所感:「SPONGE BALLS -WORLD’S GREATEST magic-」

SPONGE BALLS -WORLD’S GREATEST magic-とは?

マジックメーカーL&L社から発売されているDVDから、スポンジボールの手順だけを集めたもの
DVDが発売されているが、DLCとしても入手可能。

選りすぐりの13手順がおよそ2時間55分に渡って解説される。

所感

選りすぐりなだけあってどれも良手順でした。

スポンジ初心者にもおすすめ出来そうです。

このDVDに収録されている手順は、スポンジボールを2~3個程度2インチ(直径約50mm)くらいのサイズのものを使う手順が多く、パース・フレームを使う手順もちょくちょく登場する。

テンヨーから発売されているものを買えば大体事足りる手順がほとんどなので、そこらへんのおもちゃ屋さんでも用具の入手は出来るはず。

穴の無いジャンボスポンジボールやミニサイズのボールが必要になる手順がやりたいときは、別途マジックショップで探すなりすればいいと思う。

初心者におすすめしたいのはDaryl 氏・Mark Leveridge氏・Frank Garcia氏・Steve Dacri氏の手順。

ある程度基礎が出来てる人が実践的な手順を知りたいならFrank Balzerak氏・Michael Finney氏の手順。

玄人にはFlip氏・Eugene Burger氏・Albert Goshman氏がおすすめかな。

このDVDを観たあと、もっとやばいのを覚えたい!ってなったらヴィクター・ノワールのDVD『エキスパート・スポンジ・マジック』に進んだらいいと思うよ。

タイトルは、マジシャン名『収録されていた媒体名』「トリック名」で記載してます。

以下個別に感想など。

Daryl 『FoolerDoolers vol.1』「Sponge Ball Routine」

現象パース・フレームと2個のスポンジ・ボールを使った手順。

パース・フレームを使ったサトルティが素敵。
派手なクライマックスこそないが面白い模範的な構成。

Roger Klause『In Concert』「New Sponge & Sleeve」

現象1個のスポンジボールが消え、観客の袖から出てくる。

スポンジ以外に、マジシャンにはおなじみのあの道具を使った消失&出現方法の解説。

親指的なあれを使う際のハンドリングの参考にでも。
なんだかんだで要所で上手く使えば本当に不思議

ただ、腕まくりしすぎるのが気になりますの

不可能性を強調するためだとは思いますが、さすがにくどいような。

Flip『Flip in Close-up Part.1』「Sponge Ball Climax」

現象観客にウォンドを持たせ、スポンジが出たり消えたりピーナッツに変わったり観客の服の中に移動したりする観客参加要素が大きなった手順。

スポンジは計3個使用。

観客の服の中に移動するのがクライマックスだと思っていたけど、スポンジがナッツに変わるあたりがクライマックスだったんですね。

スポンジを別の物に変えるような手順をしたいときには参考になるかなぁ。

観客の服の中へ移動する方法は解説されていないので、ああいう事がしたい人はホワン・タマリッツレクチャーに同じ内容の事が解説されていたはず(1stか2ndかどっちだったかな・・・)なのでそちらを参考に。

Frank Garcia『Stars of Magic vol.1』「Sponge Ball Routine」

現象1個のスポンジボール消失を丁寧に解説。
からのベンソン・ボウル、1to10カウント。

広く知られている手順・手法の解説。

ベンソン・ボウルは3+1個のスポンジとボウルにウォンド(厳密にいえば不要だけど、あった方が良い)が必要。(テンヨー製のセットだと1個足らんな)

Right Caption

ゆき

古典は強いなぁ

このDVDの最初あたりに収録してくれればよかったのに。

Frank Balzerak『Magic for Humans』「Gobefores」

現象スポンジボールの消失出現分裂移動、クライマックスでは巨大化。

過不足無く現象が詰め込まれた良い手順

使用する道具はスポンジ2個にクライマックス用の大きめスポンジにウォンドとフットワークも軽く、テーブルホッピングなんかでも活躍できるし、他マジシャン達のアイディアなんかとも上手いこと親和しやすいのも良い。

クライマックスでのサトルティ、バーナード・ビリス氏の『パッション』でもありましたねー。

Jon Tremaine『Commercial Close-up Act vol.2』「JT Sponge Ball Routine」

現象ゴジンタ・ボックスからボールが2個出現、パース・フレームから1個出現。
3個のボールが1つずつ小さくなり、全部消え、でっかい1個のスポンジボールが出てくる。

必要な道具が多く、一部テーブルに座っていないと出来ない手法も出てくる(代替できる方法はいくらでもあるけど)が、初手に奇妙な道具を立て続けに使って観客の興味を強く引く構成は興味深い

