめ。
デックのボトムにチラ見えするカードが都度違う・デックを自然にひっくり返す動きが多いのでその辺り参考になるんじゃないかな。
Iris Apparition
4枚のエースがぱっと出現します。
スティーブ・フリーマンのオープナーに似たディスプレイで4Aが出現しますが、リフルシャッフルはせずにカットの動きのみで達成しています。
どうせ好きでしょう?練習すればいいですよ。
Reset Rapid
4枚のエースと4枚のキングが入れ替わります。
resetと入ってはいるけど4×4のトラスポジションですね。
実演ではちょっと微妙に見えましたが、最後の処理(パームのリプレイスメントと言って良いのか?)は割といいかもしれません。
他の4×4トランスポジションと比べると難しい部類。
Triomphe Colore
青色のデックを裏表混ざるようにシャッフルするが、カードが揃い、4枚のエースだけがひっくり返っている。
残ったデックを見てみると赤裏である。
coloreのeはフランス語のeの頭にピッってなってるやつだ。
カラー・スタンナー・エースとでもいえばいいのか、トライアンフやらカラーチェンジング・デックやら色々混ぜてみました作品。
非常に説得力も強い。
セットも手順も覚えやすいので習得しておくと便利かもしれない。
Promenade
プログレッシブ・エーセスと何かを組み合わせたようなトリック。
レギュラーのみゴリゴリのスライトを使ってAを集合させていく。
賢さのカケラも感じないただの力押しだこれ。
練習するにはいいかもしれない。
Zenneth Kok(ゼネス・コック)氏の「Room For Maneuver」と似てるかな?と思ったけど現象の時点で全然違かった。最初のレイアウトくらいしか共通点なかった。
Bonus:Effets Multiples
4枚のカードを取り出して裏向きで置いておく。
1枚のカードを選んでもらい中に戻し、観客に20までの数字の中からひとつを言ってもらった後、感覚だけでその枚数をデックから取り上げる。数えるとぴったりである。
残ったデックのトップから選んだカードが現れ、最初に置いておいた4枚のカードの合計数が観客の言った数字である。
実演のみのトリック。
あまり、好きではない感じであった。
最後に
ゴリゴリのスライトを使う手順ばかりで、今現在観ても(2020年時点)面白いアイディアや使える技法も多く、2003年発売のDVDとは思えないものでした。
カードフリークは観て損はないDVDだとおもいまーした。