所感:「At the Table Live Lecture Vol.5 – (OCTOBER 2014) – Nicholas Einhorn」
- 1. At the Table Live Lecture Vol.5 – (OCTOBER 2014) – Nicholas Einhornとは?
- 2. 所感
- 2.1. Money Deck & Coin Matrix
- 2.2. Unicorn Coin In Bottle
- 2.3. Signature Triumph
- 2.4. CO-Op
- 2.5. Gold Rush
- 2.6. Rainbow Deck
- 2.7. Nest of Wallets/Ring On String/Pro Flight/ID
- 2.8. 4 Tricks In 20 Seconds
- 2.9. Autographical Transposition & Serial Number
- 2.10. Hidden Influence
- 2.11. Carat & Schtick
- 2.12. IMP Force
- 2.13. The Martini Deck
- 2.14. Book Test
- 2.15. Blindfold Prediction
- 3. 最後に
At the Table Live Lecture Vol.5 – (OCTOBER 2014) – Nicholas Einhornとは?
2014年10月に行われたmurphy’s magic主催のオンライン・ライブレクチャー、Nicholas Einhorn(ニコラス・アインホーン)回。
氏は「Pro Flite」や「Nest of Wallets」といったギミックの考案者として知られるマジシャン。
TV番組「FOOL US」にも出演し、ペンとテラーを見事に騙していたりする。
所感
Money Deck & Coin Matrix
その後、4枚のコインと4枚のカードでコイン・マトリックスを行う。
マトリックスはオーソドックスなアル・シュナイダーの手順(だったよね?)で、知ってると思うけど一応解説するで?くらいのもの。
本体は最初のコインの出現である。
テーブルにデックをリボンスプレッドからのターンオーバーして回収するという、マジシャンがよくやる一連の流れを行うだけで、コインが4枚等間隔に並んで出現するのは非常にビジュアル。
言ってしまうとギミック・デックなのだが、これが中々面白い。
コインを4枚パームとかもしなくても、リボンスプレッドが出来さえすれば簡単に演じれる。
これやりたい。
作成はそれなりに面倒だが、ミゲル・アンヘル・ヘア氏なんかが使っていたジャンボコイン出す用のギミック・デックに比べれば楽。
レギュラーとのデック・スイッチについても解説されており、変わったものではないがめっちゃ実用的である。
Unicorn Coin In Bottle
原理的には古典マジックそのものだが、細部に至るまでハンドリングや見せ方が考えられている。
種知ってるけど、何でも観たい系トリック。
Signature Triumph
その後1枚のカードにサインしてもらい、トライアンフ。
予言のカードを引っ張り出すとサインしたカードが書かれており、ひっくり返すとサインカードそのものである。
トライアンフはスロップ・シャッフルを使った手順。
トライアンフとミステリー・カードを合わせたといった感じかな。
サインする際、デックの上に置いてそのままサインしてもらっているタイプ。
この手のサインのさせ方をした後に、広いテーブル・マットがないと出来ない動きをされるとわたしはとってもモヤっとするのだが、氏の動きは完全にテーブルがない状況下で演じる用に調整されていた。
手順自体にはそこまで興味が沸かなかったが、ハンドリングから氏の考え方が感じ取れて、嫌いではなくてよ!ってなりました。
CO-Op
一段で終わるシカゴオープナーのようなトリック。
原理的にはあれだ、カラーチェンジング・デックでよく使われるあれだ。
オープニングや自己紹介なんかで演じる用のクイッキーなトリック的な扱い。
Gold Rush
いわゆるリング・フライト。
消失の瞬間が非常に綺麗。まぁコットン的なあれを使うのだが、指輪に欠かせないとあるアイテムとして登場するので違和感がない。
あと、これなら観客から借りた指輪でなくても十二分に不思議なので、観客から時計や指輪を借りるのに反対なわたしでもリング・フライトが欲しくなりました。
良い演じ方。
Rainbow Deck
デビッド・ウィリアムソンのカラー・スタンナーが元。
これも構成が上手いですね。
