所感:「Fielding West Comedy Magic Show」
- 1. 「Fielding West Comedy Magic Show」とは?
- 2. 所感
- 3. 所感:ショー・パート
- 3.1. Bob The Bird Routine
- 3.2. Appearing Cane
- 3.3. Rabbit from Hat Gag (performance only)
- 3.4. Torn & Restored Newspaper
- 3.5. Temple of Benares (performance only)
- 3.6. Hairspray Gag
- 3.7. Balloon Swallowing
- 3.8. Cigarette Manipulation
- 3.9. Fire Eating (performance only)
- 3.10. 20 to 2 Tens
- 3.11. Bill to Orange
- 3.12. Sawing a Lady in Half (performance only)
- 3.13. Levitation (performance only)
- 3.14. Coke Bottle Vanish/Glass of Water Production
- 3.15. Water in the News
- 3.16. Guillotine (performance only)
- 3.17. Color-Changing Silks
- 3.18. Tiger Production
- 3.19. Reverse Balloon Swallowing
- 3.20. Dove Bullet Catch (performance only)
- 4. 所感:Bonusパート
「Fielding West Comedy Magic Show」とは?
Fielding West(フィールディング・ウエスト)氏はアメリカ・カナダで、コメディマジシャン、俳優、映画ディレクターなど多才な活動をしている人物。
そんな氏がリリースした2枚組のDVD。
Disc1はショーとインタビュー、4種のトリックの実演と解説。
Disc2はDisc1に収録されていたショーで演じていたトリックの解説という構成になっている。
所感
良いコメディマジックショーを観ました。
道具としてはメジャーな物が多いのだが、氏のパーソナルに合わせた演出・使い方をしており、構成も上手く考えられていた。
メインのマジックだけでなく、ちょこちょこ挟まれるギャグに関しても「え、そんなとこまでこだわってんの?」みたいなところがあって、すごい好感が持てました。これはプロですわ。
小道具で音を鳴らすときのマイクとの位置関係とか、ステージ照明下でのライティングとかそういった話もされてました。
イリュージョン系統の演技については解説がないが、演技を見るだけでも色々と参考にはなるのではないでしょうか。
コメディ寄りのパフォーマンスをする人は観ておいて損は無いんじゃないかなって思いました。
所感:ショー・パート
Disc1に演技が収録、Disc2にて解説の流れ。
Disc2で解説に入る前に演技のダイジェストが流れるので演技を見るためにわざわざDisc1を見返す必要はない。親切。
イリュージョンの演技は解説されてない物が多い(タイトルに「Performance Only」とあるものは解説なし)。
Bob The Bird Routine
ギンバトを使ったマジックというと「とりあえずいっぱい出す。たまに消す」みたいなのが多いかなーって印象があるんだけど、この手順は1羽のハトで色々な現象を起こしている。
わたしは生き物を使うマジックに抵抗があるので(ハトが死んだら多分わたしも鬱で死ぬ)やりませんが、ハト飼の方はこういう構成のも参考になるんじゃないでしょうか。
この演技のためのセットアップは、一通り個別の解説が終わってから説明されます。
解説中、テーブルの上でちょこちょこしてるハトさん可愛い。
Appearing Cane
タイトル通り。
Rabbit from Hat Gag (performance only)
Torn & Restored Newspaper
スライディーニ氏の手順の系譜で、準備がいるタイプ。
新聞紙の復活をやったことがないので、あまり語れることがない。
この手のトリックでなんとなく思い出すのは、Pierric(ピエリック)氏の『ピエリック・レクチャー・ノート』(2019年に来日されたときに出たやつ)や、Richard Osterlind(リチャード・オスタリンド)氏の「サインド・トーン & レストア・ニュースペーパー」(『マインド・ミステリーズ 4巻』に収録。日本語版あり)とかかなー。
Temple of Benares (performance only)
コメディ調の演出にしたいときの参考にでも。
Hairspray Gag
発明家Ron Popeil(ロン・ポピール)氏の開発した増毛スプレーを、普通のカラースプレーでやるっていうギャグ。
実際に本物(のスプレー)を使うわけではないので汚れたりはしない。ギャグに色々サトルティ盛り込んでるのジワる。嫌いではなくってよ。
頭頂部にハゲがある人が自虐的なギャグをするときにどうぞ。
Balloon Swallowing
風船呑みといえば、Justin Meitz氏の『DEEP』、ふじいあきら氏の『ふじいあきらの風船呑みの極意』、みやもと氏の『Dawn』あたりの解説があるが、これはみやもと氏の方法に近いです。というか、上記のどれよりもFielding氏の方法が古いですね。もしかしてこれが原点か?
