マジケ関連品所感:「カラーユニバーサルマジック – 森司」

2021-04-29

カラーユニバーサルマジック by 森司とは?

手品イベント「マジックマーケット2019」において、森 司氏(KitCut)が頒布した14pほどの小冊子。

手品の手順解説はない。

追記

マジックマーケット2021春に、サークル「KitCut」から販売されるので追記させていただきました。

所感

無理に分類すれば理論書や啓発書になるのであろうか。

森氏は色弱であり、マジックを見たときに「何が不思議なのか理解出来ない」というケースがあること、自身の経験談からどういうときにその問題が顕著かやそれを改善するアイディア等について書かれています。


タイトルの「カラーユニバーサルマジック」という言葉は、「カラーユニバーサルデザイン」と「マジック」を合わせた造語だそうです。

カラーユニバーサルデザインという概念は、一般の人と異なる色覚を持つ人に「も」情報が伝わるように色使いにも配慮された設計のことで、鉄道などの公共交通機関や災害に対する注意警戒情報等でもすでに浸透している概念であり、言葉は知らなくても誰もが少なからず接しているものです。

色弱という言葉を知らない人もいるかも知れませんが、日本だと男性の20人に1人は色弱だと言われています。
男性ばかり集めてクロースアップショーをすれば、観客の中の1人くらいは色弱、っていう割合です。思ったよりも多いのではないでしょうか?

ジョン・カーニー氏が「自分が認識した事は、観客もすぐ認識出来る。と考えてしまっていたことは、駆け出しだった頃にしていた私の大きなしくじりだ」といった話をしていました。

失敗して学べればまだ良いですが、マジックを見て色弱のため現象が理解出来なかった人はわざわざマジシャンに対して「わたしは色弱で何が起こってるのか理解出来なかった」などとは言わないのです。

ただ何も言わずに去るのみでしょう。

老眼のため色々なものが見えにくくなっているのに「周りが盛り上がってるからわざわざそんな事言う必要はない」と我慢してくれてるだけの人も居ます。

物事を改善するには、改善しなくてはいけないことが存在していることに「気づかなくてはいけない」のです。

この小冊子はそんな「気づき」を与えてくれる1冊です。

森氏は、色んな人に知ってもらいたいけど14pしかないのに500円(頒布の際の値段)は高すぎるしと危惧していましたが、1人でも多くの人を楽しませたい、なんてことを少しでも思っているのであれば、読んで損のない内容だと思います。

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マジシャンのよく言う「一般人向け」という言葉の中に、色弱の人は入ってないと言うのであれば別にいいですけど。