所感:「MAJION LIVE LECTURE ―野島伸幸 カードスペシャル―」
MAJION LIVE LECTURE ―野島伸幸 カードスペシャル―とは?
2020.3.29に行われたMAJION主催のLIVE Lectureまさかの野島伸幸氏4回目。
野島氏のファンティア「のじままじめ観察日記」内の配信で行われたトリックを中心にした内容になっている。
MAJION LIVE LECTUREの1回目且つ野島氏の1回目である「NOJIMA “CHEEP TRICK”」のメインテーマであったチープ・トリックもアイディアを使用した作品や、売りネタである「NOZZ’S COLLECTOR」の解説がされていたりする。
購入ページは下のリンクからどうぞ。
第一部:アナザーチープトリック
サンドイッチ&チェンジ
実演ではジョーカーではなく黒いエース2枚を使っている。
準備を忘れたのだ。
また、最初に第一部で解説するトリックを一通り見せてくれるのだが、演じた順番と解説する順番は異なるぞい。
類似のトリックは数あれど、ここまで雑音のないものは少ないでしょう。
間から1枚目のカードが出現した後、無駄な動作なしで続けて2枚目のカードが出現する瞬間はマジシャンでも驚きます。
また、同じギミックの構成で「VIPPER」という手順へ繋げることが出来るように設計されている。
「VIPPER」の実演もしてくれるが解説はなし。
解説を見たい場合は売りネタ『VIPPER』もしくはMAJION LIVE LECTURE「NOJIMA “CHEEP TRICK”」を参照。
質問:光の反射
ギミックが光の反射で見えてしまわないか?という質問に答える。
アンビシャスカードへの応用
タイトルそのまんまであるが、日頃からチープ・トリックを利用しているのであれば、即席で出来るというアンビシャス・カードのメリットをかなぐり捨ててでも採用する価値はあると思うアイディア。
ガスタフェロー氏のいう「one degree」みたいな概念だと思えばいいよ。
アンビがまだ覚束ない初心者と、さらに上を目指したい上級者に与えたいエサである。
質問:アンビシャス・カードで思うこと
野島氏がアンビシャス・カードをあまり演じない理由と、野島氏が演じているのはどんなときか?等。
観察班には貴重な情報です。
ストップトリック×4
腕に自信があればどうぞ。
これも後に「VIPPER」を繋げれるようになっております。
ホテルミステリー
お客が男性1人女性2人の構成で部屋に泊まろうとしたので、ホテル側が止めようとするが、部屋を開けると男性2人部屋と女性4人部屋に男女が分かれて入っていた。
2段目 2人の男性客が女子部屋に、4人の女性が男子部屋に侵入するのを見かけたホテル側が部屋を開けるが、特に何も起こっていなかった。
3段目 もし仮に過ちが起こっていても問題なかった。なぜなら・・・。
ストーリーに時事ネタを取り入れた結果、自然になってますわぁ・・・。
と思ったのに、セットを間違えていてクライマックスの話が少し変わっていました。
第1回マジオンレクチャーで解説されたホテルミステリー手順のアップデート版であり、「NOZZY’S HOTEL MYSTERY」に収録もされているバックの色が変化しない版でもある。
それはさておき、ホテルミステリーにようなオフバランスのトラスポジションにチープ・トリックは非常に強いです。
第二部:ノジーズコレクター with チープトリック
野島氏が実際に使っている手順を解説。
大体7~8分くらいのショーになっている。
また、バーやテーブル・ホッピングで演じる機会の多いマジシャンが気にするであろう「観客からのツッコミや、手が伸びてきたとしても対応出来るか否か」等にも配慮して構成された手順である。
手順を構成する際の、観客が見応えを感じる構成論、インフレについて等の話をしており、ショーを作る際に重要な話を聞くことが出来ます。
ジョーカープロダクション
マニアにしか伝わらない系のサトルティ。
さらっとした解説だけすると言ってはいるが、ここの解説だけでもそこまで問題はない。
