所感:GKap’s Live present 「Miguel Gómez」
GKap’s Live present 「Miguel Gómez」とは?
スペインのスライト名人Miguel Gómezのライブ・レクチャーをDVD化したもの。
約105分のレクチャーと35分程度のインタビューからなる。
所感
- 言語はスペイン語。英語字幕も選べる
- マジックについての理論等を語る部分が多く、聞き取るには要英語orスペイン語力
- 理論的な話の割合が多く、トリック自体の解説は少ない
Rubber band handcuffs with spectator
みんなご存知、あの輪ゴムトリックを観客と演じる。
マジシャンなら誰でも知ってるトリックだろうということで解説はない。
マジックにおいて「テクニック」の重要性、学ぶ上で大切なことなどについて熱く語ってくれており、分かりやすい例としてこのトリックを演じている。
またスライト否定派とスライト派、双方が持っている観客に演じる上での共通の「問題点」に触れ、それを解消する「セミテクニカル・カードマジック」というコンセプトについて話している。
知りたい人は見ろ。
Never six
カード当ての要素を入れた、6枚で演じるイレブンカード・トリック。
イレブンカード・トリックの持つ「決定的なクライマックスがない」という問題点を、カード当てで解消しようとするアプローチ。
原理的にはイレブンカードトリックとは全く異なる。
Automatic PalmとAutomatic Replacementの解説があり、どちらも有用。
手順におけるコンテキストの話や、なぜパームが他の技法と比べ難しいと思われるのか?についての話がある。
出来れば初心者にこそ聞いて欲しい話であるが、このライブレクチャーに辿り着く初心者は居まい・・・。
Card to number
エニーカード・アット・エニーナンバー。
観客の選ぶカードは完全自由。選んでもらう数字はある程度制限がある。
セットの手間を考えると、Asi Wind(アシ・ウィンド)のDVD『スリー・カード・ルーティンズ』に収録されている「A.A.C.A.A.N」の方が上質だが、ここで解説されているデックターンオーバーの技法が良かった。
既存技法のミゲル風にアレンジだが、非常にスムーズ。
原案時点ですでに強力なミスディレクションでカバーされていたが、そこからさらに磨かれている。
coin trick
5枚のコインを使ったシンプルなコインアクロス。
クリックパスとギャローピッチを解説してくれる。
どちらも非常に錯覚が強い。
クリックパスは氏が「Cambio al lanzar」と呼んでいるもので、シャトルパスのようなコインスイッチにも使用できる。
ギャローピッチも原案から改良されてるとはいえ、こんなに綺麗に出来るもんなんですね・・・。
インタビュー
ミゲル・ゴメスの人生についてのインタビュー。
どんな人達と出会って、どんな影響を受けてきたか。そんな話です。
最後に
解説されているトリックは少ないものの、理論的な話が参考になる。
色々なテクニックもさらっとしれっと完璧にこなす、何この人怖い。
ただ、スペインor英語が分からなければ、価値をまったく理解できないのが難点であり、人におすすめ出来るかと言えば出来ない部類だと思う。言語の壁は高い。
数々の著名なマジシャンが師として名を挙げているほどの人物、というのは伊達じゃないのですが・・・。
彼の出している洋書には演技のDVDが付いているようなので、そっちを先にチェックするのがいいんじゃないかなぁと思う次第。