続・マジックの現象別分類法について
マジックの現象分類についての2回目。
前回記事を読んでいない方は先にそちらからお読みください。
今回紹介する現象分類、S. H. Sharpeの「ANALYSIS OF CONJURING FEATS」とWinston Freerの「SEVENTEEN FUNDAMENTAL EFFECTS」は日本ではマイナーなものです。
多分。
名前は聞いたことあるけど、内容は知らない・・・。という人向けの情報だと思ってください。
それではS. H. Sharpeの「ANALYSIS OF CONJURING FEATS」からどうぞ。
S. H. Sharpeの「ANALYSIS OF CONJURING FEATS」
1. 「出現」Productions (From not being to being)
2. 「消失」Disappearances (From being to not being)
3. 「変化」Transformations (From being in this way to being in that)
4. 「移動」Transpositions (From being here to being there)
5. 「超自然的現象」Natural science laws defieda. 「反重力」Anti-gravity
b. 「アニメーション」Magical animation
c. 「コントロール」Magical control
d. 「貫通」Matter Through Matter
e. 「マルチポジション」Multi-position
f. 「復活」Restoration
g. 「不死身」Invulnerability
h. 「急速成長」Rapid germination6. 「精神的現象」Mental phenomena
a. 「予言」Prediction
b. 「占い」Divination
c. 「透視」Clairvoyance
d. 「思考の伝達」Telepathy or thought transference
e. 「催眠」Hypnotism
f. 「記憶術」Memorization
g. 「フラッシュ暗算」Lightning calculationsDariel Fitzkee著『The Trick Brain』より引用
大項目自体は6つですが、5.「超自然的現象」/6.「精神的現象」はさらに小項目に分かれており、個別にカウントしたら全部で19項目で、ダリエル・フィツキーの現象分類とほぼ同数で内容も似ています。
ダリエル・フィツキーのものより古い分類なので、ここから発展したってところでしょうか。
5-e「マルチポジション」は、おそらく「チャイニーズ・ステッキ」や「インビジブル・ゾーン」のような連動して動くはずのないものが連動しているかのように動く、といった現象なのではないかと思います。
5-h「急速成長」は「不思議なマンゴーの木」のような現象の手品でしょうか。
それ以外はダリエル・フィツキーの現象分類とさほど変わらないみたいですが、6つの大分類っていう考え方は興味深いですね。
続けてWinston Freerの「SEVENTEEN FUNDAMENTAL EFFECTS」という分類です。
Winston Freerの「SEVENTEEN FUNDAMENTAL EFFECTS」
1. 「出現」Production
2. 「消失」Vanish
3. 「位置の変化」Change in position
4. 「物質の変化」Change in material
5. 「形状の変化」Change in form
6. 「色の変化」Change in color
7. 「大きさの変化」Change in size
8. 「温度の変化」Change in temperature
9. 「重さの変化」Change in weight
10. 「磁気」Magnetism
11. 「浮遊」Levitation
12. 「貫通」Penetration
13. 「復活」Restoration
14. 「遠隔操作」Remote control
15. 「同調」Sympathy
16. 「占い」Divination (Comprising all feats of mental magic)
17. 「予言」PredictionDariel Fitzkee著『The Trick Brain』より引用
このWinston Freerの分類は「変化」に関する現象をかなり細分化しているようです。
はい、現象別分類についての紹介は以上になります。
前回記事でも書きましたが、紹介した現象別分類法を覚える必要なんてありません。
覚えなくたって手品をする上でなんの支障もありません。
ただ、現象にも分類があるということを頭の片隅に置いておくだけで、実際の演技を構成する際に役立てたり出来ます。
複数の現象のマジックをショーで演じれば、観客は「色んなマジックを観た」と思うでしょうし、ひとつの現象のマジックをひたすら演じれば「~~のスペシャリストだ!」と思ってもらえるかもしれません。
自分では違うマジックを演じているつもりでも、観客からは「同じ手品」に見えてるかもしれない。なんてことにも気づけたりするかもしれません。
また分類を理解すれば、効果的な音楽なんかも見えてくるでしょうし、相性の良い構成や台詞回しも見つけやすくなります。
この機会に自分の演じてるマジックを見直してみてはいかがでしょうか。何かよく出来る点を見つけれるかもしれませんよ。