所感:「done by misdirection」by Manuel Muerte
- 1. done by misdirection by Manuel Muerteとは?
- 2. 所感
- 2.1. The Vanishing Candle
- 2.2. (MIS)DIRECTION
- 2.3. Card Under Glass
- 2.4. Bill in lemon
- 2.5. Bill in Cigarette
- 2.6. The Impromptu 100$ Bill Change
- 2.7. The Ring on Wand
- 2.8. Grandpa’s Cigar Box
- 2.9. The Vanishing Marker
- 2.10. Four Ace Trick
- 2.11. The Floating Spread
- 2.12. Card In Shoe Part1
- 2.13. Card In Shoe Part2
- 2.14. The Business Card Sponge
- 2.15. Time is Money
- 2.16. The Cap,The Coin and The Marker
- 2.17. Casanova’s Coins
- 2.18. The Goshman Pinch Striking Vanish
- 2.19. Credit Card to Wallet
- 2.20. The Cups and Balls
- 2.21. FISM-ACT
- 2.22. The German Bierdeckel Trick
- 3. 最後に
done by misdirection by Manuel Muerteとは?
かつてPit HartlingやThomas FrapsやJorg Alexanderといったメンバーが所属してた、ドイツの若手(当時の)マジシャン10人のチーム「The Flicking Fingers」の一人であったManuel Muerte(マヌエル・ムエルテ)氏のDVD作品集。
「ミスディレクション」をテーマにしたクロースアップ・マジックがメインで収録されています。
所感
・冒頭にManuel Muerte氏のシャワー・シーンあり
・1つ収録ミスのあった作品あり(ダウンロード用のURLが記載された紙が同梱)
・Discが両面再生可で、片面が英語、もう片面がドイツ語になっている
The Vanishing Candle
まぁ、そのまんまというか。ジャケットが必要です。
(あれって指大丈夫なんですかね?)
(MIS)DIRECTION
ミスディレクションについて語ります。
ミゲル・ゴメス氏が話していた内容を彷彿とさせる内容がありますね。
口頭で述べるだけなので聞くのがしんどいです。
Card Under Glass
1度目はシンプルに観客のカードが。2度目はデックがグラスの下に移動し、手に持ったカードが観客のものに。
他のアンダー・ザ・グラスと比べると少し難しいかなという印象。
カードはただテーブルに置いてその上にグラスを載せるのではなく、グラスの下にカードをパームの位置から回転させ回り込ませる感じなので、操作が難しくなっているが、グラスを動かす距離が短めに出来る。
そういえばあれですね、回転が入る分そのまま置くタイプの方法と比べるとカードの上を向く面の表裏が逆になるので、その辺りの違いも何かに使えるかもしれませんね。
あと2段目のデック移動、とある操作を分割しているおかげで、手に持っていたはずのデックが突如消えた感が強めです。
Bill in lemon
ピンセットがいい味出してます、サトルティが効いてますね。
手法自体は古典的ですがクリーンに見えました。 両手をフェアに見せるシーンが散りばめられているのだが、本来なら不自然になってしまいそうなところを、小道具にピンセットを使うことで(特に仕掛けはない)、上手くコンテキストを与えていてたなと。
あのギミックを使いますが、ピンセットのおかげで(以下略
Bill in Cigarette
「Bill in lemon」のタバコ版。ピンセットが(ry
The Impromptu 100$ Bill Change
オーソドックスなビル・チェンジ。
収録されているのはあのギミックを利用したものなのだが、本来は完全に即席で出来るビル・スイッチを収録する予定だったが別のトリックにしてしまったとかなんとか。
ダウンロード用のURLとパスワードが付いてくるのでそこで視聴を。
2020年10月現在はまだダウンロード可能であったが、ダウンロードページ以外が無くなっていたのでいつ消えるか分かりませんね。
こちらのダウンロード出来る手順は、ギミックなしの完全即席でカード・マジックのバートラム・チェンジをめっちゃ早くやるやつ、みたいな手順だったりします。
The Ring on Wand
面白いのじゃが、そのままやるにはちょっと準備が面倒なアイテムあり。
あの道具がないと、観客に指先を摘んでもらい指輪を外すのが不可能な状態にしてからの移動が不可。もったいない。
探せばあるのかもしれないけど(同じ加工してある指輪が)、手品用の指輪だとあんまりデザインがねぇ・・・。
Grandpa’s Cigar Box
The Flicking Fingers名義で出しているDVD『The movie』にも収録されてたやつ。
4段構成。箱の下、箱の下、マジシャンの口、四つ折りになって箱から出てくる。の構成。
箱から出てくるやつを見ると、トミー・ワンダー氏の方法・・・というかあの小箱を使いたいなと思ってしまうのは呪いですかねぇ・・・。
The Vanishing Marker
ペンを消すだけ。
Four Ace Trick
特に語る点はないかな。
The Floating Spread
これはギミックを使うバージョン。
