手品メモ:John Carey – 『Keep Calm & Carey On 』
自重しなくなった「Fantia版」→こちら
Keep Calm & Carey Onとは? & まとめ
タイトルは、Keep Calm and Carry On(平静を保ち、普段の生活を続けよ)っていう、イギリス政府が第二次世界大戦の直前に、開戦した場合のパニックや戦局が悪化した場合の混乱に備えて作成した国民の士気を維持するための宣伝ポスターからもじっているみたいですね。
実践的で使いやすい作品集を出すことで有名なキャリーさんのDVD第4作。
収録されているのはすべてカードマジックで、このDVDは「観客が混ぜてもスタックを残すシークエンス」「ミステリーカード現象」「観客の思ったカードを当てる」の3種に大体分けられ、気軽に演じれるトリックが多かった印象。
初心者から中級者になりかかってる層が、色々ネタを増やすのに良いDVDだと思いました。
印象に残ったの
Take her home and Poker!
混ぜられても一部スタックが残るっていうのがメインで、一連のシークエンスを応用したトリックがこのDVDには色々と収録されている。
佐藤総さんの玉砕スタッキングとかベンジャミン・アールさんのレッドヘリングとかダニ・ダオルティスさんの色々な動きとか好きな人は好きなんじゃないかな。応用トリックの“Homage to Marlo”とこれが好みでした。
このDVDの基本になっている技法というかシークエンスはとても使えると感じました。
観客に操作をお願いすることになるけど、間違いがほぼ起きないように考えられてる点に経験を感じます。
操作が単純だったり、演者が例を示せるようにパケットが一部演者の手元に残るようになっていたりするおかげでポール・カリーさんの“A Swindle Of Sorts”のシークエンスを使っている(これを行っているのはこの手順だけ)けど、すごい親切だなって。
カリーさんのシークエンスで不思議さを強調させてる都合でラストにポーカーハンドを出現させている(少ないと、それやらなくても良くない?感が出る)けど、ポーカーハンドじゃなく4枚集まるとかも可能。
A mystery in time
序盤で登場するターンオーバーのためのイロジカルムーブは有用ではあるけど、もっと良いやり方あるでしょ!フンフン!と直後にもっと良いムーブをわたしが生み出せたくらいには雑だなと感じた。
そして途中、パケット(3枚)で行うミニアンビ現象が入るのだが、構成上上手く作用はしているものの、わたし個人がそんなにその現象が好きじゃな・・・ゲフンゲフンなため、喝采はしづらい。
悪いことばっかり書いちゃったけど、100%好き!って言えないだけで良手順なのは間違いない。
初・中級者におすすめ。
この手順はGeorge McBrideさんのもので、快くシェアしてくれたらしいですよ。
The Teleport card
現象4枚のAと別裏のミステリーカードの手順。
トリックってギリギリのラインで成立してるんだなと感じた作品。
別裏じゃなかったら、ビジュアルトップチェンジと同レベル・・・と思うなど。
選んでもらったカードにサインしてもうらとき、さすがにフェアじゃなさすぎるので、もしやるとしても別法を考えたいですね。パトリック・クンさんのミラーフォースあたりが最適でしょうか。
関連記事:所感:「At the Table Live Lecture 2(JULY 2014) – Patrick Kun」
Homage to Marlo
エド・マーローさんのストップトリックである“Ace of Spade Trck”トリビュート作品とのこと。スタックを残すあのシークエンスの応用作品。
ストップトリックというよりは、ラストカード系と言った方が適切な気がする。タンタライザーを面白く進化させていったらこうなるんじゃないかなーと。
この作品好き。
Out of sight change your mind
終盤こそ原案(Out of Sight-Out of Mind)と同じだが、最初のカードを覚えてもらう部分の演出と操作が異なる。
原案がミステリアスだとしたら、こちらはカジュアルな雰囲気といえば良いのだろうか。明るいノリのマジシャンに合う、観客とのやりとりが生まれる演出になっている。
技術的にはこちらの方が少し高めだけど、頻出技法を使うだけで操作自体は忘れにくいので楽な人にはこっちのが楽。