【レビュー】Jamie Daws(At The Table Live Lecture)

まとめ

MURPHY’S MAGIC主催のライブレクチャーの2017年に行われたJamie Daws回。

the Jamie Daws Dark Seriesという、ホラー・テイストのマジックシリーズをリリースしていたり、個人的にはScaredというホーンテッド・デックが印象に残っています。

レクチャー全体を通して演出をゴリゴリに作り込んでるタイプの作品が多い。ただ手法に関しては今ひとつ感が拭えない。悪いと断じるほどではないけど、手放しでは褒めれない感じ。

面白かったのは「Scared」。「Scream」と「The Deceased」も興味深くはあったのだけど、単売されているギミックがないと演じづらい。

手法は自分で考えるから現象を参考にしたいとか、そういう人はどんぞ。

*この記事は一部表現を削除しています。

Fantia版
Creatia版

個別に

Scared

ホーンテッド・デック。

DVDが単売もされているトリック。

スレッドやらマグネットやらワックスやらは使わず、カードさえあればギミックの作成も数秒で完了する。ただし不可逆だ、戻せないぞ。

PVで映っている通りの指の接触感だけど、ぶっちゃけ指で制御してるので、ワックスやらを使った時の、その時その時で動くタイミングが変わるということもない。

演技後のエンドクリーンさや、動く前にきっちりデックを揃えれるとかに関しては、さすがにスレッド系には劣るけど。まぁ、エンドクリーンは1枚のパームがきちんと出来れば問題ないですが。

類似のアイディアが少なく、トータルで見ても良いトリックだと思います。

Coloring

観客の選んだ青バックのカードが赤裏に変わり、デックが赤裏に変わり、観客のカードが青裏に戻り、デックがダブルブランクになります。

非常に気になる箇所が多かったけど、クローザーに良さそうなアイディア。演じるならフォースよりもデック・スイッチしてからの方が良いと思うんだ。

駄目な点として、演技できる状態では常にギミックが剥き出しなのと、氏のギミックの使い方が論外なとこでしょうか。

めっちゃバリバリ聞こえてるやんけ。某マジック◯ァンタジアで売ってた道具の解説でも驚愕しましたけど、今だと音を発生させない手法が確立されてるわけで、よっぽど質の悪いルートで手品覚えてなきゃそうはならんだろと。

なーにが、大声で喋って音を誤魔化せじゃ(渋谷某への文句)。ちなみにわたしが使ったら全く音はしませんでしたわよ、当然だが。

という感じで、完成形を見据えたら、という条件付きで悪くないトリックかなと。

Solomon’s Secret

2人の観客に1枚ずつカードを覚えてもらって戻し、6枚のカードを候補として抜き出した後に2人の観客の前にカードを置くが、1枚は途中で捨てられたし、1枚は逆の観客のカードで間違ったように思われるが、両方とも正解のカードになっている。

即興で出来るカードマジック。現象が気に入れば良いんじゃないかな。

特に真新しいことは感じないけど、無駄にデックのバラバラな位置にコントロールして、候補のカードをデックのバラバラな位置から抜き出すのは、細かすぎて伝わらない系のサトルティで嫌いではない。ビドル・トリック系の、候補を含めて5枚くらいのカードを抜き出すときに使えると思います。

Deviate

カードケースに入れたカードが変化します。

昭和くらいの本でも見かけるので新しい方法(ショップの紹介文より)ってのは言い過ぎな気がするし、見た目もあんまりな感じ。変化の瞬間はよくわからないけど、その後に箱の中に余計なものが何も無いことを見せる、直後のシチュエーションを提示して観客に察してもらうタイプって印象。

覚えている範囲だと、野島伸幸氏がサブスク「週刊マジオンSP」で同じアイディアを使ったトリックを発表していた(その後そのトリックは「オラクル・ディール」にアップデートされて一般販売されたけど、別のアイディアに置き換わっている)。

箱にわざわざ入れる理由もないし、現象的にどうしても観客の興味が見られたくない箱の方に向きがちなので、色々と惜しい部分を残したトリックでした。

Spinning Wheel Change

デックを縦に回してカラーチェンジ。

多分、サイド・スチールする人なら無意識にカバーとしてやる。特に聞いて得るものはない。

Simple Control + Simple Mix

コントロールの技法と、その応用としてカード・アット・エニー・ナンバーとトライアンフ。

シンプルってなんだろうね?

