所感:「MAJION LIVE Lecture -もっさん.-」

2021-05-29

MAJION LIVE Lecture -もっさん.-とは?

2019.05.25に行われた、MAJION主催のLIVE Lectureのもっさん.回。
実践で活きるコインマジック、というテーマでのレクチャーになっている。

もっさん.は高校生当時から「もっさん.(ピリオド)」という名前で活動していた。
そのため、もっさんの後ろに変な.(ピリオド)が付いていることに気づく人がいるかも知れないが、それは名残みたいなものである。

今現在はどの呼び名が正式なのであろう?ピリオドが付いていない表記も目立つようになっている。

購入ページは下のリンクからどうぞ。

 

*もっさん.のデビュー作『MONSTER』

所感

・もっさんは「左利き」
・前半はコイン・アセンブリ系のトリック
・聞き手に野島氏&堀木氏(通常は野島氏のみ)

シンプルアセンブリー

現象カード2枚を使ったコイン・アセンブリ。フラッシュ・マトリックス。

DVD『MONSTER』発表時にはすでにあったが、コンセプトに合わなかったという理由で収録されなかったものだとか。

無駄な動き無く一瞬で集る。必要な技法等はすべて詳細に行われる。なにこれ丁寧。

カツカレー・スティール

コインのスチール技法。今回のレクチャーにおいての必須科目
コインのどこに指を当てるか、力の入れ具合は、指の形は?マットからの高さは?等軒並み詳細に解説されている。
初心者におすすめ聞かれたらマジオンレクチャー・もっさん回を勧めることになるかもしれないと、このあたりで感じた。

フラッシュ・マトリックス

現象カードを4枚使ったフラッシュ・マトリックス。

*映像は『MONSTER』から。

『MONSTER』に収録されていたもの。
解説は丁寧にされており、観客から角度・タイミング等『MONSTER』ではわからなかった注意点多数。

マトリックス もっさんver

現象4枚のカードを置き、1枚ずつコインが集合していく「普通」のコイン・アセンブリ。

上記の「フラッシュ・マトリックス」実演後、普通のマトリックスを演じる。という発言から、実演だけ見たいということで実演された。

はずだったが、結局解説まできちんとしてくれた。
ピックアップ・ムーブの工夫等、細かいコツの解説が助かります。

リバース・マトリックス

現象カード2枚を使うバックファイア。

『MONSTER』にも収録。
これまでの手順とは異なりトスバニッシュやパームの操作が入る。
そのため、利き手・コインのレイアウトには注意が必要。

Right Caption
ゆき
今までのノリでもっさんと同じように手順をなぞっていると混乱するので注意

フェイクパス

もっさんのフェイクパス。
残像がすごい。トス・バニッシュがしっくりこないと感じてる人は見たほうが良い。

パスは体に対しどの位置で行うかや、パスした後の両手の動きなどの話にも触れており、コインマジック初心者にもおすすめできる。

Right Caption
ゆき
これ覚えればもう大概何でも出来ると思います

フェイクパス2

トス・バニッシュとリテンション・バニッシュの中間のような技法。
前述のフェイクパス(1)はコイン以外でも使用できるが、こちらはコイン特化になっている。

初心者は、フェイクパス(1)が満足できるレベルになったら挑戦でしょうか。

Right Caption
ゆき
まぁ、すぐにやりたくなるとは思いますが

ダイヤモンド・マトリックス

現象FISMで演じた3段構成マトリックスの2段目。コインをいつもの四隅に配置するパターンではなく、ひし形に配置する。カードは4枚。

FISMで演じた際、デックから4枚のカードを取り上げる(エスティメーションで)たびになぜか会場が盛り上がった思い出を語っている。

おさらい

ここまで解説された手順をまとめて再実演。

Right Caption
ゆき
良いタイミングで入れてきました

バックファイアアセンブリー

現象カード4枚を使うバックファイアタイプのコインアセンブリ。

『MONSTER』にも収録。
もっさん曰く「今見るとあんま面白くない、ダブルピックアップをしたかったんだろうな」とのこと。
ダブルPの解説はこの時点ではスルーされ、後で質問が来た際に行われる。

完全即興のアセンブリー

マットがないときはどのアセンブリをするのか?という質問に答え、マットをどけた状態で行う。
いつもはカードじゃなくてお札でやっている、ということで千円札2枚登場。

Right Caption
ゆき
流れとしては「シンプルアセンブリー」を参照すればよいかと

カツカレー・スティール補足

質問に答えるコーナー
ムーブ時の腕の位置についての話。
立って演じるとき等テーブルの高さが通常と異なるときはどうするか?といった内容。

Right Caption
ゆき
そういえばこの技法名の由来について言及されましたっけ?