スタンダードなスポンジ手順に飽きたときや、スポンジを使った全力のルーティンを組むときの参考にでも。

Aldo Colombini『The Essential Aldo Colombini vol.3』「Throw in the Sponge」

現象ボールが移動したり、戻ってきたり、半分のボールになったり、コインになったり。

ポップアップムーブをメイン技法にした移動現象に、ボールが半分になったり(半球)になったり、コインになったり(ハーフボールがハーフダラーに変わったハーフつながりジョークのようです)するコメディ寄りのルーティン。

日本語でジョークをそのまま使うのは無理だが、何かしらスポンジを別の物に変化させるときなんかに参考に出来るのではなかろうか。

Eugene Burger『Magical Voyages vol.1』「Sponge Balls」

現象小さなスポンジボールを使った手順。クライマックスにいっぱい出る。

使用しているのは小さめのスポンジボールとスクイーカー。

特筆すべき点はクライマックスに出現させる大量のボールのロードだと思うが、使用できる状況が限られる(椅子に座りテーブルがあるような状況)ものの特殊な道具等は必要ない

大量のボールをロードする方法には、ヴィクター・ノワール氏の『エキスパート・スポンジ・マジック』で解説されているホルダーなんかがあるが、あっちは下準備等が多少手間になるものの、状況を選ばず使用できる。

使えるシチュエーションが異なるので、どちらも覚えておいて損はないと思う。

他にもスクイーカーを不思議な現象のまま終わらせていたり(無駄な種明かし演出がない)、クライマックスのロードの動きをカモフラージュするため、前段の動作がきちんと考えられていたり、さすがユージン・バーガー氏だなぁと思うなどした。

Mark Leveridge『Master Routine Series』「The Commercial Sponge Ball Routine」

現象スポンジの出現消失分裂観客の手の中への移動。

使用するのはボール2個+1個。

Daryl氏の手順と見た目の構成的には同じ。派手さはないけどスマート。

消失はトンネルバニッシュを多用、それ以外の出現・分裂のムーブもDaryl氏のものとは異なるので、覚えておくと役立ちそう。

Johnny Thompson『Commercial Classics of Magic』「Benson’s Bowl Routine」

現象ベンソン・ボウルの手順。

カップ1つにスポンジが2つ(+1つ)にウォンドが1本。あとクライマックス用に何か出すものが必要。

氏はデックを出現させて、カードマジックへ繋げていた。

ショーの際にはとても綺麗な流れになる。

この手順が収録されていた元のDVD『Commercial Classics of Magic』はスクリプト・マヌーヴァ社から日本語字幕版が出ており、非常に良い内容だったのでそっちもおすすめ出来る。

Steve Dacri『The Man with the Fastest Hands』「Martian Sponge Ball Routine」

現象パース・フレームからの出現、ツー・イン・ザ・ハンド・ワン・イン・ザ・ポケット、1to10カウントを組み合わせた手順。

スポンジは3個+1個。

パース・フレームを使う頻度が他の手順よりも多めなので、フレーム大好きマンは参考にでも。

Right Caption

ゆき

上手いマジシャンではあるのだが、ずっとスポンジマジックばかり見ているのでさすがに飽きてきました

Albert Goshman『Magic by Gosh』「Sponge Balls」

現象観客の手の中への移動。

パース・フレームと3色のスポンジボールを使用。マット上に塩と胡椒瓶が出ているがそちらは基本使わない。

バレないように握らせて、上手いこと消したらええんやで。みたいなことである。

なんか飛んでるようにしか見えないけど、何にも飛んでないあれだ。

さすが伝説のマジシャンのひとりゴッシュマンである。

Michael Finney『Live at Lake Tahoe』「Sponge Ball Routine with Watch Steal」

現象どっちの手にスポンジボールを持っているか観客に尋ねるが、観客は当てることが出来ない。
演者が両手に1個ずつスポンジボールを握ると、片方の手に2個のボールが集まり、もう片方の手には観客の腕時計が握られている。

使用するのは2個のスポンジボールとジャンボサイズのボール(これはギャグとして使うので無くても良い)。

コメディ寄りのルーティンで、場数を踏んでないと上手く演じるのは難しそうだが、前半部はかなり好き。

後半のウォッチ・スチール部は、まぁ興味があればどうぞと言ったところ。

スポンジのトリックは観客に触れることが多い都合上、ウォッチ・スチールとは相性が良いのかもしれない。

ただここで行われているスチールは、通じるとは思うが賢く強い方法かといわれれば多分NOであり、「こんなことも出来るんやで」程度なんじゃないかなーと。

わたしがウォッチ・スチールというものをそんなに好きじゃないからそう思う可能性もありますが。

とはいえ、前半部は他のスポンジボールの手順と毛色は異なるものの、観客参加型の要素はしっかり残っているのがスポンジ・トリックぽいなーと思いつつ、わたしならギャグとして使っていたジャンボボールをクライマックスで再登場させるような手順に組み立てなおすかなぁーなどと思いました。

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Posted by ゆき