CAANは、言われた枚数目にブレイクを作って引かれたカードをそこに戻してフォールス・シャッフルした方がマシだし、トライアンフはそのだけパケットをぱたんぱたんひっくり返されたらなんか戻りそうな感じするし、なんだかな。

初心者が覚えやすいようなコントロールでもないし、どこに需要があるのか全くわからなかった。

Ping

ペットボトルに輪ゴムを巻き付け、一瞬で貫通してペットボトルに入る。

ちゃんと演じれば不思議なんだとは思う。

最初、巻き付いてる輪ゴムが見えなくて、ペットボトル振ったら中に輪ゴムが出てきただけに見えて、びっくりするくらい不思議じゃなかった。よそ見してた観客からは、手品ってこういう風に見えてるのかもしれねぇ、と考えると怖い。

手首にくっそ輪ゴムを巻き付けてる系なので、それを許せる人どうぞ。

Hole Business

名刺の裏に書いた黒い丸が別の場所に移動し、観客のサインした名刺に移る。

一度準備してしまえば消費するのはサインした名刺だけで、名刺を渡す時に演じるには良いトリック。

なんとなく、DVD「The Richard Sanders Show」シリーズに収録されていたStickmanシリーズ(カードの裏にペンで棒人間を書いて、それが移動するトリック)を思い出しました。

書いたものが動くのは面白いですね。

Puppeteer

観客の選んだカードが予言されていて、それまでに配って選ばれなかったカードはブランクカード。

クロスカットフォースのヴァリエーションのようなことをするのだけど、片方のパケットの枚数が1桁だったとして、それは本当に通用するのか?と甚だ疑問。

せめて1/3は欲しいのと、もっと配る枚数増やす手段あるだろ、なぜやらん?というのが大きい。現象は良いかもしれないけど、手段も選んだ方が良いのではなかろうか。

X-Change

4枚のコインの1枚にバツ印を付け、握るたびにバツ印のあるコインの位置が変わる。

アンビシャス・コインといえばいいのかな。

類似の作品、ルビアレスの「OLE」に収録されてたやつくらいしか知らない。

セルフワーキングだ!って言ってました。

Seer

観客が名刺に物品を書き、物品が書かれたカードを引いて共に封筒に入れる。演者は書かれた物品が何かを透視し、カードの物品が予言されていて、それ以外のカードはすべて「Sold out」と書かれている。

なんというか、色々詰め込みすぎて逆に種が透け、個々の現象が見事に不思議さを打ち消し合ってる。

演出に凝るのは良いのだけど、手法の組み合わせ方が稚拙過ぎる。

The Burial

目を瞑っている不気味な老婆の写真が、なんかかんや話していると開眼している。

これ用の画像データは付属してました(DVDならPCで開くと入ってます)。

現象は、まぁ良いと思うんだけどもっとなんか別の方法あったんじゃないの?と。

折り目のある写真ってものすごい違和感があるんだけど。

それならまだ、out to lunchの原理とか、Dan Haussの「Sleeping Queen」とか、Paul Harrisの「Nightshades」(紙幣に書いたグラサンが動くやつ)とか、他にも色々使えるアイディアはあった気がするのに、どうしてその手段を選んだのかと。

Scream

3枚の写真を見せ、写真に纏わる話をすると女性の写真の顔が銃で撃ち抜かれたように無くなっており、封筒に入った手紙を観客に見てもらう・・・客がめっちゃビビる。

https://www.penguinmagic.com/p/S21912

現象はDVD版の紹介説明が詳しいのでそっちで。

封筒には切り取られた指も入ってるって書いてあるけど、実演で見た覚えはない。

びっくり系のトリック。

観客の手の甲に蜘蛛が現れるthe webとか、怪談のオチで「お前だっっっ!!!」って叫ぶ系。死ぬほどビビると思う。

リフィルはAmazonとかでも売ってるんだけど、映っているギミックは単売されてるギミック付きDVDを買わないと手に入らない感じ?

好き嫌いが壮絶に別れるトリックでしょう。

The Deceased

10枚のカードを5枚ずつ観客と演者が分けて持ち、1枚ずつ選ぶとそれが予言されていて、選ばれなかったカードの裏には選ばれないことが書かれている。

10人の内8人が惨殺された事件(残った2人が犯人)の話をしながら行う、ホラー演出のDo as I do。

現象を気に入ってこのカードが欲しいな、と思ったら買ったら良いかと。

https://www.penguinmagic.com/p/S20566

1箇所観客が矛盾を感じるかもしれない箇所があるのと、観客に背後で操作してもらうパートがあるので、それが許せる且つ観客のマネージメントを最低限出来る必要があります。

クライマックスで、選ばれなかったカードの裏に「Dead」って書かれているのを見せるため、多少窮屈な操作になっていて、クライマックスにそれをしないのであればもっとクリーンに見せれないこともないと思う。この辺はトレードオフでしょうかね。

最後に裏を見せた方が、ホラー的には効いてると思いますけど。

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Posted by ゆき