コウノトリが赤ちゃんを運ぶ逸話の由来とジューンブライドの関係【VOICEROID動画】
The origin of stork and baby folklore, June Bride
「コウノトリが赤ちゃんを運んでくる」という伝承・言い伝えがなぜ生まれたのか、色々と調べたので解説動画にしてみました。色々とわかって面白かったです。
ニコニコ動画にも投稿しているのでそちらでも視聴出来ます→ニコ動の動画ページ
コウノトリが赤ちゃんを運んでくる
「赤ちゃんはどこから来るの?」
そう聞かれたときには「コウノトリが運んでくるだよ」って答えて誤魔化すのが大人の風習といえるかもしれません。
実はこれらの言い訳は、世界的に使える言い回しであり、発祥はヨーロッパだったりします。
ただ、正確にどこで生まれたのかまではあやふやになっています。
一応、ドイツかノルウェーが有力な候補だとはされていますが。
ですが、発祥の地は分からなくても、なぜそんな伝承が生まれるに至ったかは分かりました。
これはコウノトリの習性と、当時のヨーロッパの文化によるものでした。
愛されていたコウノトリ
古代ローマの時代から、コウノトリは非常に愛されていた生き物でありました。
それはコウノトリの一夫一婦制を固く守り、年老いて弱った親鳥の世話をし、一度巣を作ると毎年必ず同じ場所に帰ってくる。という姿が理想の家族像として映ったからでした。
そしてそれは、コウノトリの名前を冠した法律が制定されていたことからも見て取れます。
(古代ローマのレックス・キコナリアや、古代ギリシャのペラルゴニア)
また、コウノトリはこれらの習性以外の要素でも人々に好まれる要因を持っており、危害を加えられない限り人間に対して手を出すこともなく、人間の住む家の屋根なんかに巣を作ったりしていたので、身近な鳥でもありました。
しかも、家が巣作りに使われたところで特に害にもならず、逆に害虫を食べたりしてくれることもあって「幸せを呼ぶ鳥」として愛されていたのです。
その結果、ヨーロッパの一部の国、ドイツ、ベラルーシ、ポーランド、リトアニアでは国鳥に選ばれるほどでした。
赤ちゃんとコウノトリと6月の花嫁
ではなぜ、赤ちゃんを運んでくるなんていう伝承が生まれたのか?
実は、ジューンブライド、6月に結婚をすると幸せになれるっていうジンクスですね
このジューンブライドというジンクスが生まれた由来と、コウノトリが赤ちゃんを運んでくるという伝承は、実はともに当時のヨーロッパにあった同じ風習が元になっていたんです。
まずはジューンブライドの由来を簡単に。
中心産業が農業だった頃のヨーロッパでは、繁忙期になる3月から5月の間は結婚を禁止するという風習があったそうです。諸説あるらしいので、禁止っていうほど堅苦しいものではなくて、単純に忙しいからその期間には空気を読んで結婚をせずに、良い時期を待っていただけ、っていう可能性もあります。
まぁそんな理由があって、6月に結婚する人が集中していたのです
6月のヨーロッパは、日本と違って梅雨がなくて雨も少なく新緑がまぶしい季節翌月には夏のバケーションになるというタイミングも相まって、色々な意味でベストシーズンとされていました。
そして、ここからがコウノトリの話。
6月に結婚した夫婦の間に子供が生まれるのが、ストレートに事が成功したのであれば、大体翌年の4月くらい。6月に結婚した人が集中しているので、出産はそれからおよそ10ヶ月後の4月に集中することが多くなっていました。
実はコウノトリ、冬の寒い時期はアフリカの方へ渡って冬を越して、春になると自分の巣へ帰ってくるんです。
そう、赤ちゃんの出産が集中する時期と、コウノトリが越冬先から帰ってくる時期が重なっていたんです
幸せを呼ぶ鳥が巣を作った家に幸せを呼ぶ鳥が帰ってくるのと、赤ちゃんが生まれるという幸せが重なるという事が立て続けに起これば、それはもう
「コウノトリが赤ちゃんを運んでくる」なんて伝承が生まれるのは当然な気がしませんか?
そういう背景があって、ヨーロッパ各地でコウノトリの伝承が生まれる土台が出来上がったのでした。
おわりに
とここまでが、今回調べてわかったコウノトリと赤ちゃんの伝承が生まれた背景のお話でした。
現代に残っている伝承・伝説って、起源を紐解いていくと思いがけないことがわかって楽しいです。
そういえば、コウノトリの伝承が世界的に知られるようになったのは、1800年代の童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンがコウノトリ伝承をモチーフにした童話「コウノトリ」を書いたことがきっかけなんだそうですよ。物語の内容が気になる人は、検索すれば概要とかがヒットするはずなのでどうぞ。
このような記事をわざわざ探してる読んでる人は、結婚や出産を控えていたりするのだろうか?と邪推したりするのですが、わたしはそういったことは今後十中八九しないので、わたしの分まで代わりに幸せになってほしいものです( ˘ω˘ )
ついでに紹介しておくと、これらのことを調べるきっかけになったのは「はじまりコレクション」という本だったりします。