所感:「KAYFABE Disc3 AUTUMN – Max Maven」

2020-06-20

KAYFABE – Max Mavenとは?

メンタリスト界の大御所、Max Maven(マックス・メイビン、メイヴェンとかメイヴィンとか表記揺れが多いのはご愛嬌)氏の4枚組DVD(日本語字幕あり)。

詳しいことはDisc1のときに書いたことを参照して欲しい。

今回は4枚組DVDのうち、「AUTUMN」と名付けられたDisc3の感想文。

このDiscはトリックデックを使ったメンタル・カード・マジック「説明できないトリック」をメインに収録している。

所感

POCKET NIGHTMARE

「すごいテクニックだ」と思われたくないので片手で行う、と宣言し右手はポケットに入れたままにする。
一組のトランプの中から観客に1枚見て覚えてもらった後、そのカードを抜き出してもらうが見つからず、ずっとポケットに入れていたままの右手にそのカードが握られている。

1985年にマックス氏が演じてから、ずっと秘密になっていた手順

マックス氏の演出やセリフを丸パクリした劣化手順を販売されたという経緯を話している。
モラルのないクズみたいなショップはどこにでもあるものである。残念ながら日本にも結構ある(その代表的なショップについての記事)

2020年に正規品としてリリースされたりもしたが、コンスタントに入手出来るかは怪しい気もする。

Right Caption
ゆき
特殊なギミックを必要とするトリックは、古くなったり壊れたりしたときに入手出来なくなって演じれなくなることがあるので注意ですね

使用するデックは特殊なものなので、単品でリリースされているものを入手するのが楽。
全部が全部ギミックではないのだがね。

ブラザー・ジョン・ハーマンがあるトリックを演じた際、改めとしてギミックを渡して調べさせたなんて話がありましたが、ポケットナイトメアのような構成であれば、良いサトルティになりそうなんて思いました。

Right Caption
ゆき
やり方次第なんだなーって

このギミックデックでは、このトリック以外は演じれないと思った方が良いと思うが、片手をポケットに入れているので、オフビートを利用してポケット内でスイッチとかは容易だとは思う。
その後に何かカードマジックを演じる気なのであればだけど。

NIGHT FLIGHT

観客が見て覚えたカードが消え、ポケットから出てくる。

「ポケットナイトメア」が生まれる、一つ前の手順。
ギミックは1枚のみ使用する。

ファン・フォースとかのマックス流の工夫が解説。
確実に成功するわけではないが、成功率は確実に上昇させれそうなアイディア(わたしは未検証)で、納得も出来る。

一手間増える感じではあるが、すでに使っている人は知る価値あるのではないでしょうか。

少し脱線しますが、ファン・フォース系で用いられるサトルティだと、フィン・ジョン氏がやっていた「THE BUDDY FORCE」(DVD『LEGACY』Disc3収録)のアイディアとか好きだったんですけど、どうでしょうか?

失敗したときのカバーは、構成で上手くやっている感じ。

コールド・リーディングで行われる「血液型ルーズ」みたいな策略って効果的ですよね。

Right Caption
ゆき
実はかなり好きな考え方です

CAESAREAN SECTION

いわゆるカード・スタブ。
観客が1枚選んでデックの中へ戻し、紙ナプキンで包む(ここまでマジシャンは後ろ向き)。
ナイフを取り出し紙ナプキンの上からデックの側面へ差し込むと、ナイフを刺した場所がちょうど観客の選んだカードである。

これは不思議。

よくある「なんでナプキンで包むの?」の理由付けも良いです。(もしかしてこれが本来の姿ですか?)

特殊なデックを用意する必要がありますが、これはちょっとやりたいですね。

Right Caption
ゆき
古典、ええですねぇ・・・

SCRUTABILITY

観客の選んだカードが予言のカードと一致する。

マックス流「説明出来ないトリック」の解説。
実演映像だけでも4パターン観せてくれるが、そのどれもが素晴らしい。

国によっては通用しづらいスペリング等は一切なくし、観客がフェアに選んだように思わせるため、演者は極力デックに触れないように考えられている。

Disc2でも同じようなこと書いてしまったが、氏のDVDである『マルチプリシティ』を観ると、さらに色々幅が出るのでやはりこれもチェックしておきたいところ。

「説明出来ないトリック」関係の他の資料だと、ルーク・ジャーメイの『GAME』について書いたときに合わせて色々書いたので、気になる人はそちらを参照してみてほしい。

また、リンク先記事に記載していないものだと、でいしゅう氏の『JAZZ』という作品集も「説明出来ないトリック」をテーマにしたものなので興味があれば参照すると捗ると思う。

Right Caption
ゆき
ケース・バイ・ケースの極意は「観客がセントラル・クエスチョンを意識出来るか」だと思う

インタビュー 3/4

書籍『PRISM』の献辞に書かれている「今はもういない友人と師へ」に関する話から。

今まで影響を受けたマジシャン達との思い出話。中でもジェイ・マーシャルやダイ・バーノンとの話は、色々なマジシャンと仲良くなっていきたいと思っている人はちょっと覚えておきたい内容。
こういうコンタクトされたら仲良くなりたいと思いますもの。

Right Caption
ゆき
どんな人となら友達になりたいか?のマジシャン編

また、デビット・バーグラスを騙した時の話や、マジック史というものに興味を持つようになった話、マックス氏が親日家になったきっかけの話など色々聞けます。

EMC2011 talk

インターネットで開催されたデジタルマジックコンベンションに参加したときの氏の話した内容が収録。

ここだけ字幕がない。辛い。

40年前にマックス氏が考えたシンプルな理論を、ヒンズー・シャッフル・フォースを例に話してくれているようだ(英語は苦手なのじゃ)。

Right Caption
ゆき
「Too Perfect Theory」にも通じそうな内容です

最後に

収録時間の半分近くはインタビューやで。

それはさておき、Disc2に続きカードを使ったトリックであったが、どれも不思議なものでありました。
使用するデックの都合上、軽に演じられないトリックが多いのは残念かもしれませんが、一発重たくて強力なトリックを観客にかましたいときにはいい武器になるんじゃないでしょうか。

「説明出来ないトリック」に関しても、色んなパターンを収録しており、研究したい人にはいいサンプルだと思いますし、マックス氏の思想がわたしの思想にも合致していてとても好みでした。

Disc3は内容が尖っているため人におすすめはしにくいが、興味のある人にはガッツリ刺さる内容だと思いました。

製品情報所感一覧表示へ戻る