所感:「Center Stage by John Guastaferro」

2021-02-06

Center Stage by John Guastaferroとは?

質の良い作品集を連発するJohn Guastaferro(ジョン・ガスタフェロー)氏の2枚組DVD。
収録されているのはほぼカードマジックで、他の媒体ですでに発表されているものも多かったがなんだか販売価格が安かった

ガスタフェロー氏の手品を見たことない人は、お得なのでこのDVDから入ってみるのも良さげ。

日本語に翻訳された書籍なんかも多いので勉強しやすいと思う

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ゆき
正直解説をガッツリ聞くと疲れるので、書籍に頼った部分多かった

所感:Disc1

Lost and Found

現象 サインカードをストラップ付きのカードスリーブに入れ、ジョーカーで挟むが忽然とサインカードが消え、デックから現れる。

今度はジョーカーで何も入っていないスリーブを挟むが、スリーブの中にサインカードが現れる。

ガスタフェローといえばこれ、的なトリック。

わたしは氏の1stDVD『Brainstorm』で観て衝撃を受けた覚えがあります。

観客が持った状態で、スリーブの間に出現する瞬間は特筆に値する

ストラップ付きのカードスリーブさえ準備しておけば即席で演じれるので、さくっと用意しておきたい。
ただストラップ付きのIDカード用スリーブは、スリープに対してストラップが縦方向にはついてるものが絶妙に少ないので、トレカ用のものに丸穴パンチで穴を開けて作るとかが良さげである。

DVD『Brainstorm』や書籍『ジョン・ガスタフェロー カードマジック』(原題:『ONE DEGREE』)にも収録されている。

アレックス・エルムズレイ氏の「Economy Class Departure」辺りからの出発かと思ったら、ロイ・ウォルトン氏の「Jefferson’s jest」というトリックの影響が一番大きいのだとか。

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ゆき
へ~これ知らなかったのー

Gemini Squared

現象 2人の観客にカードを一枚ずつ配っていってもらい、配り止めた箇所に名刺を置いていく、を繰り返し4箇所に名刺を置く。

名刺を置いた箇所のカードを見ると、名刺に書かれたカードと一致しており、選ばれたカード以外はすべて・・・。

ジェミニ・ツインズに色々足したトリックで、DVD『Brainstorm』に収録されていた手順のさらにアップデート版だとか。
書籍『Three of a Kind』(日本語版。元は3冊だったノートをまとめたもの)や書籍『HANDS OFF MY NOTES』(日本語版あり)にも収録されている。

非常に効果的。仕事をしているマジシャンであれば、そのまま使った名刺を渡してしまえば名前覚えてもらえるんじゃないかな。

あとセルフワーキングだよ

Zen Bend(and Ring on Straw)

現象 ストローがゆっくり曲がっていく。
その後指輪が出現し、指輪とストローを使ったミニ手順。

レギュラーのストローを使って即席で行うことが出来、そのまま手渡しも可能
曲がり方はテンヨー商品である『超スプーン曲げ』を彷彿とさせる、重力に対抗した感じの曲がり方。

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ゆき
これは良い

書籍『Three of a Kind』にも収録されている。

ここまでがZEN BENDのトリックで、後に続く指輪とストローの手順もシンプルながら即席で出来るので覚えておいて損はない。

めっちゃ綺麗に指輪がストローに貫通して入ったように見えますやん。

こちらは氏の作品集に掲載されているのは覚えがない。

画期的なアイディアはないが良手順

Ballet Cut

ガスタフェロー氏の代名詞といえるフォールス・カット。

派手過ぎず嫌味ないレベルで観客の目を引くフラリッシュ。
カーディストリーまではいかないレベルのフラリッシュ。

結構色々な応用法があるので、演技のアクセントにいいと思う。

カーディストリーとフラリッシュって何が違うねん・・・となった方はこちらの記事とかどうぞ

Assembly Line

現象 4人の観客に4つに分けたパケットを渡し、さらにキングを1枚ずつ渡していく。
3人の観客のパケットからキングが消え、4人目の観客のところにキングが集まる。

アセンブリというよりかは、個人的に「フォーバーグラーズ」と呼びたいところだが、現象としては大体同じようなもんなんですよね。

サロンくらいでも演じれるアセンブリに一見見えるけど、参加してる4人の観客以外からだとちょっと集中力が切れる気がしたので、サロンでも演じれるというよりは、クロースアップでも大きく見せれる。くらいかな?と感じた。

観客が4人だと最高のPerformanceを発揮しそう。

書籍『Three of a Kind』にも収録されています。

Multi-mental

現象7人の観客が見て覚えたカードを、色々方法を使って次々と当てていく。

準備無しで演じられる、トリネタにふさわしいトリック

使用されているコロンビーニのファイアワークス・コントロールも非常に便利で使い勝手がいい。

現象を起こす際に、次の現象の準備も行ってる手順の構造はなんというか大好きです。

基本的に7人を対象に最適化されている手順ではありますが、バーやホッピングなんかで演じてて、7人より少ない人数を対象にする人であっても、調整は可能な範囲。

非常に優れた戦力になると思いました。

書籍『Three of a Kind』にも収録されています。

所感:Disc2

Invisible Opener

現象3人の観客に手伝ってもらう想定のオープナーで、見えないアイテムを具現化させる演出。

ポーカーチップのプロダクションからデックの具現化。
輪ゴムを使ったクレイジーマンズ・ハンドカフや、輪ゴムと指輪を使った古典的なトリックと、色々な現象のてんこ盛り

オープニングでこれだけ色々やれば、すごいマジシャンが出てきた!ってお客さんには思ってもらえるでしょうね。

演技はしていなかったが、インビジブル・デックに繋げたりするのに便利な演出。

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ゆき
あの柄のポーカーチップってトルティーヤチップスに見えませんか?

