所感:「BRAVE by KIMOON DO」

2020-06-20

BRAVEとは?

韓国のマジシャンKIMOON DO(キムーン・ド)のDVD作品集。
韓国では2018年、日本では2019年に取り扱いが始まった。Disc2枚組で、ビジュアルな12のカードトリックが解説されている。

所感

  • ビジュアルな現象多数
  • セットアップに一工夫あり、基本的にどれもセットは覚えやすい
  • レギュラーデックで出来るのは10トリック。2トリックはギミック使用
  • 2トリックで使用するギミック付属
  • 基本技法の解説も充実している
  • 言語は韓国語だが、英語字幕あり。映像だけでも理解可能

Disc1

BETWEEN

ビジュアルなサンドイッチカード。
2枚のキングの間に裏向きで出現した後、一瞬でひっくり返って現れる。

即席で出来る上にビジュアル。テーブルも必要なく角度にも強い。あとエンドクリーン。
テンポよく現象が起きるのもGOOD。

AVENGERS

アンビシャス・クラシック(パケットで行うアンビシャスカード)のドキムーンver。

BIG PROBLEM

ホフジンサーのロストエースプロブレムと、サンドイッチカードを足したような現象。

面白い現象だが、現象が少し込み入っているので、プレゼンテーションをしっかりしないといけない。
サンドイッチのあたりで行われているイロジカルなムーブが面白い。
このムーブ、わたしはRobert MorelandのPengin Liveで知りました。

SHAKING THE ACES

ツイスティング・ジ・エーセス。

ビジュアルなリバースもあるが、表向きのエースから別スートのエースへの変化なため、ちょっと弱い気がする。

DOUBLE ACT

4枚のジャックを使った、コレクターとも呼べるような手順。

上手く演じるにはきちんとしたプレゼンテーションが要る。

MAN FROM SEOUL 2.0

トライアンフとエースプロダクションを混ぜた現象。

このようなプロットを、トライアンフエースとかトプシータービーと呼んでいる人を見たいことがあるが、結局普及した呼称はあるのだろうか。

それはさておき、個人的には「懐かしい」と感じるハンドリングも多かった。
ドキムーン特有のビジュアルな部分も健在なので、似た現象のレパートリーがない人はこれやっときゃええで。

BASIC SKILL

基本技法の解説パート。初心者にはありがたいと思う。

Double Undercut

Double Lift
ゲットレディなしで出来る、Paul LePaulのThe Flip-Over DoubleLiftの解説。

Elmsley Count
Riffle Force

Disc2

HELP!

キックバックのあるサンドイッチカード。

Larry Jenningsの技法:Larreverseの解説あり。

キックバックの瞬間もビジュアル。
カードを飛ばす技法の解説もあり、見た目の割に簡単で良い(北原禎人の『TECHINT』に収録されていた「Spin Shot」とほぼ同じ)。

MODERATO

2枚のクイーンの間から1枚のエースが出現・・・と見せかけて4枚のエースが一瞬で出現する。

この手のトリックにありがちな、デック内に表向きのカードが存在するセットアップが必要ない。
エンドクリーンにもなっている。

COUNTDOWN

3のカードが出現、続いて2のカードが出現、次の瞬間4枚のエースが出現する。

Frank ThompsonのFalse Cutの解説あり(テーブルトリプルカットのあれ)。

ドキムーンにしては珍しくセットアップが必要。
ただそれほど複雑ではない。
ハンドリングの都合上、デックが置けるくらいのマットが欲しい。

IMITATION

リバースカードと、カードの融合・分離が組み合わさった現象。

リバースのアイディアはホフジンサーのロストエースプロブレムでも便利そうであり、さらっとイントラジットアクションが組み込まれているのが憎い。
カードの融合・分離はどちらもビジュアルである。

分離で終わらせて、クライマックスのリバースはしなくても良いのではないか?と思わないでもない。

2018 BIDDLE TRICK

ドキムーンのビドルトリック。

ビドルトリックを無駄のない理想的な形にした作品。付属のギミックを使う。
Hamman Countの解説あり。

REALISM

写真のカードの中で起きるライジングカード現象。

写真カード作成用のギミックが付いてくる。
2セット分付いており、シールを手持ちのカードに貼れば完成。添付のカードはバイスクル・ライダーバックだが、普段遣いのカードがあればそれで作成も出来る。

現象がユニークなのは言うまでもなく、観客の印象に強く残ること必至。
ギャンビット(未準備の状態から演技可能状態に即座にセットする工夫)が上手く考えられており、寸前まで観客が触っていたデックであっても即座に演技スタート可能。

最後に

PVを見た感じ、ビジュアルな現象が多く難易度高めのトリック集を想像していたが、予想以上に習得しやすいものが多かった。
また、セットアップが覚えやすく、演技後エンドクリーンになるものがほとんどだったのも良かった。

DVD内に収録されているトリックに必要な技法についても大体が解説されているため、カードマジック覚えたての人にもおすすめ出来る内容だと感じた。

いいセンスのDVDでした。おすすめ。

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