備忘録:Avi Yapオンライン・レクチャーを観た
2020年9月30日、Shane Cobalt氏のPatreon(ファンサイトのようなもの)加入者を対象として、シンガポールのマジシャンAvi Yap(アビ・ヤップ)氏のオンライン・レクチャーが開催されました。
今回はそれの備忘録。
ZOOMでの開催だが、わたしはリアルタイムでの参加ではなく編集されたものを視聴した次第。
Avi氏はカードのカラーチェンジのDLC『Nova』やコインがビジュアルに変化する『NOMAD COIN』(Sultan Orazaly氏との共作)などで知られるマジシャンだが、どうやらコインマンらしい。
カーティス・カムがAvi Yapを紹介
アメリカ(ハワイ)のコインマン カーティス・カムがAvi Yapを紹介するところからスタート。
知り合った経緯とかそんなところ。
編集された映像からは分からないが、参加者にはJared Kopf(ジャレット・コッフ)氏やPaul Vigil(ポール・ヴィーヒル)氏といった面子もいたそうな。
氏のコインマジックの考え方について
氏の考え方なんかを語りつつ、コインの1枚プロダクションを少し解説していた。
角度的にはあまり強くないが、定点カメラからだと非常にビジュアル。
指先がほとんど動かないので、突然そこに現れたように見える。
TAKAHIRO氏がやっていた指先に持ったコインの消失(マジオン・ライブレクチャーの3flyのラストで行われていたワンハンド・バニッシュ)を逆回しにしたら、こんな感じになるかなーと思ったりしました。
コイン・アクロス
デビッド・ロスの「ウィングド・シルバー」(4枚のコイン・アクロス)を演じた後に、氏のコイン・アクロス(こっちは3枚)の実演と解説。
最短の動作でビジュアルに移動するアクロス。
どういう狙いを持って「ウィングド・シルバー」からこの手順へ至ったかとかの話いいですね。
ただここまで動作を最短で行ってしまうと、現象が起きるスパンが短すぎて観客がマジック・モーメントに気づけなそうかなと思いました。
片方の手に3枚集まるところなんかはいいんですけど、それぞれの手に2枚・1枚と持っていたのが1枚・2枚に瞬時に移動するところは、現象前後で視覚情報の変化が小さすぎてわかりにくかった。
事実わたしは初見時、何が起きてるのか気づきませんでしたし。
母国語で演じられてれば分かったかもしれませんけどね。
とはいえ必見のコイン・アクロスだと思いました。
ギミックを用いたコインの消失・出現
手のひらにコインを置いた状態で、空中へ溶けるように消える。
古典的なギミックを使ったコインバニッシュ、とても不思議。
フィン・ジョン氏が「最も美しい消失はこれを使ったものだと思う」というような発言をしていたのを聞いた覚えがあるが、これを見ると間違いねぇその通りだ。と頷きたくなる。
単純な消失・出現にとどまらず、スリーフライやチェンジへの応用なんかもされていて、面白いなーと感じました。
そういえば割と最近、マジックショップ「フレンチ・ドロップ」からDLCとして同じ原理のやつが出ていたような気がしますね。
CCC
3枚のチャイニーズ・コインとリボンを使った手順。チャーミング・チャイニーズ・チャンレンジ。
3枚のコインをリボンに通し、1枚抜け、2枚目が抜け、3枚目が抜けると見せかけて今まで抜けたコインが全部通った状態に戻り、3枚が同時に抜ける。という流れ。
クライマックスは堀木智也氏のDVD『SPROUT』に収録されていたクライマックスと同じ。
どの段の現象も非常にフェア。
ちなみにだが、観客として参加してた堀木智也氏がCCCを実演させられる(クライマックスのみ)という展開がありました。
コインリング
コインが指輪に変わり、またコインに戻るを繰り返す。
これやりたい。めっちゃビジュアルですやん。
ちょっとギミックが必要だが、作る価値あるで。
これを演じた後に処理して指輪マジックやるもいいだろうし、コインマジックをするもいいだろうし、すごく便利そうです。
あんなに単純なギミックなのにこんなに変化が綺麗に見せれるとは。と関心する。
透明な箱
透明な小箱からコインが出てきて、小箱にコインを入れると消える。
パース・フレームを別素材で行うような手順。
小箱にコインを入れるとき、カランって音がなって消えるのだが、マイザーズ・ドリームであの原理を使っているのは見たことあったけど(W.J.アルキンソンのアイディア)、クロースアップで使っているのは初めて見たなぁと。
知らないだけで色々あるのかもしれませんが。
透明な箱に限らず、色々なもので使えるアイディアだと思います。
コインに関するあれこれ
エリック・チェン氏のリテンション・バニッシュの練習方法や、サカー・バニッシュの話。
サカー・バニッシュはエリック・チェン氏のリテンション・バニッシュとモーションが全く同じなのでマジシャンでもころっと騙される。
カードのリバース技法
最後にカード技法が出てきた。
リボン・スプレッドしたカードをまとめるときに、1枚カードをリバースしつつパスするみたいな技法。
リボン・スプレッドしたデックのトップとボトムに2枚のQを置き、デックを揃えるとQが消えてデックの真ん中で観客のカードをサンドイッチしている。というような使い方や、予言のトリックに使ったりしていた。
まだ若干の粗さを感じるが、興味深い技法であった。
最後に
このレクチャーで解説されたトリックは、どれも気合が入ってた。
コインマンなら真似したくなるじゃろ。コインマンじゃなくても指輪とコインのとかしたくなるじゃろ。カーディシャンでも謎リバース技法とかしたくなんじゃね?
そういえばHarapan Ong氏もシンガポールでしたよね。シンガポールやべぇな。
DVD『Nova』というカード技法のDVDを出していたので、まさかコインマンだとは思いませんでしたが、観たら「あ、こやつうめぇなぁ」と。
そのうちコインをメインにした作品集とかも出たりするんでしょうかね、期待ですね。