Nest of Wallets/Ring On String/Pro Flight/ID
指輪がキーホルダーに一瞬で戻り(Pro Flight)、紐に通すが貫通したりを繰り返し(Ring On String)、インビジブル・デックを行い(ID)、指輪はいつの間にか4重のケースの中に入っている(Nest of Wallets)。
氏の代表2作を使った手順。
Nest of Walletsの方は解説されるが、Pro Flightは解説なし。
DVDだとすべて「Pro Flight」と記載されているんだけど、商品名は「Pro-Flite」である。
以降、ライブレクチャーに合わせて「Pro Flight」と記載している。
これはもう、ウケるでしょう。
この2作があったので氏をクリエイターかな?と思っていましたが、ゴリゴリのパフォーマーですよね。
氏の手順をそのままやってれば、それはもうめっちゃすごいマジシャンだと思ってもらえるでしょう。この手順はそんな甘い毒。
ただ、インビジブル・デックだけはちょっとチグハグ感がある。
4 Tricks In 20 Seconds
短い間に畳み掛けるアイスブレイクやらフックやらに良さげな手順。
シンプルだけどいいですね。
以前、コスチャ・キムラット氏のレクチャーを観たとき、1分以内くらいで見せるトリックをやらなくなっていた事に気づいたので、今はこういうショート・トリックがとても参考になっております。
Autographical Transposition & Serial Number
観客がサインした紙幣のシリアルナンバーを読み取る。
その後、100ドル札が1ドル札へ変わり、サインした100ドル札は1ドル札が入っていたはずのケースの中に移動している。
これも古典的な手法の組み合わせなのだが、やはり細かい部分のサトルティが良く考えられている。
わたしはクライマックスのところを観て、トミー・ワンダー氏がフォールドしたカードを出してたあの小箱のことを思い出した。
シリアルナンバーを当てる方は、観客からの質問を受けて解説される。
メンタルマジックらしく、図々しいが効果的な方法であった。
Hidden Influence
これも古典的なトリック。
これまでのトリックに比べると微妙な気もするが、同じトリックを小学生の頃に演じていた事もあるので嫌いではない。
Carat & Schtick
4回クラシック・フォースを決めろ!!
IMP Force
フォース技法。
ダニエル・ガルシア氏の「エゴ・フォース」やショートカードを使ったフォースとかの系統。
確実ではないが、覚えておくと重宝しそう。
わたしはこの手の技法、手品を始める前から引っかかったことがないので未だに半信半疑だったりする。
The Martini Deck
もう一度繰り返すと、今度は同じ色のカードを引いてしまうが、デック全体の色が変わっている。
ブレインウェーブ・デックに別の方向からアプローチしたらこうなるんだろうなというか、8カードブレインウェーブをさらにデック全部で出来るようにしなおしたらこうなるのかなって。
なんか、はじめてスベンガリ、インビジブル・デック、メンタルフォトグラフィー・デックとかを知ったときの気持ちを思い出しました。
ちょっと作ろうかな。
Book Test
本にはクレジットカードサイズくらいの名刺を差し込んで、そこの単語を覗き見てもらう。
タマリッツ氏の書籍『ファイブ・ポインツ』に収録されている「アルズ・トッパー」等と同じ原理。
アルズ・トッパーでは絵葉書を使ってましたが、小さくても結構問題ないんですねー。
Blindfold Prediction
マジシャンは目隠しをした状態で、封筒にどのマークが入っているのかすべて透視する。
目隠しは普通に見えないやつ。
封筒も木の板も、どれだけ調べられても問題ない。
これはサロンやパーラーで演じるときにめっちゃ良さそうですね。
用具を作成するのがそれなりに面倒ですが、一度作成してしまえば一生使えますし、労力に見合うリターンは間違いなくある。
カードじゃなくて木の板で演じるって、いいですね。超能力っぽくて。
ガッツリメンタリズムなので、演じるときは他の演目との兼ね合いに注意かな。
最後に
この回はめっちゃ当たりですね。
ここ最近観たものの中ではぶっちぎりで面白かったと思う。
基本的には古典を突き詰めた名人、って印象だが、売りネタになっている「Pro Flight」や「Nest of Wallets」のような面白いアイディアも持っている(「money deck」とか「Blindfold Prediction」とかも好き)。
名前を全然知らなかったが、こいつぁイケオジですぜ。
ちぃ、覚えた。
おすすめ。