所感:「French Connexion by James Chadier」

2020-10-31

French Connexion by JamesChadierとは?

フランスのマジシャンJames Chadier氏のDVD。同じくフランスのマジシャンであるMathieu Bichプレゼンツである。

このDVDに収録されているトリックはカードとコインについての技法・トリックがメインであり、かなりゴリゴリのスライトを使うものが多いのでスライト好きにはおすすめな内容である。

Right Caption

ゆき

氏のオフィシャルサイトとyoutubeチャンネルのリンクを貼っておきますね

所感

・チンカチンク系のトリックの解説では「X-ray view」として見えないコインもわかり易く表示

Palm Toss

氏の代名詞的な技法で「クラシック・パームからカードを飛ばす」技法である。

とりあえず行うだけであれば難しくはないが、実践するとなると中々難しい

手の大きさも割とダイレクトに問題になってくる

ただ、使いこなせれば色々と捗る技法なのは間違いない。

Color Change

Palm Tossをカラーチェンジに使う。

デックのトップにひっくり返したカードをチェンジするオーソドックスなタイプだが他のものと比べ、手によってカバーする範囲が比較的小さいためよりビジュアルに見える。

要練習だが気に入れば。

Table Color Change

テーブルに1枚のカード置いた瞬間にバックの色が変わるカラー・チェンジ。

Force

Palm Tossのフォースへの応用。

1枚ずつ配っていき、観客がSTOPをかけるとそのときカードがフォースされているという技法だが、配っている間は右手を配ることに使えないため、状況によっては不自然になってしまうのと、フェアにゆっくり配りました感が出ないのがマイナス。

Sandwich

現象観客の選んだカードが、テーブルに置いた2枚のカードの間に現れる。

Palm Tossを用いた小手順。
テーブル上に置いたカードへのアディションも解説。

手順としては、パームしたカードをダイレクトにテーブルのカードに重ねてるのと変わらないのだが、置いたカードの上に直接手をかざす割合が小さいため接触感がなくフェアに見える。

Triple Sandwich

現象2枚のジョーカーを挟むように、観客の選んだ3枚のカードが現れる。

逆コレクターみたいな現象、上記Sandwichの発展型。

あんま好みではない。もう少し頑張れなかったのか。

CROSSING HANDS

現象マットの右側に4枚のコインを並べ、両手を交差するたびに左側へコインが1枚ずつ移動していく。

2箇所で行うチンカチンクみたいな現象。

そういえば昔よく演じてました。見返すまですっかり忘れてましたぜ・・・。

チンカチンクの前や後なんかにも演じれる便利な手順。テンポよくひょいひょいと移動するのが気持ちいい

X-ray viewとかいうやつで、隠れてるコインも分かりやすく表示して解説してくれているの良いですね。

Looping

現象対角線上を持った1枚のカードがくるくると回ります。

回る勢いは強め。残念ながら即席では出来ない

日頃からとあるギミックを使っている人は覚えておくと役立つと思う。

Right Caption

ゆき

なんのギミックか書いちゃうとネタバレになるのが痛いね。あれを使っている人に「こういうトリックがあるよ!」って伝えれない

そういえばリチャード・オスタリンド氏が即席でやる方法を発表してましたね(マインド・ミステリーズ3巻収録の「アンカニー」)。

こっちは大分ゆっくり回ってたはず。組み合わせたら意外と良いのでは?

Rubber Penetration

現象輪ゴムをねじって交差を作って手前側の輪ゴムの一部を黒く塗り、弾くと黒く塗った部分が向こう側へ貫通する。

一人二人くらいにしか見せれないほど小さなマジックだけど、地味に不思議だし、即席で出来るので覚えておくといつか演じる日が来るかもしれない。くらいのトリック。

Fingertip Flick

現象ノーエキストラのチンカチンク。

コインだけでなく、指輪・ライター・折りたたんだ紙幣・携帯電話(ガラケー)のような手に収まるくらいのサイズであれば結構なんでも演技可能。

力技の多いノーエキストラ手順の中でも、かなりの力技。

観客が真っ先に想像するであろうタネそのままなのはちょっとキツイ気もする。

でも、練習してるとちょっと楽しい

Easy Matrix

現象4枚のコインが1枚ずつ消えていき、最後には1箇所から4枚とも出現する。

コイン4枚を菱形に配置した状態から始まるチンカチンク系。

前項のFingertip Flickと通常のチンカチンクで使うムーブのみで実演出来るのではあるが難しい。

Rhythm Count

現象観客に4枚の紙幣を握らせ、そこから1枚をひっそりと抜き取る。

大胆な手法だけど、中々に引っかかる。

カードなんかでも出来る手法で非常に有用

以降「Rhythm Countを使う」みたいな言い方をするようになるんだけど、それだとジェニングスの技法と名称被るんだようなぁ。

Open Kickback

オープン・トラベラーとオフバランス・トランスポジションの混成。(無理に新しい名前を付けるならばスローモーション・オフバランス・トランスポジションと呼べなくもない)

現象1枚のAをテーブルに置き、4枚のキングを手に持つ。
キングが1枚ずつ消えていき、最後にはテーブルに置いたはずの1枚のAになり、テーブルに置いたはずのAが4枚のキングになる。

興味深いプロットではあるが、手順自体はちょっと説得力に欠ける部分がある。

良さげなんだけどなぁああああ!