これ系は紀良京佑氏のDVD『キラスタイル2』に収録されている「スプレッド・バランス」や、どの家にもある文房具を使ったやつとか(どこで見たんだっけかなぁ・・・)が思い出されますね。
使うギミックはコンパクトなので持ち運びにも便利で、現象が気に入れば採用されるんじゃないでしょうか。
紀良氏のはノーギミックなのでそちらの方に軍配が上がりそうだけど、最終的には好みかなぁ。
Card In Shoe Part1
ワンハンド・パームからのフォールド、ロードといった一連の流れが綺麗(裏側の)だなぁと。
裏側の動きは参考になるが、ただ個人的には靴べらの出現がなんか唐突に感じてちょっと違和感があった。靴からサインカードを出すための布石なのは分かるんだけど、これなら唐突にもう片方の靴とかが出てきくれてたほうが良かったなーとかそんなん。
Card In Shoe Part2
再度同じことを行うが、今度は箱の中から靴下が現れ、カードはマジシャンの靴から出現する。
part1より少しライトになった感じで、わたしはこちらの方が好みかもしれない。
最初のカードの移動は説得力が多少弱い感があるが(ベン・ジャミンアールが好みそうな手抜き感)、そこらは上手く状況を見極めればいいですかね。
The Business Card Sponge
お客さんにお土産を渡しつつ同時に名刺も渡せる賢い方法。
これはおすすめ。ちょっと用具の作成が必要だけど作る価値はあると思うよ。
Time is Money
その1枚がマジシャンの手の中から消え、観客の腕時計の下に現れる。
観客の手の中にリズムよく置いていくアレとアンダー・ザ・ウォッチの組み合わせ。
この手順だけだと、コインを複数枚使用する意味がなさすぎるで、演じるのであれば色々構成を考えたいところ。
とはいえわたしはアンダー・ザ・ウォッチが嫌いなのでこの部分は放棄する。
The Cap,The Coin and The Marker
クライマックスではジャンボになったマーカーから、ジャンボになったコインが出てくる。
氏が所属していたチーム「The Flicking Fingers」の名義で出ていたDVD『The movie』にも収録されていた手順。
ただ、今回収録されている演技は少し雑に見えるのが残念。
とはいえ覚えておくと重宝する手順なのは間違いない。
今であれば、リック・メリル氏の各種DVDや、ヨハン・スタール氏のDVD『スリーブレス・スリービング』、DVD『The Marvelous Pencyclopedia』といったマーカーとコインを使った作品集が増えたので、合わせれば色々と研究も捗るのではなかろうか。
Casanova’s Coins
ストッキングでマジックをする、という絵面がなんとも表現しづらい感じなのだが、現象自体は非常に分かりやすくビジュアルで面白い。
ぬるっとストッキングを貫通してくるのいいですよね。風船とかを使った貫通と似た雰囲気ですが破裂しない分安定があるような気がします。
ストッキングに仕掛けはないので借りたもので演技は可能だけど、そんなことしたら伝説になってしまう。
自分でやりたいというよりかは、誰かにやらせたいマジック。
The Goshman Pinch Striking Vanish
「Casanova’s Coins」で行われていた技法の解説。
まぁ、タイトルのまんまである。
難易度は高くなるけど、理論上は必要な移動距離を短く出来るので効果的なのかもしれません。
ここらはコインマンにおまかせしたい領域である。
Credit Card to Wallet
トランプの代わりに観客に借りたクレカと、マジシャンが持ち出したクレカの束を使う。
そういえば昔、借りた免許証やらを偽造とかして不正利用した挙げ句逮捕されたプロマジシャンがいましたね。
技法や構造等は、普通のカードマジックのものと同じなので特に目新しい事はありませんでした。
The Cups and Balls
ツーカップのルーティン。
使っているボールが革製のめっちゃいいやつだ。いいなー。
ウォンドがいつの間にか消えたりや、フリッピバニッシュによる消失といった、ウォンドを扱った操作が他の人達に演じるカップ・アンド・ボールよりも増えているように感じた。
また、ファイナル・ロードもウォンドの出現に関係する操作にかこつけて行っており、この辺は珍しいなと。
ウォンドをもっと有効的に使いたいときの参考にでも。
FISM-ACT
氏のFISMアクトが収録されている。
何の脈絡もなくマッチが火を吹いたり、特に意味もなくファイア・ワレットしたり、ギャグの後に紙吹雪を散らして拍手を煽ったり、悪趣味な表現があったり(ネズミのアクション・アニマルを撃ち殺し、ハンディ掃除機で吸うが大量の死骸が詰まってて吸えないっていう現象)と、個々に見ると良いが全体的にはあまり好きなアクトではなかった。
ただ、youtubeに投稿されている演技を見ると、わたしが微妙だと感じた部分は大体行われておらず、2000年のFISMリスボン大会クロースアップ部門を実際見た人達の感想を見るとかなり評判が良かったようです(クロースアップ部門2位。部門1位が見当たらないので該当者なしとかでしょうか)。
The German Bierdeckel Trick
シンプルながら役立つ手順。
最後に
おそらく16年前とかに買ったDVDを見直してみた。
一番期待してたFISMアクトが微妙だったけど、それ以外のトリックは全体的に良かったと思う。
構成が美しいトリックもあれば、なんかジェスチャーなんかが無駄に大げさじゃない?と思う部分もあったが、クロースアップ・マジックをする上で参考になった。
バーやストリート、テーブル・ホッピングなんかをメインで行うマジシャンにはとても良いDVDだと思いました。
あ、収録されているトリックはデビット・ストーン氏の「リアル・シークレット」シリーズが想定している演技環境下と似てる気がしますね。あれが好きな人には合ってるんじゃないでしょうか。