「TECHINT」とは?
北原禎人氏の、カードマジックに使用する技法集DVD。
映像露出ほぼ皆無である「北原禎人」を観ることが出来る数少ない映像資料である。
所感
- 独特なタッチの技法集。
- 解説は必要最低限にとどまる。
Zip Up Spread
PVにも映っている特徴的なテーブル・スプレッド。
「カードを啼かせるには?」という発想から生まれたらしく、広げる際にスプリング音がする。マットが無くても広げられる利点もあり。
Liquid Shift
デックとの接触感を減らしたダブルリフト後のリプレイスメント。有用。
Marshal Lift
ワンハンドのダブルリフト。ダミコ・リフトのバリエーション。
ダロー氏が『アンビシャス・カード』の中で解説している、ワンハンド・シークエストをスマートにしたものだと思ってもらえれば。
Solid Shift
ダブルカードを置く動作で1枚をパームする技法。
使用例として手順と呼べるものが収録されています。(ジョン・ハーマンの「ツインズ」がクレジットとして記載されていますが、「ドクター・デイリーのラスト・トリック」と言った方が伝わりやすそうですね)
Quantum
Marshal Lift+Solid Shiftで行う最小限のテクニックで構成されたカードフライト現象。
Drop Wink
Solid Shiftをカラーチェンジ的に見せる。
Cliff Control
デックの配列を変えずに、リフルの動きでトップのカードを任意の場所へ移動させる技法。
ドリブルフォースやクラシックフォースの準備動作を小さく出来る。
トップに固まっていれば複数枚でも行える。
Bench Force
wowコントロールをフォースに応用した感じ。
Casimir Production
フラリッシュとカーディストリーの間・・・くらいの動きからのプロダクション。
Spinal Lift
ワンハンドダブルリフト。使う人を選ぶだろうが、なんだかんだで有能な気がする。南担当。
Flat Wink
左手のみで行うワンハンドのカラーチェンジ。
Richard Hucko & Jo SevauのDVD『Subtle Concepts』に収録されている「Mechanics Shift」とほぼ同じかと。
Kepler
ダブルリフト後に、「確実に1枚」と錯覚させるサトルティ。的確なタイミングで使えると非常に効果的。
Basel
ちょっとしたフラリッシュ。
観客に一枚だけ渡すとき等、取りやすい位置に持っていくムーブ。さり気なく出来るとかっこいい。
ワンハンド・ディールにも応用可能。
Molt Change
db Spin change(Dan And DaveのDVD『The Trilogy』に収録されているトリック「Swiss Made」の中で使われているカラーチェンジ)のヴァリエーション。
デック内に表向きのカードが残らないのが特徴。
db Spin changeと比べると、Molt Changeは現象後に両手が妙に接近するタイミングがあるので一長一短かなと。
Spin Shot
カードが回転しながら飛び出してくるプロダクション。使いやすく便利。カッティング・エーセスのピースにも。
Spin Shot Sybil
シビルからのSpin Shot。
Perpetual Cut
ものすごいスムーズな連続シャリア・カットっぽいフラリッシュ。
Adaman Control
Perpetual Cutを使ったコントロール。
TC Control
ワンカード・パスやピンキー・シフトの類似技法。
Ligand Production
リボン・スプレッドからターンオーバーを繰り返す中で1枚プロダクションされる技法。
見た目に分かりやすく受けるとおもんます。ターンオーバー時にフェイスが見えるため工夫を要りますがカッティング・エーセスのピースにも使える。
Porno Link
ストローに輪ゴムがビジュアルに貫通する。
Hanson Chien氏の『Touch』に収録されているCrazy Hanson’s Handcuffsと同じ。
Thorndike
氏の著書『lemon』に収録されているものの映像化。知らない人が見たら、あの解説で分かるのであろうか?
総評
タイトルの「TECHINT」とは「technical intelligence」(技術情報)という英語の略語。
全体的な難易度は、そこまでぶっ飛んで難しいというわけでは無いが地味に難しいと言ったところ。
また解説は非常に淡白かつ、ダブルプッシュオフくらいは出来ますよね?と言いたいがの如く基本的な事柄は省略されているので注意が必要。
PVを観て、自分の演技に取り入れたいと思う動きを見かけたら購入すれば良いと思う。
スクリプト・マヌーヴァのサイトからであれば、4つのセクションに分けたダウンロード版もあるので、そこで試しに一つ購入してみれば良いでしょう。
このDVDに興味を持った人は「カードで使えるテクニックが知りたい人」か「北原氏の書籍を読んで映像だとどうなのか気になった人」だと思うのだが、前者のカードテクニックを知りたい層にはおすすめ出来る。ただ、すでに基本的な技術を習得していることが前提であることを念頭に置きたい。
また後者の「書籍を読んで興味を持った層」だが、氏の著書は基本すべてメンタリズム系のため、本作DVDと他作品集とでは客層が異なっているので、単純に「生で演じてる姿を観たいと思った」というのであれば期待はずれになる可能性が高い。特に「メンタルマジックは好きだが、カードマジックは嫌い」という人であれば観るだけ時間の無駄になる。
内容は良いが、手を出すならばこの辺を分かった上で購入するのが良いと思いますぜ。