所感:MAJION LIVE LECTURE ―Tarylー

2020-06-20

MAJION LIVE LECTURE ―Tarylーとは?

2019.10.26に行われた、MAJION主催のLIVE LectureそのTaryl回。
Taryl氏は、レギュラーデック1組で演じられる硬派なカードマジックのDVD作品集『SHIKAKU』で知られる、東京を拠点とするアンダーグラウンドな手品師

購入ページは下のリンクからどうぞ。

*PVは初DVD作品集『SHIKAKU』のものです

LIVE LectureではDVDでは語られなかったこだわりや、DVDには収録されていなかった作品の解説もされる。

所感

1組のデックのみを使ったカードマジックが8作品
中級者以上の技術が必要
・使っているデックはアリストクラット
・聞き手に野島氏・堀木氏

スペクテイター・カット・ジ・エーセス

観客にカットしてもらって作った4つのパケットのトップがすべてエース。

今回のマジオンLIVE Lectureのひとつ前に行われた、YOSHIDA DAISUKE回で少し話が挙がっていた手順を初公開。

分けたパケットを取り上げた後、示すまでの間にリバースカウントが不要になっており、パケットから取り上げて手の中で行う操作が削減されている。

Palm off repeat

2段構成のパームオフ。

大体の手順が一段で終わるパームオフ現象を、繰り返すことでさらに不思議になるように上手く二段構成にしている。
一段と二段目はそれぞれ独立しているわけでないので、気に入った方だけ演じるというのには適していない

こういった手順はセットが面倒だったりするケースも多いが、この手順は即席でセット出来る程度の準備である。

DVD『SHIKAKU』にも収録されているが、少しハンドリングが変わっている。

2段目をキックバックにした手順は結構見かける気がするが、純粋に繰り返すのはそういえば見ない気がする。
正当に進化したパームオフといった作品。

マニアックな方面の進化作品だと、今田航平氏のノート『ANIMAL TRAIL』に収録されていた「Palm Off Plus」は、2段目がコレクター現象になっていましたね。

Sandwich card

現象

2枚のジョーカーの間に観客の選んだカードが挟まって現れる。
もう一度広げると、挟まっていたカードが2人目の観客の選んだカードに変わる。
最後にはジョーカーを残して挟まっていた観客のカードが消える。

DVD『SHIKAKU』にも収録されている手順。
個人的には最後の消失の瞬間が好きである。

最初のアディションは、DVDでの解説時は言葉無しで見せるだけのスタイルだった。
今回の解説では口頭での説明もされるため、映像だけでは理解出来なかった人でも分かりやすいかもしれない。

クライマックスで用いられるアディションだが、わたしはフランス人マジシャンのオムニバスDVD『MS Magic Night 2014』の中でAlexandre Wilmes氏が解説しているのを見て初めて知りました。

Right Caption
ゆき
使用する技法の関係上、テーブルマットが無い状況では演じづらいので注意

Oil and water 3×3

3枚×3枚のオイルアンドウォーターの2段構成手順。

非常にシンプルな「混ぜて分離」を2回繰り返す。SNS上にUPされた演技動画が一時期話題になっていた作品。
DVD『SHIKAKU』にも収録されている。

トニー・チャンに指摘された部分のハンドリングがアップデートされているようだ。

この手順ではよく知られるテクニックを使用するのだが、普段Taryl氏はあまり好んでは使わないとのこと。

「こいつ、可哀想」

ミスタージャック

現象

ジョン・バノンのニュー・ジャック・シティのTarylハンドリング。
観客の2枚のカードを、4枚のジャックが二手に分かれてサンドイッチする。

「こってりしたのが続いたので、あっさり目でいこうかな」

あっさり目の基準がよくわからないが、見た目はスッキリしている実用的な作品

フォックス

ダンバリー・デリュージョンのような、そのバリエーションであるダンバリー・デライトのような、そんな作品。

クライマックスが「狐につままれた」ように感じるサプライズになっている作品。

サッカートリックが好きな人にはたまらないであろう一品。

裏側でやっていることが少し複雑なため、気を抜くと失敗しそうなのが心配である。
個人的にはゴリゴリのスライトを使う作品よりも、がっつり練習しておきたい部類の作品。

ユニゾンサンド

4枚のクイーンが観客の選んだ2枚のカードを探し出す。

クイーンの飛行現象を組み合わせたニュー・ジャック・シティの亜種ともいえそうなトリック。

オイル・アンド・クイーン

赤4枚と黒4枚で行われるオイル・アンド・ウォーターの後、一方がクイーンに。

4枚のクイーンをパケットに内包させたまま、分離現象を2度行い(人によって捉え方が異なる気がしないでもないが、実際に見て判断してほしい)、その後にクイーンへ変化する。

Right Caption
ゆき
カウント等の操作が多く複雑で、少しゴタゴタした印象はある

話に挙がっていた某スイッチ技法は、入手しやすい資料だとベンジャミンアールのDVD『パスト・ミッドナイト 2巻』にある技法がほぼ同じコンセプトなのでそちらでもいいかなと。

また、話に出てきた「Card Magic Library」という言葉ですが、マジック研究家加藤英夫氏が全10巻で作られた書籍のことです。
リンク先を見てもらえれば分かるかと。興味のある人はどうぞ。

パームの解説

TRAYL氏のパーム解説。

ラブバニッシュの解説

かなり濃密です。

最後に

一組のデックがあれば演技可能であり、要求される技術は少し高度ではあるが無茶苦茶なものではないため、カードマジックを日頃から嗜んでいる人であればとっつきやすく、非常に良い刺激になると思う。

DVD『SHIKAKU』と被っているのは3作品と絶妙で、DVDを観ている人ならLIVE Lecture気になるだろうし、LIVE Lectureで初めてTaryl氏を知った人はDVDも気になるのではなかろうか。上手く出来てます。

Right Caption
ゆき
クラシカルなカードマジックが好きな人におすすめの回ですね

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