トランプを破いてから元に戻す「Torn and Restore Card」と呼ばれるトリックの中でも、4つの破片に破いてから1片ずつ繋げていくタイプの現象についての比較でもしようかなと。
T&R
The Reformation(Guy Hollingworth)
難易度高め、ユニバーサルスカムによってフェイス面のサインをレストア中に示せる。一片ずつレストアするT&Rの元祖だけど、この手順を超えてるかどうかがT&Rの基準になるくらいすでに完成度が高い。
難易度:★★★
手軽さ:★★☆
完成度:★★★
Torn(Daniel Garcia)
エキストラは使用するものの、フェイスは問わずデュプリケイトである必要はなし。サインもある程度可能。難易度・準備の楽さ・現象の完成度のバランスが非常に高いと思っている手順。
難易度:★★☆
手軽さ:★★★
完成度:★★★
Torn by Daniel Garcia(Vanishing inc.)
Ripped & Restored(Yves Doumerg)
ダニエル・ガルシアの「Torn」とほぼ同じ。見せ方が多少異なるなぁ・・・くらいの認識で良い。メリット・デメリットも同じ。
難易度:★★☆
手軽さ:★★★
完成度:★★★
Ripped & Restored by Yves Doumerg(Vanishing inc.)
Heinstein’s Dream(Karl Hein)
事前の仕込みが必要。手軽さは★1個にしてあるけどそこまで面倒な類ではない。難易度やフェアさなど諸々を考慮するとかなり良い。フェイス面にサインも可能。
一片ずつではなく一気にレストアさせるのが主流で、わたしはノートで一気に直すパターンの解説しか読んでおらず、一片ずつの方法は若干推測が入っております(PVでも実演してるのリンク先で観てみて)。
難易度:★☆☆
手軽さ:★☆☆
完成度:★★★
Heinstein’s Dream by Karl Hein(Vanishing inc.)
reinCARDnation(Kris Nevling)
余計なカード等一切必要ない「1枚だけで行う」T&R。
アイディアは面白い。ただ最後のレストア後、観客に手渡すのはNG。さらにレストア後また破いて破片を消す。という終わり方をするのでツッコミは不可避。サインも出来なくはない・・・と最初思ったけど、最後のレストア時の動き的に制限あり(破る向きによって、サイン可能な面が表か裏か変わるはず)。
もし演じるなら、トミー・ワンダーのDVD『ワンダライズド』に収録されているT&Rカードのアイディアと組み合わせると化けるかも。と昔よく考えてた気がします。
難易度:★★☆
手軽さ:★★★
完成度:★★☆
REF4M(Blake Vogt)
1枚だけで行う系。PVから誰でもネタを察せれそうな感があったけど、実際その通りだった。サイン等可能だけど、演技後手渡しは不可。とても演じる気にはならない。
難易度:★★☆
手軽さ:★★★
完成度:★☆☆
REF4M by Blake Vogt(Penguin Magic)
UnRipped(Gared Crawford)
ギミックを使う手順。デュプリケイトに更に面倒な仕込みが必要。サインはバック面にしてもらう。構造的にはGarciaやYvesの手順にギミックを導入してクリーンに見えるようにした感じなのだが、難易度は多少易しくなっているものの正直誤差レベル、Garciaらの手順よりフェアに見える部分(主に最初のレストア)もあるけど、手品を見慣れない観客からだと気づけないレベル。
最後カードは観客に手渡せず、サインを剥がす(デビッド・ウィリアムソンがやってるあれ。って言ったら通じる?)ムーブをしてから手渡すことになる。
労力と効果を考えると、カール・ヘインの手順か、Garciaらの手順をやった方が良いと思われる。
難易度:★★☆
手軽さ:★☆☆
完成度:★★☆
UnRipped by Gared Crawford(Vanishing inc.)
Fourfit(Reuben Moreland)
サイン不可。簡単めな準備は必要。完全に「破いたカードがビジュアルに復活する」という部分を見せることに特化させたような手順。最初のレストアは予想以上に角度に弱い。観客が2人居たらどちらかにはフラッシュする。最後に手渡しも不可能。
観客とのやり取りが一切発生しないカメラ越しの演技や動画だととても綺麗に見えると思う。演じる気は起きないけど、面白いアイディアだなと感じる作品。
難易度:★★☆
手軽さ:★★☆
完成度:★★☆
Fourfit by Reuben Moreland(Vanishing inc.)
Seamless(Glenn West)
この手順に感心しすぎて色々T&R調べ直したまである。四片がすべて繋がった時点で破れ目がすべて消え、そのまま観客に手渡せる。
サインも可能。サイン周りのアイディアは、ガイ様のリフォーメーションで使われるユニバーサルスカムのストレスのない代替にもなる。
最後のレストア時にギルティな操作が集中している感はある(PVでもうやってるけど、上手すぎて全然分からない)けど、それ以外の箇所では余分なエキストラをパームしておくような瞬間がほぼ無く、致命的なフラッシュをしてしまうタイミングが少ないのはとてもラク。最後のレストアの瞬間でフラッシュすると台無しに・・・とか思ったけど、T&Rはそもそもどこでフラッシュしても台無しか・・・。と思うとクリティカルなタイミングが減っているこっちの方が有利なのか・・・?ジャッジに困る( ˘•ω•˘ )ってなってます。
2/4状態も3/4状態もとてもフェア。知らなかったらPV見てみてね。絶対カメラ外で何かやってると思ったのに何もしてなかったね。すごい。
難易度:★★★
手軽さ:★★☆
完成度:★★★
Seamless by Glenn West(Gumroad)
Counterfeit(Wayne Houchin)
演技中に余計なものを隠し持ったりする必要がなく、角度にもかなり強く、難易度も低め。ただ個人的に一箇所、「有用でバレにくいのは知っているけど、その状況下でその手法は選択したくない」っていうところがあるのが気がかり。大抵の人は気にならないと思いますけどね。
難易度:★☆☆
手軽さ:★★☆
完成度:★★★
Counterfeit by Wayne Houchin(Vanishing inc.)
シューティングレストア(緒川集人)
「Torn」(Daniel Garcia)や「Ripped & Restored」(Yves Doumerg)と仕組みはほぼ同じ。ただ、ユニバーサル・スカムのアイディア(わたしはあれをユニバーサル・スカムだと認めてはいないが。勘違いして考えたのであろう)を中途半端に取り込んだせいで、制限だけが増えている感があります。
難易度:★★☆
手軽さ:★★☆
完成度:★★★
最新カードマジック徹底解説EX2!(壮神社)
とりあえずなまとめ
個人的に順位をつけるとしたら、
Seamless(Glenn West) = Torn(Daniel Garcia) > The Reformation(Guy Hollingworth) = Heinstein’s Dream(Karl Hein)>それ以外
上記な感じ。色々な要素を踏まえて好きなのは?って意味で。演技回数的にはTornがぶっちぎりなんだけど、Seamlessを覚えてクオリティを上げたいなぁとか、Heinsteinは負担がめっちゃ軽くてそれでいて不思議・・・ありだな。リフォーメーションは難しいけど憧れるよなーみたいな。
簡単なやつ!であればHein、現象第一であればSeamlessかなって。
この一片ずつ戻すタイプのT&Rをはじめてやるって人におすすめするなら、TornかCounterfeitかな。異論は認めるよ(・ω・)