所感:「Secret vol.1 Ars-Takeshi Taniguchi by Tokyo Magic carnival」

2020-06-20

 

Secret vol.1 Ars-Takeshi Taniguchi by Tokyo Magic carnivalとは?

マジックコンベンション「Tokyo Magic carnival」のメインメンバーである日本マジック界を代表する5人のDVD作品集。

全5巻のうち、vol.1は日本におけるカードフラリッシュ(カーディストリー)の第一人者としても知られる大阪のマジシャン、Ars氏の作品集である。

カードマジックやスライト、フラリッシュ(カーディストリー)等を収録している。

所感

Chap1 「Change」

ジョーカー2枚が観客の選んだ2枚のカードに変化するが、またジョーカーに戻る。

ビジュアルに変化が連続で起こる。
2度目の変化に関しては両手で同時に行うため、慣れるまで大変だと思う。

だが、一度覚えてしまえばジョーカー(絵札とかでもOK)を取り出すだけで準備完了・演技後デック内にゴミが残るようなこともないため便利だと思います、

DLC『simplicity』に収録されている「Change」と同一手順。

レギュラーデックやで。

Chap2 「After」

4枚のジャックを2枚ずつに分けて置き、観客の選んだ2枚のカードが同時にサンドイッチされる。

Dan&Daveが行っていたサンドイッチカードでも同趣向のものがありましたが、そちらにあった弱点を上手くカバーして構成していました。

DLC『simplicity』に収録されていたのと同一手順。

名前の由来は、ニュージャックシティのような2枚のカードをサンドイッチする現象が終わった「後」に、気づいたらまた挟まってる!といった使い方で演じることが多いからだそうな。

ということでセットも特に不要で演じやすいので、2枚のカードを当てるサンドイッチカードの後に、観客に追い打ちをかける使い方が良さそうな手順です。

Chap3 「Separation」

赤3枚黒3枚で行うオイル&ウォーター。
カードが十字になるように交互に重ねるが分離する。

瞬間的に分離するビジュアルなオイル&ウォーターとは別の方向性でのビジュアルさを目指したオイル&ウォーター。
中々に辛い操作がある。
技術的に難しいとかではなく、なんかこータイミングというか、オイル&ウォーターでその類の動きはしたくないというか。

実演はスムーズではあるんですけども。

ノーキストラで他の手順にも組み込みやすいので、気に入れば取り入れてみたらいんではないでしょうか。

DLC『simplicity』に収録されていたのと同一手順。

おそらく、広めのマットで演じた方が自然に見える気がする。

Chap4 「Cards Across」

テーブルに配ったパケットに観客の手で押さえてもらい、3枚のカードを移動させる。
その後さらにカードを移動させ、最後には・・・。

二度のカード移動に加え、「ものすごい枚数が移動する」以外のディフィニットなクライマックスが付与されている。

セリフ回しや、観客への指示についても非常に上手く考えられていた。

欠点があるとすれば、そのままではスタンドアップで演じれないくらいではなかろうか。

おすすめ。

Chap5 「Jump」

パケットを3つに分けてずらして階段状に重ねて行うアンビシャスカード。

非常にビジュアルなアンビシャスカード。

クライマックスなんかにどうでしょう。

DLC『simplicity』にも収録されていました。

Techniques 「Ars Control」

トップやボトムに1枚のカードをコントロールする技法。

Olivier Olmac氏の「One Card Pass」(DVD『Control Freak』収録)や、k_motonari氏の「The pinkie Shift」(note『ASPARA NOTE』収録)と似た技法。

Techniques 「One-hand Double Lift①」

デックのトップからワンハンドでダブルリフト。
Chap1 「Change」で使われていたもの。詳しく解説される。

Techniques 「One-hand Double Lift②」

デックの中程からワンハンドで抜き出してからのダブルリフト。
抜き出してからは①の動きになるので解説は割愛。

突き出させてしまえば、抜き出す部分は両手でやってもよい。
その場合は非常にナチュラルに見える。

Techniques 「False Riffle Shuffle」

見た目リフルシャッフルのフォールスシャッフル。

ウォーターフォールありのパーフェクトフォールスです。

Techniques 「False Overhand Shuffle」

オーバーハンドシャッフル風のフォールスシャッフル。
フラリッシュ的なシャッフル。

雰囲気的にベンジャミン・アールの「Kolyvargin」(DVD『Past Midnight vol.1』収録)というフラリッシュを思い出しました。

Techniques 「Flourish」

ジャグリングの「カスケード」のようなフラリッシュ。
「Cascade A」と「Cascade B」の2種が解説されます。

演者視点の解説が無いため、ちょっと理解しづらいかもしれません。

Ars-Takeshi Taniguchi × Shimpei Katsuragawa

Ars氏と桂川新平氏のセッション。

最初は、マニアにしか分からないArs氏のすごさをShimpei氏が「ここがすごい」と詳しく解説していましたが、途中から観ている人を置き去りにして2人の会話が走り出します。

マニアのオフ会でよく見る光景。

最後に

難しい。

収録されているトリックは基本どれも難易度が高い。
ただ、複雑なセットや前準備を必要としない(Cards Across除く)ため、習得できれば非常に便利で強力な武器になりそうである。

また、5つのトリックの内4つは、マジックランドで購入できるDLC『simplicity』にも収録されていたものとほぼ同一なので、そちらを視聴済みの場合は注意がいる。

逆に今回のDVDを観て氏のトリックが気に入ったのであれば、DLC『simplicity』も観てみると良いと思う。
こちらはトリックごとのバラ売りもされています。


*リンク先はセット販売ページ

Ars氏といえばフラリッシュ(カーディストリー)だと思うが、このDVDに収録されているフラリッシュは比較的難易度が低く、とっつきやすいと思います。
また、ひっそりとフォールスにもなっているので便利です。

というわけで、フラリッシュを多用するタイプのカーディシャンが好きそうなDVDでした。

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