人はなぜ、死者を弔おうと思ったのか?【VOICEROID動画】

The origin of the funeral

人が仲間の死を悼み、遺体をゴミのように捨てるのを止めたのはいつなのか?

というようなことや、喪服、棺、墓石といった共通の「考え方」から生まれたものについても触れる解説動画を作ってみました。

ニコニコ動画にも投稿しているのでそちらでも視聴出来ます→ニコ動の動画ページ

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ゆき

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葬儀の起源

仲間の遺体をゴミのように捨てるのを止め、最初に埋葬するという行動を取り始めたのはおよそ5万年前のネアンデルタール人なのだそうです

ただこれは、仲間の遺体を他の動物に食べられないように隠しただけ、なんて説もあって、どういった意図があっての行動なのか断定できない、というのが今の所の見解のようです。

ただ事実として、イラクのシャニダールで発見されたネアンデルタール人は、遺骨とともに、狩猟に使っていた武器、炭、花の花粉が一緒に埋葬されていた痕跡があったのは間違いありませんでした。

そして、これ以降の葬儀の歴史を知ると一番気になるのは、炭、松明を焚いた痕跡があったという部分です。

それはさておき、それから時代は大きく進んで古代ローマ

この頃には葬儀という行為は当たり前のものになっていました。手法としては、初期には火葬を主としていましたが、その後に火葬と土葬が入り混じり、その後ほとんど土葬に置き換わったようです。

ではここで、そもそもどうして葬儀なんてことをしようと考え始めたのか、というところですが、ローマで葬儀の際、初期には火葬という形態を採ったこと、火葬までの間、遺体の周りに火をつけたろうそくを立てていたりしたこと、これらの行為は、死者を悼む気持ちから来た行為ではありません

一度肉体を離れた魂が、舞い戻って死体を生き返らせたりしないようにという用心のため、つまり古代の人達は、死者の復活を、死者の霊魂の存在を非常に恐れていたんです。

葬儀の際に炎を使ったのは、霊魂は闇を住処とし、光を恐れるはずだ、という考えからだったのです。

もちろん、葬儀に関わるすべての行為が恐怖から来ていたわけではなく、死後の世界で困らないように、故人が良く使っていた日常品を一緒に送るという行為も、この頃にはすでに見られました。

ですが、葬儀に関わるものの中には、死者への恐怖心が由来になっているものというのが意外とあるんです。

喪服と棺と墓石

それでは次からは、恐怖心が由来になっている葬儀にまつわる事柄について話していきましょう。

葬儀の際に着る喪服は、世界的には黒が一応は主流です。(中国やインドのようなアジアや、一部ヨーロッパでは「白」という地域もある)

葬儀の際に喪服を着ること、葬儀以降一定期間の間喪服を着て過ごす「喪に服す」という習慣、これらも元をたどると、実は霊魂への恐怖が由来になっています

古代の人が、死者の霊魂が肉体に戻り、死体が復活することを恐れていたと述べましたが、霊魂が死体に戻るのではなく、生きた人間に取り憑くかもしれない、そういった恐怖も感じていました。

そして、取り憑くのであれば、生前近しかった人間にであるはずだ、とも。

そのため、古代の白人たちは肌を黒く塗ることで死者の霊魂を欺けると考え、実行していたそうです。

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ゆき

アフリカには同じ考えで、葬儀の際に肌を白く塗る、という部族が現在もあるそうですよ

これらの「肌と反対の色を塗ることで霊魂から隠れる」というカモフラージュが「黒い喪服」「顔を隠す黒いヴェール」という形へ変化し、現在も残る風習となったのです。

黒という色は、死者を思い哀しみを表現しているなどでは決してなく、霊魂から逃れ、隠れるためのカモフラージュとしての色だったんですね。

喪服のように、ネガティブな理由から生まれたものは他にもあります。
棺と墓石、これらもその発祥は同じく、死者への恐怖によるものでした。

棺を意味する英語「coffin」という単語は、ギリシャ語の「καλάθι」(籠)から由来する言葉で、紀元前4000年、サマリアでは小枝で編んだ籠の中へ遺体を入れていて、このことが由来になっています。

最初は編まれた籠の中へ入れていましたが、万が一にも抜け出したりしないようにとの理由で、籠から木製の強固な棺へと変わっていきました。

そしてこの、万が一にも・・・という考えは次第にエスカレートしていったようで

地下に深く穴を掘り、木製の棺に入れれば大丈夫だろう

棺の蓋にはしっかりと釘を打ち込もう

埋める前に蓋の上にたくさん石を置いて重しにしよう

埋めたらダメ押しに大きな石をさらに上に乗せよう

この、一番上に置かれた大きな石が、墓石のはじまりなんだそうです。

これだけすれば死者が蘇ることはないだろう。そう言いたいかのように、昔の棺にはいささか多すぎる量の釘が打ち込まれていたそうです。

どれだけ死者の復活を恐れていたか分かるエピソードですね

ヨーロッパの北部の一部ではさらに過激で、遺体を縄で縛り、頭と足を切り落とした上で埋葬する、なんて地域もあったそうですよ。

墓石に名前を彫ったり、墓を訪れて故人を悼むようになるのは、結構後のことらしいです。

というところで、現在でも残っている葬儀にまつわる風習の中には、死者への恐怖が由来になっているものがある、というお話でした。

もしかしたら他にも、そういう事柄が残っているかもしれませんね。

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Posted by ゆき