隠れた名著や、必読書にこの本を挙げていないところは信用に値しない。などと言われている『”Outs” Precautions and Challenges』(Charles H. Hopkins 著)、その日本語版が発売されました。翻訳は由利静希さん。

わたしだよぉ
この本は手品本の中でも、どちらかといえば「理論書」に近い立ち位置の本です。
実際に手品(この本はカードマジック特化です)を人前で演じることになったときに立ちふさがる壁、ミスしたときにどうするか?について書かれた本なので、初心者向けではありませんが、そこを抜けた中上級者にはとても役立つ本です。
個人的には『レストラン・マジシャンズ・ガイドブック』を面白いなぁ・役立つなぁと感じた人、多分とても刺さる気がします。

現在以下の場所で購入できるので、興味がある人はぜひとも手にとって見てくだされ。
電子書籍
MAJION
Amazon Kindle
BOOTH
ざっくりと興味を持ってもらえるように内容書いてみる
内容は大きく分けて 「アウト」と「チャレンジ」 の2部構成になっています。
まず「アウト」。
これは、演技がうまくいかなかったときのリカバリーのこと。
ただのフォローではなく、失敗を失敗と悟らせずに、そのまま成功として着地させるための策略です。
そして「チャレンジ」。
「じゃあこうしてみろよ」「デック持ったままやってみて」みたいな、観客からの無茶振りやリクエストへの対応法。いわば、演者に向けられる“挑戦”への対処ですね。
この本では、アウトとチャレンジの、似ている点、違う点、を挙げ、それらを理解することで学習をスムーズにしています。
またこの本は、アウト・チャレンジに至る前の段階、予防策についても解説していて、予防策・アウト・チャレンジという3つの要素を踏まえた上で読むと、かなり分かりやすいです。
本書では、トラブルを“火災”にたとえています。
実際に燃えてから慌てるのではなく、避難訓練をしておくこと。
経験こそ最良の教師だけれど、経験する前に備えることも同じくらい大事だ、と。
- そもそもなぜアウトが必要な状況が生まれるのか?
- なぜ観客はチャレンジしてくるのか?
- 演者がよく陥る「勘違い」とは何か?
そうした原因の部分から丁寧に説明されています。
サッカートリックを演じるとき、観客の頭の中で実際に何が起きているのか、という心理の掘り下げも面白いところ。
単なるテクニック本ではなく、観客心理寄りの内容もあります。
もちろん、
- 必要なスライトの解説
- 状況別にどのアウトを使うべきか
- 通常ルーティンとアウトの使い分けの基準
- 大掛かりなギミック前提で進行してしまった場合のリカバリー
- 観客の記憶違いや“勝手な補完”に合わせたアウト
といった、実戦的な話もきちんと載っています。
チャレンジについても、
なぜ観客はそう言い出すのか、受けたほうがいいとき/受けないほうがいいとき、それぞれの判断基準、といった内容まで踏み込んでいます。
身内で見せるだけなら、正直ここまで考えなくてもいいかもしれません。
でも、人前でコンスタントに演じるようになったら――
一度は向き合うことになるテーマです。
「うまくやる」ための本ではなく、「うまくいかなくなったときに崩れない」ための本。
気になる方はぜひチェックしてみてください(クワッ
おまけで目次
不可能を求められたとき
あらゆる非常事態に備えて自らを訓練せよ
経験こそ、最良の教師
第1部 「アウト」
第1章 現実を受け入れる
第2章 勝利のための体制づくり
第3章 情報を引き出すためのサトルティ
第4章 便利なスライト
第5章 救世主となる「アウト」
第2部 チャレンジ
第6章 どんな挑戦者でも受けて立つ
第7章 カードがシャッフルで失われる前に
第8章 観客が「徹底的にやってくるとき」
第9章 メンタルの境界線へ
第10章 トリックはすべてを制する