ダブルスティール

「バックファイアアセンブリー」でスルーされていたダブルピックアップの解説
『世界のコインマジック』に解説されているらしい(見つけられない)。
(追記:『世界のコインマジック2』の「8枚のコインマトリックス」で解説されているようです)

Right Caption
ゆき
コツを解説してくれているが、なにこれ難しい。野島氏も混乱してる

インビジブル・ビジブル

現象スリーコイン・プロダクション。

デビッド・ウィリアムソンの「トーキング・コイン」のウォンドを使わないヴァリエーション。
ウォンドを使わず音を出すあの技法は、難易度のため『MONSTER』収録時物議を醸した。

かなり詳細に解説されており、マジオンスタッフ堀木氏によってリアルタイムでコツが言語化されていく。
『MONSTER』では諦めた人でもワンチャン出来るようになる可能性あり

3FLY

現象スリーフライ。

『MONSTER』収録のもの。詳細な解説はDVDを参照のこと。
ここではDVDでは語られていない部分をメインに話していく。

『MONSTER』を観ていない人は、解説の初手で思わず笑ってしまう気がする。

Right Caption
ゆき
コインは、普通、そんな風には、動かない

余談だが、マジックマーケット2018で脇坂将太氏がDLコンテンツの販売していた。
その中にこの3フライで使われている技法の延長上にあるようなアイディアが収録されていた。
脇坂氏のものは現在入手が困難だが、お持ちの方は見直したら面白いかもしれません。

また現象をどこで起こすか、観客にどこを見せるかといった話は、あらゆる3フライに応用できるので聞いておくべきでしょう。

視聴者のリクエストを受け、「コインを食べる動き」が詳細に解説される。

鼬 ―TEN―

現象コップやポケットを使わない、スタンディングで出来るワイルドコイン。

週刊マジオンにゲスト出演されたときに解説されていたものと同じ。(週刊マジオン2016年10月)
クライマックスのビジュアルさを追求した作品。

また、作品名の由来と命名の大切さについても言及される。

NUDE

現象1枚のコインのパーフェクトバニッシュ。「全裸」でも出来ることからこの名前。

映像は『MONSTER』から。

『MONSTER』収録のものを視聴者リクエストで実演。
詳細解説はDVD参照で、ここではホールドのコツ・適したコイン・コンディション等について語る。

Right Caption
ゆき
実演の前、服を脱ごうとしているのがジワる

フィンガーパームについて

フィンガーパームのコツについて3人で語る。

最後に

コインアセンブリ系トリック解説の濃度は特筆に値する

カードとコインを使ったアセンブリ系のトリックを習得するのであれば、知る限りではこのDLコンテンツがベストであると思うし、人から聞かれたらこれをおすすめする。
観られると厳しい角度角度に強くするコツコインのどこに指を当てるか?、手のひらのどこで保持するか?、コインがぶつかって音が出ないようにするには?等挙げればきりが無いが、初心者が感じる疑問によく切り込んでいる。

Right Caption
ゆき
チンカチンク系のトリックが収録されていれば完璧だったのだろうが、そこはマジオンレクチャー後に発売された「Only Four」に譲ったと思っておく

今回のメインレクチャラーもっさん+マジオンスタッフ2名(野島氏&堀木氏)という構成は非常に良かった。
優秀な教師が一方的に話すだけの初心者向け教材よりも、遥かに優れた教材でした。

後半のトリックは前半と打って変わって、視聴者たちの心を折りたいのかと問いたいレベルの高難易度のオンパレード
出来ないトリックは飛ばせば・・・と言いたいところだが、参考になる話を合間合間に入れてくるので始末が悪い。

基本的には『MONSTER』だけでは解説しきれていなかったトリックのコツ等を補完するものが多くなっている。
『MONSTER』のレビューで「~が出来ない」という意見を見かけるが、コツを聞くことでかなり習得が容易になるので(一部はわたしでも出来るようになった)、なんかもう腕に自信のある人はセットで『MONSTER』買えば良いんじゃないかな?

といった感じで、前半は初心者に勧める用リストに加えたい一品、後半はマニアに投げつける用の一品でした。

製品情報所感一覧表示へ戻る