所感:「THE LONDON COLLECTION」 by Guy Hollingworth

2020-06-30

「THE LONDON COLLECTION」とは?

ガイ・ホリングワース氏の作品集。すべてカードマジック。
1996年に発売されたVHSの内容に加え、新規の内容も追加されている。

VHS版の映像をそのまま再録した「オリジナル・ビデオ」と、新規映像である「コメンタリー」に分かれており、「コメンタリー」では今まで氏の著書『Drawing Room Deceptions』にしか収録されていなかったトリックの実演・解説や、新規のアイディアが満載。

「コメンタリー」というワードにおまけのような印象を抱くかもしれないが、内容は丸々新作のDVD1本分なのである。

所感

・VHS版の再録はモノクロ映像のため見にくい。
・おまけも本編。
・基本的にどのトリックも難易度が高い
洋書でしか読むことが出来なかったトリックの映像・解説もある。

Waving the Aces

ガイ・ホリングワース氏の代名詞とも言える、カードを広げたままで行うツイスティング・ジ・エーセス。
スタンディングで演じられる。
追加の映像では、『Drawing Room Deceptions』に収録されていたクロースアップで演じられる手順と、氏のギミック「カルテット」を使った手順も収録されている。
1枚を隠したままファンを広げるフォールス・ディスプレイは秀逸。

「Waving the Aces」と言う名前は、ポール・カリーが付けてくれた。と発言しているが、「Paul Curry」ではなくて友人の「Paul Cowling」だそうです。

Right Caption
ゆき
「Paul Curry」とも面識があるのかぁ・・・と思いっきり勘違いしていました

Waves of Water

「Waving the Aces」で行っていた技法「オプティカル・アライメント」をシークレットムーブとして行うオイル・アンド・ウォーター。
追加映像では、『Drawing Room Deceptions』に収録されていた「Cherchez la Femme」というスリーカード・モンテの発展手順と思われるものを解説している。

Ambidextrous Interchange

ジャケットやズボン、4箇所のポケットに入れた4枚のエースが、手に持っている4枚のキングと一枚ずつ入れ替わっていく手順。

解説中、「パームは極力使わないようにしようとした」という内容の発言があった気がするが多分気のせいだと思う。
追加映像には、『Drawing Room Deceptions』に収録されていた「A “One Card” Routine」が実演・解説されている。
ともに、ジャケットの内ポケットや胸ポケット使う事が多く、ジャケットを着ているからこそ出来る動作も多いため、服装にある程度制限があります。

2018年箱根イベントの際に聞いたのですが、氏のジャケットの胸ポケットには、内部を途中で縫い付けるという工夫がなされているそうです。
これによって胸ポケットでカードをディスプレイすることが安定して出来、またスムーズに取り出せるそうな。
DVD内の映像では胸ポケットの奥まで入れているようにも見えるので、工夫をしてないジャケットを着用しているかもしれませんが。

Selling Fridges

タイトルの由来は「氏が販売員をしていたデパートの名前」。

デックを使った3段構成のエースアセンブリ。第3段目は本当にエグい。
Ernest Earick氏の著書『By Forces Unseen』に収録されている「Lonely at the Top」に惹かれ、同じプロットで考えたトリックなのだとか。
追加映像は第1段の冒頭の手順を、フラッシュしにくく難易度も低くしたアイディアの紹介。オリジナルかと思ったらマーローがすでに発表していた、というマジシャンあるあるを披露。

L’Arc de Triomphe

2段構成のトライアンフ。スタンディングで出来る。
追加映像は、第1段で行っていた”2段目のための準備”を行うタイミング変更とその手法解説、2段目の別法等です。
ちょっとした「パス」の解説も追加されています。

The Easy Way Home

ホーミングカード(捨てても捨てても帰ってくる方の)。トランプ以外のある小道具を利用した手順。
おそらく初心者でも手が出せるであろう難易度。VHS版では唯一の良心。
追加映像は、同じ小道具を利用した「Cannibal Cards」。これも『Drawing Room Deceptions』に収録されていたもの。
チューイングムーブはないが、「カニバルカード現象」の中では随一のスマートさを誇る手順だと思う。

New Material

4枚のエースをバラバラに入れたデックをジャケットのポケットに入れ、ジャケットを貫通させて1枚ずつ取り出していくという手順。

氏曰く「実用的な手順」。翻訳ミスであってほしい。

リー・アッシャー氏の「サンダーバード」と同じく、クリフ・グリーン氏の「フェニックス・エーセス」を元にしているらしい。

Right Caption
ゆき
言われてみれば名残を感じる気がする

追加映像は、同一の方法繰り返していたエースの貫通に変化を付け、間違ったカードを一旦取り出し、ジャケットに戻して改めて貫通させるというサカー演出の方法解説。
ダン・ギャレット氏のカードチェンジが元になっている。

最後に

2018年箱根にて、氏の演技を生で観る機会を得ました。

イベント参加の予約が期限ギリギリであったため、見えづらい座席になるかもしれませんがそれでもよろしいですか?と念を押されたのですが、ガイ氏の演技を生で観たかったため二つ返事で参加しました。

という経緯があり、かなり際どい座席で本人のショーを観ていたのですが、氏は生でもまったくフラッシュしていませんでした
本業が弁護士ということで、マジシャンとしての活動はあまりしていないような事を聞いていたため、VHSを出したときよりも腕が鈍っていたり、生だとフラッシュしてがっかりするかも・・・などと参加前は恐れ半分でしたが、あれはバケモンです。

Right Caption
ゆき
ガイ様は未だ現役でした

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