みなさんは「奇術種あかし」という本をご存知でしょうか?
この本は、昭和26年に理工図書株式会社から発行された柴田直光氏の手品本で定価は当時180円。
この頃の日本には「マジック」を覚える手段というものがほぼ存在せず、数学の本の中に数理を利用したトリックが稀に載っている程度だったそうです。
そんな中、本格的なマジックのやり方が載っている「奇術種あかし」という本が颯爽と現れました。
当時は知られていなかったスライト達、オーバーハンド・シャッフル、リフル・シャッフル等から、アンダー・カット、フォールス・シャッフル、レッグ・リバース、フォース、パス等のシークレットムーブまでが惜しげもなく解説されており、当時を知る人達からすれば「日本マジック界を変えた本」と言っても過言ではない、そんな本でした。
注意:カードについてしか書いていませんが、カードの他にもコイン、ロープ、四つ玉、数理トリック、その他クロースアップを多数解説してます。
さて、この「奇術種あかし」は海外のマジック・技法を解説するにあたって日本人向けに、外来の用語をカタカナ表記にしたものと並行して独自の和名を付けている技法があったりしました。
(そしてこの本出版以降に登場した本の中にも、その和名が出てきたりしています)
今ではほぼ使われることが無くなった言葉ですが、せっかくなのでちょっと紹介してみたいと思います。
切り方・切る
シャッフルのこと。フォールス・シャッフルは「嘘の切り方」と表記されてる。
上手切り
オーバーハンド・シャッフルのこと。
切り返し
カットのこと。シャッフルとカットの違いについても解説されており、フォールス・カットは「嘘の切り返し」と記載してる。
裏引き
グライドのこと。他の手品本ではたまに「底引き」と表記されていたのを見た覚えがある。
重ね上げ
ダブル・リフトのこと。ダブル・ターンオーバーは「裏返し」、ダブルを持ち上げて返すことは「重ね上げ及裏返し」と記載。一緒くたにされてない・・・すごい。
綾切り
リフル・シャッフルのこと。
強制法
フォースのこと。クラシック・フォースは「古典的フォース」、カット・フォースは「切り返しフォース」となっている。そこは「強制法」じゃなくて「フォース」って使うんだ・・・って思った。
装飾法
フラリッシュのこと。この時代はカーディストリーが存在していないのでフラリッシュ!

カードの棧道(さんどう)
リボンスプレッド・ターンオーバーのこと。棧道ってどんなんじゃろ?

おぉ、なるほど!
というわけで今回は以上です。
海外のマジックが日本に入ってきた頃(昭和26年以降)の書籍を調べたら、もしかしたらもっと色々出てくるかもしれませんね。