所感:MAJION LIVE Lecture -TAKAHIRO-
MAJION LIVE Lecture -TAKAHIRO-とは?
2019.08.24に行われた、MAJION主催のLIVE LectureのTAKAHIRO回。
氏は『World’s End』や『Globule』といったDVD作品集を発表、特にコインの名手として知られている。
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*PV内で演じられているトリックはLIVE LECTUREでは解説されていません。TAKAHIRO氏がどんな手品を演じる人か知ってもらうための参考動画です。
所感
・TAKAHIRO氏は手汗が多いタイプらしい
3Fly
見た目はオーソドックスでテンポの良い3フライ。
1時間ほどの時間を割いて詳細に語られる、ダロー氏の『3フライⅢ』の手順を元に構築した3フライだそうです。
使用するコインはレギュラーでソフトコイン。モルガンのワンダラー。
簡単にではあるが、銀貨の燻し方・ソフト化についての話がされており、加工について知らない人には助かる情報になるのではなかろうか。
ちなみにTAKAHIRO氏が使用しているコインは、高校時代に加工して以来まったく手入れ等していないのだとか。
3フライではメジャーな手法であるスライドバックについてだけでも、TAKAHIRO流のサトルティや工夫が加えられており、ディテールに拘りたい人には嬉しい解説。
コインの移動と出現のタイミングや演出についての言及もあり、手品する人にばかり見せていると忘れがちな点・演技開始時の注意点なんかは聞いておくのが良いだろう。
5回の移動現象がテンポよく行われるが、ユニークな手法が多く使われている。
全体を通して「コインを指先に持った状態で現象を起こす」というコンセプトになっているようで、特に最後に行われる1枚のワンハンドバニッシュは必見。
3Coins Across
えらく尖ったコインアクロス。
エキストラなしレギュラーのみ。ソフトコイン推奨(必須ではない)。
マニアックな構成のアクロスで、2枚目の移動で行われているムーブは特にユニーク。
ビジュアルだが難易度は非常に高い。
吉田氏「(TAKAHIRO氏は)本番に強い」
TAKAHIRO氏「だろ?」
ラッピング
TAKAHIRO氏流ラッピング解説。
非常に有用です。今回の解説はカードで行うもの。
また「緊張」しないための心構えの話もしています。人によっては使えるかもしれません。
吉田大介氏が度々ネタにしていました(吉田氏のLIVE LECTUREの際にもこの話を掘り返しています)。
Black Hole
謎のブラックホールが書かれたカードに他のカードが吸い込まれていく。
使用するギミック?カードはブランクカードにマッキーで黒く書いただけなので簡単に入手可能。
おまけとして、レギュラーで行うカニバルが1枚だけのカニバルカードの演技(Black holeとほぼ同じ手順)もあり。
flying MANAKA
黒いカードの中に1枚だけ混ざった赤いクイーンを手札から捨てても、手元に帰ってくる「フライングクーン」にクライマックスを付加した手順。
週刊マジオン(2017年4月号)にゲスト出演した際に解説された手順。
タイトルの由来が明らかになります。
マジシャンが見ても引っかかる構成が素晴らしい。
複数回ラッピングする際の衝突音対策について言及されている数少ない解説を含む。気になっている人多いのではないだろうか。
対談前半
ずぼらな手法について/こだわりについて/クラシックパームについて/TAKAHIRO氏のマジカルジェスチャー
Pit Hartlingの書籍『Card Fictions』(日本語訳あり)に書かれている「パフォーミングモード」というコンセプトについて少し触れられるので、知っておくと良いかもしれません。
TAKAHIRO氏が手順を構築する際にこだわっている点、クラシックパーム(コイン)をする際に気をつけていること、コツ、練習方法等について4人で話します。
また、TAKAHIRO氏が無意識で行っていたマジカルジェスチャーについて、みんなで分析を開始します。
Trapdoor Move
コイン1枚を消すムーブ。
レギュラーでも可能だが、ギミックを使うことを推奨している。
ビジュアルだが地味に難しい。
対談後半
良いマジック悪いマジックについて/良いマジシャン悪いマジシャンについて/創作した手品を見せる対象/マジックを上手くなりたい初心者へアドバイスするなら?
これからマジックを始めようとする初心者へ向けて、何をどうすれば良いか?といった話について4人で語っていきます。
初心者達に聞いてほしいところであるが、初心者はきっとこのLIVE LECTUREには辿り着かないのであろうな・・・。
最後に
どれもユニークで刺激的な作品ばかりであるが、実演するには難易度が高め。
上手くなることに貪欲なコインマン/カーディシャンであれば得るものは非常に多いのだが、反面、練習嫌い・難しいことをしたくないという人には観賞用になってしまうだろう。
何をしてでも上手くなりたい人、TAKAHIROファンにはおすすめ。