所感:「Palm Delusion by うぇる」
Palm Delusion by うぇる とは?
愛媛の住むアマチュアマジシャンうぇる氏が2018年開催のイベント「マジックマーケット2018」で頒布したDLC。カードに記載されたQRコードからアクセスする形になる。
内容は、カードマジックを2種類とその中で用いる技法とコメンタリーからなり、トータルで52分くらいの長さ。
タイトルの「Delusion」は欺くなどの意味であり、カード技法のパームでゴリ押しするというマジケという場に相応しい頭のネジが何本か飛んでるコンテンツになっている。
2021年冬開催の「マジックマーケット2021冬」において単独で出展されるようなのでご参考にでもなれば。本作は出ないようですが。
余談であるが、2018年のマジケで氏は3名のサークルで出展していたのだが、うぇる氏は当日参加することが出来ずブースでPVだけを流していた。
PVを見た人達から「生で実演が見たい」とリクエストされるも、他の2名は「すいません。この人今日来てないんです。こんな頭のおかしいこと出来ません」と断り続けた。
所感
カード技法「パーム」に焦点を当てたコンテンツ。
焦点を当てたというよりも、とりあえずパームでゴリ押しただけである(二度目)。
一応フォローしておくと、初期はそこまでおかしくなかったらしい(普通の技法を一部で使っていたらしい)のだが、氏の友人の頭のおかしいコインマンに「え、なんでそこ甘えてるの?なんでそこパームにしなかったの?」というようなことを言われた結果、収録された手順に至ったとかなんとか。
2人に確認した結果、
ふ「俺そんなこと言ったっけ?多分気のせいか何かの間違いですよそれ」
う「僕も正確に覚えてない、、、ですが言われたとしたらふーさんなんだけどふーさんが覚えてないならたぶん発言してないんでしょう、、、」
とのことでしたの、上記のフォローはなかったことにしてください。間違った情報を載せてすみませんでした。最初から頭おかしかったみたいです(´・ω・`)!
2作品に関しては観賞用になる人がほとんどであろうが、解説されているパーム関連の技法や、コメンタリーで語られているコツなどはカードマジックをする上で非常に参考になる。
ただ、一から覚えようという人には少し難しく、すでにパームを習得していて使っている人向けにはなるとは思う。
語られている内容は基礎をきちんと学んでいない人がよく陥ることなので、聞いておくに越したことはないでしょう。
技法の解説は、ボトムパーム、ボトムパームからのリプレイスメント、パームを使ったすり替え、シャリアカットの中で行うアクションパーム、ワンハンドパーム(複数枚)。
繰り返しになるが基本的なパームが出来る人が上達するために参考にする。っていう内容だと思う。シャリアカットパームとワンハンドパーム以外(ヘルシェイクと名付けられている)は。
ワンハンドパーム(ヘルシェイク)が難しい人はこっちのが簡単やでと代替のやり方が解説されるのだけど、ほとんどの人からしたら、なんかもう大してかわらんくねー?と思わないでもない。
このワンハンドパームはレイ・コスビー氏も似たのを解説しているのを見たことがある(DVD『インポッシブル・カードマジック』の中で)けど、あっちはなんか挫折したが、うぇる氏の解説ではなんか普通に出来るようになったので(人に凝視された状況下で出来るとは言ってない)、レイ氏のを挫折した人でもワンチャンいけるかもしれません。
ただこのDLCには一点大きな欠点があって、基本的の音量がとても小さく聞こえづらい。
加えて言うならば、straylight exchangeの実演だけBGM音量が大きいのでめっちゃビビりました。
とはいえもう入手できないコンテンツなので、パームが上手くなりたいんだがっ!って人は、大人しく別の資料、ミゲルゴメス氏のレクチャーDVD(日本語はないよ)か、マイケル・クロース氏のDVD『シグネチャー・エフェクト』(日本語あるよ)を見たら良いと思います。
総評は、マジケらしくて良いコンセプトのDLCなのではないでしょうか。
以下、収録の2作品について
Palm Delusion
いわゆるオフバランストランスポジションである。
PVではここからさらにもうひと現象あるのだが、解説時に「やらなくてもよい」と言い張ってるので上の現象の書き方をした。
ちなみにだけどオフバランス・トランスポジションは、Bill Goodwin氏の『lecture1988』に収録されている「For One Transposition」と、そのアップデート作品である同じくBill Goodwin氏の『Reflection』に収録されている「Off Balance Transposition」(書籍『The Ancient Empty Street』にも収録)が原点になってるのかなと。
新しい年代になってくると、グラスホッパー系やビジター系のサンドイッチトリックのピースとして出てくるイメージである。
デニス・ベア氏の分類だと「Asymmetric Transposition」(非対称転移)っ分類の中に入ってますね。この辺は長くなるのでいいよですよねはい。
出来るかどうかはさておき(難易度的な問題で)、見た目は非常にスッキリしている。
straylight exchange
Ernest Earick氏の「Jack Syna(ps)ces」(書籍『By Forces Unseen』収録)とか、Bill Goodwin氏の「Slap Exchange」とかの現象。
記憶にあるのだと、Dorian Rhodell氏のDVD『AVENUE』に何作か同現象のトリックが収録されてたり、Irving Quant氏のDVD『Quantum Mechanics』にもいくつか収録されていた気がする。
エースとキングのパケットを一度同じ向きで重ねてしまうため、どっちがどっちが分からなくなってしまい説得力が弱まっていた感があったが、最後のトランスポジションへ至る直前のシークレットな動作が面白かった。あーまじかーと。