もっと詳しい解説についてはMAJION LIVE LECTURE「NOJIMA “CHEEP TRICK”」を参照。
サンドイッチ
ジョーカーの間に出現、消失、デックを配るとカードの数字と同じ枚数目から出現。の三段構成。
これも詳しい解説については「MAJION LIVE LECTURE「NOJIMA “CHEEP TRICK”」を参照。
サプライズ・エフェクトとサスペンス・エフェクトの違いによって、演出はこうしたほうが良いや、観客に情報を開示するタイミングについてなんかの話も参考になります。
フォーカードプロダクション
ポール・ウィルソン(氏のDVDのvol.1がめっちゃ面白かったので、他のもまとめて買った結果DVDがたくさん積まれてます。あれに入ってるかなぁ?)が似たようなのを発表していたので未発表だった方法が解説される。
実際に演じるときは、John Guastaferro(ジョン・ガスタフェロー)の手順(多分書籍『HANDS OFF MY NOTES』に掲載されている「Gemini Squared」)をすることも多いらしい。
NOZZ’S COLLECTOR
売りネタで売っているトリックの解説。
自作も出来なくはないが、買った方がクオリティ的に良いと思う。
コレクトする瞬間が非常に綺麗。
マジシャン的にはそのあとの動作が興味を惹かれる部分だろうと思う。
まぁ動画を観て欲しい。
難しい話はここらへんに集まっているぞ。
長谷和幸さんが行っているセット方法を紹介しているが、色々な手順に使えるアイディアで有用でした。
休憩時間の無駄話
商品を出す際に、あえて解説していない部分について。
商品で細かいこだわり等について語ってしまうと、買ってくれた人がそのとおりに演じないといけないと思って、発展の余地を無くしてしまわないようにある程度「遊び」を残した解説をしているという話。
代わりにライブレクチャーでは好き勝手こだわり点を話すぞ!だってさ。
第三部:おぼろげなサンドイッチ
レギュラーで出来る作品。難易度はちょびっと高め。
マニアが好きそうな現象が詰め込まれており、練習してたりすると楽しい。
第四部:ザ・チェンジ
さらに文字が変わって、2枚目の選んだカードを示す。
側面の文字が動く系だと、Paul Gertner(ポール・ガートナー)氏の「Unshuffled」やMathieu Bich(マシュー・ビシュ)氏の「EDGE」、Lyndon Jugalbot氏の「Unwritten」、Shin Lim(シンリム)氏の「52 Shades of Red」に収録されてるやつなんかが思い出されますね。
この作品は原理的にはマシュー・ビシュのものと同じであり、そのため今まで発表をしていなかったそうな。
原理は同じとはいえ、まぁ色々異なっており、他のマジシャンであれば別の名前で売り出しているレベルであると思ったり。
用具の調達は容易なので、気に入れば簡単に作り直せるでしょう。
また、他にも色々とイジれる余地が残っているので興味があればさらなる応用例を考えるのも楽しそうである。
実演動画を観た人の中には「スペエドK」や「ハアト10」という文字を見て、「もしかして長音が使えない?」と思った人もいるかも知れないが、別に関係なかったりする。
書く文字に制限があるとすれば、あまり長い単語にならないようにした方が良い。程度なので参考にされたし。
最後に
4部構成のそれぞれが絶妙に異なる客層に受けそうな印象であった。
少なからずどんな人が観ても、参考に出来るネタがあると思いました。
第一部はチープ・トリックを知っていて、もっと色々知りたい人向け。
ここで試しに見てみて、気に入ればMAJION LIVE LECTURE「NOJIMA “CHEEP TRICK”」でさらに色々勉強するとかもいいかもしれない。
第二部は、テーブル・ホップやバーで演じてるマジシャンが、カードのルーティンの参考にするのとかに便利です。
第三部はスライト大好きマジシャン向けですね。
練習してて楽しい系です。
第四部はギミック厨に特に刺さりそうです。
あ、でも実は結構練習もいります。
そんな感じです。
誰が観てもどこかしらに刺さるトリックが必ずありそうです。