所感:「THE 5th ASSISTANT by Geoff Weber」
THE 5th ASSISTANT by Geoff Weberとは?
マジックメーカー・Blue Crownから発売された、Geoff Weber氏のギミック。
ポケットが空であることを示して、そのあと望んだアイテムを出現させることが出来ます。という触れ込みのギミック&DVD。
所感
- ギミックの装着は安全ピンで
- 付けっぱなしでも特に違和感はなさそう
- 観客に手を突っ込まれたら一発でバレるよ
PVを見て「もしかしてそれだけなのか・・・?いや、わざわざそれだけのものを出すわけがない」と気になっていたのだが、セールで安かったときに買ってみたのを思い出して開けてみた。
これだけなら、フランシス・カーライルがホーミング・カードの手順でやっていたという「ポケットにズボンの裏地と同じ色のハンカチを入れておいて、引き出してチラッと見せる」(意味が分からない人はすまない。これがギリギリだと思っている)サトルティと変わらない・・・。
というのが、ギミックとPVだけから思った感想である。
というわけで以下は解説を見た後。
紹介・装着・使用方法
最初にギミックを見たときに感じた印象を超える情報は特になし。
ポケット内で「仕切り」の機能を果たすとか、そういったアイディアがあったりするのでは?と期待しましたがその辺はありませんでした。
他に印象的だったのは「左右のズボンのポケットを同時に引っ張り出して改める」というのは、ちょっと絵面がひどいなぁ。とかそういったこと。
Spectator’s Ring to Pocket
観客の指輪が消えて演者のズボンのポケットから出現する。
特に語る内容はない。
人から指輪を借りるのであれば、もっと丁重に扱い、ふさわしい場所から取り出すべきでは?と思った。
Cards to Pocket
カードが2度ポケットに移動、3度目は手に持ったカードが1枚だけ、その他デックは全部ポケットに移動する。
ホーミング・カード+αのような手順を、パームなし(というかスライトなし)にした感じ。
無理はない。パームが出来ないという人にはいいかもしれません(練習しろと言いたくはありますけど)。
ダイ・バーノン氏が「トラベラーズを演じ始めたとき、最初は微妙な反応だったが、サインをしてもらうようになってから反応が変わった」というようなことを言っていましたが、この手順を観ると、トリックを観た観客がどういう想像をしていたのか、なんとなく分かるような気がしました。
Hold Up Routine
紙袋の中に「紙幣」「スマホ」「指輪」を入れると消失し、それぞれが元の場所に戻っている。
トミー・ワンダー氏のあの手順を思い出す現象。
時計がないだけで途端に演じやすいような気がしてきました。
そうですね、今時間見るならスマホですよね、はい。
手軽にトミー・ワンダー氏の手順を演じた気分になりたいときにはいいかもしれませんね。セットもスライト的にも比較にならないほど簡単です。
Pocket Lint
ズボンのポケットの中にあった綿埃の塊3つを使った「トゥー・イン・ザ・ハンド ワン・イン・ザ・ポケット」。クライマックスでは大きな綿埃塊が出現する。
現象そのまま。
ただ、スボンのポケットを引き出すという動作の理由付けが出来ているので、他の手順よりも説得力があるというか、「そんなことせんでも、もっと他に良い改め方あったやろ」みたいな感じにはならなかった。
「THE 5th ASSISTANT」というギミックは、コンテキスト無視してとりあえずポケット引っ張り出すの止めたら結構いいのでは?とこの辺で思い始めました。
観客に「ポケットに最初から入れてたのでは?」と想像させてからが本領発揮みたいな?
じゃないと空回り感が半端ない。
Last Coin
ポケットに残っていた最後の小銭に、観客が最初に言った年号が書いてある(貼られたシールに)。
「THE 5th ASSISTANT」を有効に利用できているかと言えばノーでしょう。
それ以上はノーコメントで。
最後に
当たりかハズレかで言ったら、多分ハズレ寄りだと思う。
やりたいと思える手順はほぼなかった。
ただこの「THE 5th ASSISTANT」のギミック自体は、適切に使うことで手品のクオリティを一段上に引き上げることが可能なポテンシャルはあると思った。
注意しなくてはいけないと思ったのは、ラッピングやトピットやスリービングのように、連続で使えば使うほど薄っぺらいというか危険になっていくのでそこは念頭に置きたい。
スライトに自信のない人が、簡単にパーム行うためのギミックと・・・と最初は思っていたが、スライトが一定以上のレベルで出来る人が、さらに不可能性を追求したいときに考慮に入れるようなギミック。なのではないかなぁと思いました。
個人的には、非の打ち所のないパームをしたときに観客が想像するものが何かを思い出させてくれたので、その辺はちょっと評価したいとか、そんなふわっとした感じでした。