【レビュー】ビデオ・マインド 第3巻 by マックス・メイビン

総評的な

マックス・メイビン氏の全3巻からなるメンタル・マジックのDVDシリーズ。第3巻は「STAGE MENTALISM」という副題が付いているけど、ステージで演じると言うよりはサロンくらいのトリックです。

クラシックなトリックのメイビン氏の改案って感じの作品が多く、どれも質が良いので元となったトリックを知らない人にも良いだろうし、すでに演じている人が参考にするのにも良いと思います。

CONTIMENTALだけは、面白いものの演じづらいトリックだとは思いますが。


Fantia版
Creatia版
第1巻の記事
第2巻の記事

個別に

GOAL MINE(ゴール・マイン)

4枚の封筒から3つ観客に選んでもらうが、残ったひとつが当たり。

いわゆるバンク・ナイトやジャスト・チャンス。 トム・セラーズがバンク・ナイト現象の最初ということで、原著(Novel Necromancy)を読んだことがありますが、さらに元になったデイリーさんの「赤と黒」ってあるらしい。へぇ。

(Novel~の以前に翻訳したやつは、Fantiaの投げ銭プランの人ならすぐ読めるようにしてあります)
https://fantia.jp/products/610508

氏の改案は紙幣やお金にまつわるものを使わない演出のもの。ただギャンブル要素が無くなると、トーク力の無いパフォーマーが演じるとびっくりするほど盛り上がらないので気をつけた方が良い。泣きそうになるぞ。話が上手い人がやると盛り上がるのを知ってるだけに辛い。

手法的にはギミックの類は使わずハンドリングとスライトでなんとかするタイプ。ギミックを使わないJohn Archerのブランク・ナイトって感じ。実際に演じてみてエフェクトのクオリティを上げたいと思ったら、ブランク・ナイトを演じるとかいいかもしれませんね。

TOSSED-OUT TECH(トス・アウト・テック)

観客2人がデックを覗いて覚えたカードを当てます。

トス・アウト・デックの氏の使い方。

このデックを使う上での注意なんかは大体網羅されていると思う。付け加えるとしたら、箱を観客の見える位置に置くな、とかくらい。

ルーク・ジャーメイが「ジャーメイズ・マインド」でしていた解説も良かったけど、それと双璧かなぁ。


他のマジシャン達の手順と氏の手順の違いは、観客の人数を2人に絞り、最後当てる際同時に座ってもらうのではなく、一人ずつ見たカードを当ててから座ってもらうハンドリングになっている。

トス・アウト・デックというより、どちらかといえばリチャード・オスタリンドの「レーダー・デック」のような雰囲気になっています。

昔、とあるイベントで見たときに感じた、というか周りに居た一般客も同じようなことを感じていたようでしたが、トス・アウト・デックを単体で演じるととても中途半端な印象を受けました。そのときショーをしていたマジシャンが上手くない、と言ってしまえばそれまでですが、トス・アウト・デックは前段に演じるトリックで、マジシャン(もしくはメンタリスト?)が観客の心を本当に読めるんだと観客が信じているという土台があってこそ、良いトリックになるんだろうなぁと。

ルーク・ジャーメイのような演じ方が理想なのでしょうね。

単体で演じるならば、マックス・メイビンの今回の演じ方、ショーのトリを飾るならば従来の一気に当てる演じ方を「今度はまとめて複数人の考えを読むよ」というノリでやる、というように演じ分けるのが良いのだろうな、というのが私の考えです、はい。

KHAN ARTIST(カーン・アーティスト)

ボードに3つのシンボルを書き、観客に3枚のESPカードから1枚ずつ選んでもらうと選んだ順序が予言されている。

よく見かけるスレートを使うトリックを、カジュアルに見える道具で演じているようなもの。
みかめくらふと製のプリディクション・ボードなんかを想像してもらいたい、あんな感じ。

簡単な工作で作れるので、サロンなどで演じるときに役立ちそう。
ESPカードを使っているけれど、100円ショップに売ってるような動物カードとか、トランプとかそういったものでも出来るので、そこは演出に合わせてってところ。

CONTIMENTAL(コンチメンタル)

観客が思い浮かべている国と当てます。

よく考えるよなぁと関心するシリーズ。

思い浮かべてもらうのは国名をアルファベットで書いたときのスペルになるので、日本人相手に演じるのはちょっと辛い。
一般客に対して演じるのであれば、英語で国名が書かれた地図を演出として使いながら、とかになるでしょうか。

あ、思い浮かべてもらうのはヨーロッパの西側に限られます。

多少の質問はしますけど、ブラウザゲームにアキネイターってあるじゃないですか(質問に答えていくと、思っている人物とかを当てるゲームみたいなの)、ああいう感じで、演出が上手くいかなくても意外と楽しんでもらえるトリックなんじゃないですかね。

マニアなら原理を聞くだけでも楽しいはずです。

また、北原禎人氏の作品集『LEMON』に収録されている「Ambassador」が似たトリックで、使い分けたり組み合わせたり出来たら面白いかな―って思いました。こっちは国であればほぼフリーチョイスしてもらえますね。

PSIGN(サイン)

観客の言った数字の場所にあるシンボル・マークが予言されている。

日本のマジックランドから発売されている、スーパー・マインドと同じ。
https://www.magicland.jp/shop/product/mental/product-268/

市販の方だと仰々しすぎるということで、シンプルめに作り直したそうな。

1から8の数字から選んでもらい、そこに書かれているシンボルが一致するというもので、数字は完全にフリーチョイスだし、失敗もない。
実演動画がネットに上がっている(ショップが独自にアップロードしているのが多いのかな)ので、実演を見て気に入ったら買うなり、自作したりなりすればいいかなと。

割と嵩張りそうで、持ち運びが面倒であればもうちょっと現象が長かったり、他の使い途があったらいいんだけどなぁとちょっと思いました。

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