2&2

現象フラッシュ・マトリックス的なもの。
四隅にコインを置いて手をかざすと、2枚と2枚に移動した後に一瞬で一箇所に集まる。

Fingertip Flickを使った手順。あの腕の交差具合が気になるなぁ・・・。

チンカチンクは無駄な手の交差が無いのが良い所だと思うので。

2&2(4coins)

2&2を完全ノーエキストラにしたバージョン。

Fingertip Flickを使ってるところ以外は、他のノーエキストラ手順とどっこいどっこいかな。

パッと見、ダニエル・ガルシアの『シェイド』とか浅田悠介の『ステラ』とかの集合と見分けつかない感じ。

今であれば、もっさんの『Only Four』とかで良いような。

Copper Silver Strike

コインのチェンジ。

ギャフを使ったチェンジ。変化の瞬間、コインが見えた状態を維持したまま撫でるだけで変わる。

同じ目的のチェンジは他にも色々見かける気はするが、ここまでカバーを最小限でやってるのはあまり見ない気がします(フリッキング・フィンガーズの『the movie』で観た気もする)。

Right Caption

ゆき

意外と難しくないですかこれ

Squeeze Toss

テーブル上で行う技法と、それを使った手順の解説。 手順は4隅に置いたコインが1枚ずつ集合していくもの。

知ってても不思議ですね・・・。音の錯覚がいい感じ

ちなみに氏はテーブルの上にマットなしでも演じてました。マットなくてもいけるやつです。

わたしは出来ないので憶測入ってますが、おそらく左側からの角度に弱め(調整はある程度出来るが、左側のどこかしらに弱い部分が残ってしまいそう)だと思いました。

それ以外は特に言うことはなし。面白い。

クライマックスで行っている「Bluff ping Chien」という技法、これもよし。

Fan Change

現象4枚のカードをファンにした状態で仰ぐと1枚カードが変わる。

シンリムのツイストで使っているあれに似ているが、微妙に原理ややり方が異なっている

こちらの方が簡単だが、カードのコンディションに左右されやすい気がします

“alaForte” Coin Change

テーブル上で行うコインチェンジ。レギュラーをジャンボコインにしたり出来る。

正直変化した感を全く感じない、あまり好きではない。

便利だとは思いますけど。

Fingertip Ascanio Spread

指先に持って行うアスカニオ・スプレッド。

隠れるのは通常のアスカニオ・スプレッドと同じく中央。

ダミコ・スプレッドの枚数を増やした。って言い方がしっくりくるかもしれない。

Pushed

現象左手の下に4枚のコインを隠すが、一瞬で4枚とも右手の下から現れる。

3,4枚目を左手の下に入れる際違和感はあるも、一瞬で全移動は楽しい、不思議。

Matrix Mix

現象エキストラありのチンカチンク。

色々あらための工夫をしていたり、技法を使っていたりするのだが、原案で良いのではないでしょうか

Farward Squeeze Toss

Squeeze Tossの軌道を前方にすることで、Fingertip Flickと同様の使い方が出来るようになった。

例として解説される手順はFingertip Flickのところのチンカチンクと同じなのだが、こちらの方が観客に観られたくない操作をカバー出来ているので安全だと思う。

多少難しくはなりますが。

所感:Extra Tips,Ideas and Material

ボーナス・チャプター的なもの。
本編で使われた技法・トリックのプラスアイディアとかを収録。

Alaforte Change

“alaForte” Coin Changeをコイン以外のアイテムで行うアイディア。

The Fingertip Flick

観客に3枚のコインを握らせる際、1枚をひっそり加える使い方。 マットに置いてあるコインを3枚持ち上げて握ってもらう、というシチュエーションであれば有用。

The Palm Toss

カラーチェンジ後に即座にカードを示せるアイディアや、バニッシュさせたカードをトピットに処理する使い方、テーブルに置いた2枚の間に滑り込ますサンドイッチのやり方等。

サンドイッチ以外はアリだと思った。

Mixing The Techniques

2&2のマトリックスにスクイーズトスの音によるサトルティを加えたりと、DVDの内容を応用した手順。本編の解説を観て気に入った人は、ここもちゃんと確認しよう

The Squeeze Toss

スクイーズトスを使ったスリービングのアイディア。

頑張れば観客の手の上のコインとかも消せる。パンプキンシード・バニッシュみたいですね。

The Copper Silver Strike

コインでやっていたチェンジをカードでやる。

一周回ってどこかで観たことある感じに

Add a Fifth Coin Onto The Mat

チンカチンクのようなトリックでエキストラの5枚目を追加するアイディア。

この手のトリックをよく行う人は知っておいて損は無いと思う。どこかで見たことある気もするが。

Classic Palm Load & Classic Palm To Sleeve

クラシック・パームしたコインをスリービングするアイディア。多分めっちゃフラッシュする

所感:Real-Time Creative Session

スクイーズトスを使ったコイン・スルー・テーブルをひたすら考えて行っている。

さすがに現場で演じれる強さはないが、定点カメラからは綺麗に見える。

最後に

収録されている手順というよりは、各技法が印象的だったなぁという感想。

カードならパーム・トス、リズム・カウントの技法、コインなら「CROSSING HANDS」「2&2」「Pushed」に代表されるチンカチンクっぽいトリックと、それらに使われる技法群が良かったなと。

技法好きな人や、チンカチンク系のトリックが好きな人は気に入るんではなかろうか。

面白いDVDだったと思います。

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