書籍『Three of a Kind』にも収録されています。

GPS

現象 赤裏の特殊な1枚のカードを使って、観客のカード(青裏)を探していくのだが、最後には赤裏の特殊カードが観客のカードになっている。

ミステリーカードの手順。

ふむ、良いと思います。

観客にデックを操作してもらうトリックの要素を加えることで、観客の手の中で何かが起こった感を与えれてると思う。

ミステリーカードにありがちな、なんで4枚のエースなの?なんでジョーカー2枚使うの?という疑問が観客から出てこない構成には、はーなるほど。と思わされました。

無理に欠点を言うならば、演技中のシーンを切り取ったときにちょっと映えない感じもしますが、難しいとこですね。

書籍『Three of a Kind』にも収録されています。

Biddless

現象 観客の覚えたカードを含めた5枚のカードを抜き出し、そのカードがひっくり返ったり、消えたり、避けておいたデックの中から表向きで現れたりする。

有名なビドル・トリックを、ビドルムーブを使わずに達成する。

ビドルムーブを行わない分、手数が減ってスマートになっている(気がする)。

よく考えると、その動きなんなん?ってのが増えてはいたが、観客からしたら特に気にも止まらないだろうし、変なカウントするよりは分かりやすいと判断したのかなぁと。

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ゆき
これはジョン・バノン氏のカッティングのあの動きのこと

書籍『ジョン・ガスタフェロー カードマジック』にも収録されてます。

Ace Case

現象 4枚のエースとカードケースを使った手順。
箱に入れたエースが貫通して抜けてきたり、箱の上にいつの間にか置かれてたり、箱の中に入っていたり、また入ってたりする。

最後のエースが箱から出てくるところのサトルティは中々に強いと思いました。

色々他にも応用できそうですね。

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ゆき
さっきまで空だったやーん

日本語で出ている書籍には載っていなそう。

Intro-Verted

現象インバージョンやサンドイッチなんかも入ったエースオープナー。

4枚どのエースの出現もインパクトがあるオープナー。

初見時はやっぱりインバージョンのところ(デックのリバース)が一番驚いた

解説を聞くと細かいところまで考えられてて、うわーいいなーって。

書籍『ジョン・ガスタフェロー カードマジック』にも収録されてます。
書籍だとロイヤル・ストレート・フラッシュを出したりする5枚バージョンや、デックのカラーチェンジを追加したバージョンなんかも載っていました。

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ゆき
確かInstagramでデックカラーチェンジ版の本人実演映像を観ましたが、あれかっこいいです

Homage to Homing

現象 4枚のAと観客の選んだカードで行う3段構成のカード・トゥ・ポケット。
4枚のAの中に入れた観客のカードが消えてポケットから出現を2回行い、3回目の移動では4枚のエースがポケットから出現する。

準備もいらず覚えておくと重宝する。

類似の手順を習得していないなら、これを覚えておけばいいと思うし、すでにやっていても参考になる部分が色々あると思いました。3段目の観客のカード消失を示すシークエンスとか好き

書籍『ジョン・ガスタフェロー カードマジック』にも収録されてます。

Little White Lies

現象 4枚のクイーンの中から観客の選んだマークが予言されており、次の瞬間には、予言も4枚のクイーンもすべてブランクに変化する。

クライマックスだけ見たら、派手になったB’wave。

正直選ばせ方がよくわからない。日本語欲しい。もっとフリーに選ばせたい。

それ以外のブランクに変わるシークエンスや、パケットケースの使い方は参考になる。
ちょっと色々考えたい。
あのタイプのパケットケースはどこで買えますかー?

日本語になってる書籍では見たことない。

追記

書籍『Three of a Kind』の「NUMEROLOGY」という項でバリエーションという形で掲載されていました。

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ゆき
これでわたしのような英語弱者でも本が手元にあればなんとかなりますわー

なるほど、これは面白い原理です。
そして演出も見事でした。これで演技〆られたらたまらないですね。夢に出てくるかもしれません。

*ジョン・ガスタフェロー氏が発行したノート3冊の日本語完訳合本『Three of a Kind』の製作者様から教えていただきました。ははぁ(土下座_(⌒(_´ω`)_ありがとうございました。

 

Flip Side

カード・アット・エニーナンバー。

カードが一度消えて、逆向きになって観客の言った枚数目から出てくる系。

John Carey氏のDVD『24 SEVEN』でやっていた手順が一番現象としては近いのかなーと(「On the count of」だったかなぁタイトル)。

どちらかというとJohn Carey氏の手順の方が好きだけど、こっちはこっちで冗長になってしまってると感じる部分もあるので一長一短なのだろう。

そこまで面倒なセットでもないので覚えておくといいんじゃないかなって。

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ゆき
エニーナンバー系のトリックって、(英語が聞き取れないと)辛くないですか?

正直、手元にあった書籍『Three of a Kind』に目を通して把握してました。

というわけで書籍『Three of a Kind』にも記載あり。

最後に

やはり安定して面白い作品が多く、レパートリーにも入れやすい作品が多い。

個人的なイチオシは「Intro-Verted」と「Lost and Found」かなぁ。

他の媒体にも収録されている作品が多い都合上、人によっては買うと損した気分になるかもしれないので購入前に内容を確認したほうがいいでしょう。

逆に、このDVDを観て気に入ったら氏の著書とかに手を出してみてもいいんじゃないかなー。

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DVDカード

Posted by ゆき