ペンシルバルーンによるバルーンアートって、1950年代に現れ始めたらしく結構新しい文化なのですねー。風船のみてって誰が最初なのでしょう。
Cigarette Manipulation
Fire Eating (performance only)
めっちゃ(演技を)引っ張る。めっちゃ熱そう。あれほんとに熱くないの?めっちゃ口燃えてっけど!
20 to 2 Tens
いわゆるビルスイッチ。
日本円でそのままの演出で演じるのは多分難しく、日本円でやるなら1000円札を破いて半分にし、それぞれが再生して2000円に増える。みたいな原案にある「両替」的な面白さは無くなってしまう。
まぁそれでも、観客的にはお金増えたヒャッホーーーみたいに夢が叶う現象になるので期待は満たせるのかもしれない。
1枚は確実に破くので、心理的なハードルは高いかなぁ。
Bill to Orange
デュアルリアリティ感ある。
Sawing a Lady in Half (performance only)
でかいアシスタントの人、グラグラしてる台、明らかにサイズがあってないカバーの道具。といった要素がジワる。
ただ、電動ノコギリで切ってるとこが見づらくてちょっとその辺りの不思議さは弱いかなって感じた。
Levitation (performance only)
アシスタントの女性もきっと凄い。
Coke Bottle Vanish/Glass of Water Production
コメディマジックっぽくていいですねー。
液体はなんでも大丈夫。
Water in the News
前段の「Coke Bottle Vanish/Glass of Water Production」から自然に続けれるのいいなー
用具は簡単に用意可能。
テンヨー製の物と似てるが少し異なり、ひっくり返しての改めは不可能(氏の手順だと構成的に不要な改めなんだけど)。
Guillotine (performance only)
Color-Changing Silks
ダイ・チューブを使ったやつ。シンプルだけど上手い。参考にでも。
古典的な道具なので、わざわざ解説してる物ってあんまりないですよね。個人的に記憶に残ってるのは、Carl Cloutier(カール・クロティエ)氏のDVD『ラッピング・イット・アップ』に収録されてた「テイト・ア・テイト」とかですかねー
Tiger Production
衣装チェンジのマジック。
準備は中々に大変だけど良いですね。本格的にショーをする人には特に。
単純に衣装が変わる、色が変わるって、比べりゃ一目瞭然だろ。みたいなものでも意外と気づかなかったりするんですよね。でもこういう変化の仕方だと変わったことが確実には分かるのでいいなーと。
衣装チェンジのマジックってクロースアップばかりやってると、Calen Morelli(カレン・モレッリ)氏の『DRESSCODE』くらいしかパッと思いつきませんねー。
Reverse Balloon Swallowing
どうやら世間ではちょうど、口からバルーンを出すギミックが話題になっているようだ(2021年11月現在)。
「CB Blower」というギミックをBoss Wu氏がリリースしたらしい。
CB Blowerは電子機器のようだが、Fielding氏のはアナログな道具で消耗品。
使われている道具、はじめて存在を知りました。
相場が良くわからなかったけど、大体350円くらいで5,6回使用できるらしい。
興味がある人は調べてみてはどうでしょう。
音は結構してたけど、シューーっていう空気入れてます音なので、観てる側としてはそこまで気にならない気もする。そこは演者の好みで判断して欲しい。
Dove Bullet Catch (performance only)
ハトから始まってハトでショーを締めくくるんですね。
ハトを弾にして弾丸受け止め術をやろうと思った発想がまずが狂ってて良い。
あとは、よくステージで見るあの道具を変わった使い方してて面白いなぁと感じるなど。
所感:Bonusパート
ショー・パートと異なり、Disc1に演技と解説の両方が収録されています。
Ancient Orb of Rubber Death (Needle Through Balloon)
普通のお客さんは観た後に「あーーね」「なーんだ」って納得するだろうけど、マジシャンが観て真似しようとしても多分出来ない。
Psychic Surgery
あ、これ昔、心霊手術で体調が良くなる。みたいに流行ったやつだ!ここが元凶かぁー。
割とマジで気色悪い現象。本当に詐欺に使えると思うので広めては行けない気がする。
Coin Vanish
フェアにコインを握ってから消す手法。
あー意外とこの消し方をジャンボコインでやるのは見覚えないなー。