所感:「The Devil’s Picturebook Disc1 by Derren Brown」
The Devil’s Picturebook by Derren Brownとは?
手品をやっていない人でも知ってるレベルで有名な、イギリスのメンタリストDerren Brown(ダレン・ブラウン)の2枚組DVDのカードマジック作品集。
Disc1はスライト使ったカードマジックで、Disc2はメンタル系のカードマジックが収録されている。
今回はDisc1の感想。
所感・Disc1
THREE CARD ROUTINE
ホーンテッドデック、カードの変化、ポケットや靴への移動。
再度デックに戻してからのストップトリック、スペリング、エニーナンバー。
2度のカードアンダーザボックス、デックバニッシュ、カードインザボックス。
演技時間は大体8分くらい。
ただ、実演では観客がそこまで大げさに干渉していない(リアクションが薄いとかでなく、撮影されてるので多少遠慮してる感がある?くらい)ので、実際にやると10分少し超えるかな?といった感じだと思う。
色んな現象が立て続けに起こるので、この手順を覚えておくだけでバーやホッピングなどで演じる際に非常に強力な武器になると思う。
また、ある程度区切って行っているので、時間の調整に手順をカットしたりも出来て便利。
事前のセット等は不要、そこも便利。
そのまま演じる場合、座ってないとツラ・・・伏せるめんどくせぇ、ラッ○ングする箇所があるのでそのへんは上手く考慮したい。
ホーンテッド・デック
レギュラー・即席で出来るものの中ではベストだと思います。
左掌に置いて、指が触れないようにフェアに伸ばしてからデックが分かれるタイプです。
あ、ここで取り出すのは1枚だけ(やろうと思えば3枚いけるけど)。
カードの変化
一部座っていないと出来ない操作あり。
ホーンテッドデックで取り出したカードが、他の観客の選んだカードに変わっていく。
後で行うカードの移動の準備の一部をここで行っているので、ラッ○ングなしで出来るように構成したい場合は、次の移動についても考えないといけない。
考えたくない人はバレないように全部パ○ムすればいいと思うよ。
カードの移動
右ポケット・左内ポケット・靴の中へ移動する。
左内ポケットに移動させるにはジャケット着てる必要があります。あ、内ポケットない服でも「内ポケ付いてますよ」感を醸し出せれば問題はないです。
一部の移動は前段階の時点ですでに準備終えているので、その辺の考え方はとっても好きです。
ストップトリック、スペリング、エニーナンバー
タイトルとおりです。
一旦観客のカードをすべてデックに戻してから始める。
最後のエニーナンバーは観客にシャッフルしてもらってから、すぐさま配り始めるのでその辺りはフェアに見えます。
まぁ前後にちょっと難易度の高い技法が出てきますが、レナート・グリーンとか好きな人なら平気でしょう多分。
配り切る瞬間に使ってる方の技法、複数枚のカード当てでやると説得力増すなぁと思ったりしました。
ダレン氏が上手いだけな可能性もありますけど。
カード・アンダー・ザ・ボックス、デックバニッシュ、カード・イン・ザ・ボックス
3枚まとめて箱の下に移動を2回繰り返す。
箱はマジシャンから見て右手側。
良い感じです。2回目の移動、1枚だと微妙だと思いますが、3枚同時に行うことでイントランジットアクションがこーいい感じになってて良かったです。これならやりたい。
箱の中への移動はまぁうん、そうか。
って感じで、オフビートでやれば何でもいいんじゃないかなぁ、くらい。
デックバニッシュは今となってはメジャーな手法ですが綺麗です。上手いなぁ。
気に入ればダニ・ダオルティスらが出ているDVD『LAP』とかが勉強になると思います。
こう見ると全体的に詰め込み過ぎに見えるような気もしますが(昔の自分なら間違いなくそう思っていた)、実際に演じるとこのくらいの構成がちょうど良かったり。
ダレン氏が実際にバーなんかでやっていた手順なのかもしれませんね(もしかしたら言ってるのかもしれないけど)。
バーなんかに出演し始めたマジシャンなんかには特におすすめ。
MIKE’S MOVE
Olmacのワンカードパスや、アルス氏のアルスコントロールのようなコントロール。
ほぼ後者かなと。
未修得の人はどんぞ。
CARD UNDER BOX
とりあえず上手いです。
理想的な形のアンダーザボックスだと思う。
3回目は箱とデックをポケットにしまい、観客のカードだけを1枚だけを指で押さえておいてもらうが、気づいたら箱がテーブル上に戻ってきていてその下には観客のカードが。といった具合。
箱はマジシャンの左手側。
OIL&WATER
4枚×4枚で一度分離を行い、2枚増やして計10枚で分離、続けて混合。
カウントを使った中々強引な手順。
フェアに示せるのはクライマックスの混合くらい。
個人的にはあまり好みではない。
途中某ゴースト的なカウントのあとに使っているサトルティ(ヘルダー・ギマレスがよくやっているものと同じ目的の動き)は良かった。
ZAMIEL’S ROSE
カードをポケットにしまうとまたカードが出現。
しまうたびに出現し、最後には観客のカードが出現するが、薔薇の花びらになって消えます。
やめてください、下手な子が真似したら大変なことになるでしょ!
終始ビジュアルな現象で埋め尽くされた手順。
動画映えする。
バニッシュ、ワイプトクリーン、シャトルパス等どれも良い、この行だけ読んだらコインマジックにしか見えないけどカードマジックだ。
カードのシャトルパスを使った手順には、よくダレン氏の名前がクレジットされているのでこれが元凶なのであろう。
角度?弱そうに見えるけど、実はそこまで弱くないぞ。
薔薇の花ビラとか勘弁してほしいよね、イケオジ(イケてるおじさんの意)かよ!
SMOKE
タバコがカードになる前に、マインド・リーディングのように覚えたカードを当ててるのでちょっと書いた現象と違いますね、すまぬ。
ギミックを使うので演じるならばちょっと大変。
タバコを吸う人には厳しい昨今、そこも大変。
マインド・リーディングとデックからカードが消失する部分と、タバコがカードに変わる部分は別の仕組みなので必要なエッセンスを自分に取り込むのは可能かなと。
タバコ部分の解説、ちょっと理解出来ない部分があったり。
タバコを吸うマジシャンなりのエチケットみたいなものってあるんですかね?灰皿はテーブルに置かないみたいな?
その辺りはちょっと分からぬ。
演じる場所をわきまえれば、非常に良いトリックだと思います。
最後に
メンタリストとしてのダレン・ブラウン氏しか知らない人が見たら面くらうであろうゴリゴリのスライトをしれっと使う手順ばかりだが、奇をてらったものはなく、観客からは分かりやすい現象だが、手法については妥協がない、理想的なプロの手順とかそんな感想をいだきました。
メンタリストがスライトの面だけすら、そこいらのカーディシャンよりも遥かにレベルの高いことやってるので始末に負えません。
スライト好きのカーディシャン、特にホッピングやバーで演じる機会が多い人や、ダレン・ブラウンのメンタリストじゃない一面を堪能したいファンとかにおすすめ。
さてDisc2はメンタル系のトリックメイン。
気が向いたら感想書いておきたいですねー。