Wonderized by Tommy Wonder
今は亡きトミー・ワンダー氏のレクチャーに参加しているのを体験出来るDVD。スクリプト・マヌーヴァ社から出ている日本語字幕版DVDの中からひとつだけおすすめを選べ、と言われたらわたしはこれを選ぶ。っていうくらいにはおすすめ。
どうすれば手品が上手くなるのか?って人はこれを見ればいいよ。ただ、これを見て何も感じなかったら、もうつける薬はないので何も聞かないでくれ、無理。
簡単に身につくようなトリックが解説されているわけではなく、マジックを演じる際に考えなければいけないこと、するべきことのような理論的な話が重要なので、ネタを知りたいだけの人には不向きで、ショーなんかを演じるようになって、もっと演技のクオリティを挙げたい、上手くなりたい、というような人におすすめのDVDです。
個別に
3冊の本を挙げ、マジックの本質はこれらの本にあらかた書かれている。という言葉とともにレクチャーを締めノートだけ売って帰ろうとする茶番がある。ちなみに以下の3冊。
- Showmanship for Magicians by Dariel Fitzkee
- Magic by Misdirection by Dariel Fitzkee
- Magic and Showmanship by Henning Nelms
ただ、トミー・ワンダー氏の『ミスディレクションは存在しない』という著書に注釈を入れていたトム・ストーン氏が、トミーがダリエル・フィツキーの『Magic by Misdirection』を支持していたのが信じられない、個人的(トム・ストーン)には酷い本だと思っているし、トミー・ワンダー風の考えとは真逆とも思えるからだ。と述べていました。
結局トム・ストーン氏は、トミー・ワンダー氏がどの点を持って『Magic by Misdirection』を評価していたのかわからなかったと締めているんだけど、ちょっとそれが気になりました。
読んだことないんですよね。気になる人は読んでみてはどうでしょう。トム・ストーン氏は「何一つ得るものがなかった」と酷評してますけども。
Showmanship for Magicians by Dariel Fitzkee(Lybrary.com)
Magic by Misdirection by Dariel Fitzkee(Lybrary.com)
Magic and Showmanship by Henning Nelms(Vanishing inc.)
カード・トゥ・カードケース
カードとカードケースが入れ替わるマニピュレーションのアクト。
よくあるステージ・アクトのような雰囲気で一度演じた後、「こういうのは好きじゃない」と言って、全く同じ手順を異なる演出で演じる。この後にトミー・ワンダー氏が語る内容は、ほとんどの人に刺さると思います。
「理由があるとすれば、ただ単に”できるから”。・・・だから何だ?」
トミー・ワンダー氏にそう言われない演技をしたいものですね。観客の記憶に残る演技をしたいのであれば参考に。
トーン・アンド・レストアード・カード
カードを破いて元に戻します。
1枚だけで行うトーン・アンド・レストア。
マジシャンが当たり前にやりがちな行動を、正当化するための方法や、カードの細かな取扱いなど素晴らしい。神は細部に宿るっていうのは、こういう事の積み重ねだなと。
ひとつでも取り入れることが出来れば、劇的に演技が良くなると思います。
また、観客がマジシャンに対して抱くであろう感情を、理解してコントロールして行う数々のサトルティが半端ないです。
余談ですが、Kris Nevlingが「reinCARDnation」っていうのを出していまして、観客からの視点だと一番大事な部分の解決方法がお遊戯か!ってレベルで、個人的に酷評対象だったのですが、トミー・ワンダー氏のアイディアと組み合わせると化けるなぁ・・・ってなりました。
映像で十分わかると思うけど、原案はポール・ハリスだから細かな動きは彼の本を読んでくれ、とのことでした。
reinCARDnation by Kris Nevling
Supermagic by Paul Harris(Vanishing inc.)
ライター・トゥ・マッチ
ライターがマッチに変わります。
とても良い手品。火を使う手品のために作っておきたいところ。頑張ればなんとかなりそうなレベル。
マジックを見てもらうための話、演技後のリセットについての話をしているけど、これもまた必聴です。
指輪と時計と財布
封筒に入れた「指輪」「時計』「紙幣」が消えて、元あった場所に戻っています。
トミー・ワンダー氏の有名なトリック。何人かのマジシャンがこの手順のヴァリエーションを発表しているけど、残念ながら原案の足元にすら届いていない、ってレベルで原案が洗練されすぎているかと。
藤山新太郎氏の『そもそもプロマジシャンとは』の中に、1流と2流の道具の扱い方の違い、みたいな話があった気がしますが、まさにトミー・ワンダー氏の道具の扱いは1流のそれだなーと。
Tommy Wonder Classic Collection: Ring, Watch & Wallet by Wings Magic and JM Craft
サインドカード・トゥ・ボックス 2セカンド・カード・フォールド
アンビシャス・カードの後、小箱の中から折り畳まれて出てくる。
メインはフォールドの部分。主流は四つ折りだと思いますが、氏が解説するのは六つ折りと八つ折り。状況にもよるでしょうけど、小箱などから出すときは小さい方が綺麗に見えますね。
練習方法について半ば冗談のように語っていますが、氏の著書を読む限り、おそらく本気で言ってます。意外とスパルタですからね。作業中にツイッター(現X)開いてるの見たら、本気でキレるタイプだと思います。
Tommy Wonder Classic Collection Ring Box by Wings Magic and JM Craft(Vanishing inc.)
スクイーズ
デックが小さいカードケースに入ります。
売りネタの解説。解説のみで実演はなし。
一応作れなくもないけど、買ったほうが楽。一時期よく演じていました。
ここで解説されているデック・スイッチは、今でもしょっちゅう使わせてもらっています。とても便利。
Tommy Wonder Classic Collection: Squeeze by Tommy Wonder, Wings Magic and JM Craft
シュリンキング・ファン
ファンにしたカードが少しずつ小さくなっていきます。
ファンを広げるたびにカードが小さくなっていくディミニッシング・カードを、ファンを都度閉じたりせずにそのまま小さくしていくトリック。見た目がとても綺麗。
ガイ・ホリングワース氏の「waving the aces」味を感じます。
この道具って今手に入ったっけかなぁ・・・自作しないと駄目かなぁ、上手く作れるものなんでしょうかね。
また、「オリジナル」のトリックを考える、ということについて話してくれています。オリジナルというものに拘る人は、軒並み氏が指摘している間違いを犯しているので注意ですね。
ロンドン・コレクション ガイ・ホリングワース(スクリプト・マヌーヴァ)
【レビュー】ロンドン・コレクション by ガイ・ホリングワース