1933年に発行された『Al Baker’s Book』と、1935年に発行された『Al Baker’s Second Book』を一緒にした日本語翻訳版の書籍。

【書籍版】Al Baker’s Book One + Second 日本語版(Amazon)
【電子版】Al Baker’s Book One + Second 日本語版(BOOTH)

忘れない内に書いておかねばと
Al Baker’s Book
アル・ベイカーのホーンテッド・デック
ホーンテッド・デック。
とても、良いですね。
わたしが今でも唯一演じているホーンテッド・デック(マイケル・クローズ氏のアルティメイト・ワーカーズ Vol.2に収録されてるやつ)はここからの派生みたいです。
エンドクリーンなのは同じですが、クローズさんのはさらに演じるためのセットが楽で、一度作ってしまえばとても手軽に使えるので、良い改案なのだなと。
比較的新しい作品だと、Denis Behrの「Haunted Herbert 」でもこの作品が源流であると言及されていました。
Handcrafted Card Magic – Volume 3 by Denis Behr(VANISHING.inc)
(日本語訳版もありますが、訳者のところにはもう在庫がないよう)
Magic on Tap by Denis Behr(VANISHING.inc)
Workers Vol 1-4 by Michael Close(VANISHING.inc)
1人で行う「明るい」交霊会
Keller Rope Tieのベイカー版。演者の両手をロープで縛ってもらうが、いつの間にか抜け出してなんやかんやしてる。
今だとサムカフやらサムタイやらサムタイムやらが主流なのであろうか?Keller Rope Tieのベイカーさんの手法。
ベイカーさんの時代は演者が後ろで手を縛って行うのは主流だったようだけど、ベイカーさんの方法は、体の前でかつそこまで大きい動きもなしで出来るようになっている。
演技については軽く解説されてる程度。
タイトル通り、「降霊術」として使う前提ですが、降霊術でも脱出芸でも使えます。ただ、これの演目を「混ぜるな」というアドバイスは聞いておくべし。
ア・カード・アンド・ア・ナンバー
カード・アット・エニー・ナンバー。
2デック用意し、1デックは観客にずっと持っていてもらい、数字を選んでもらった後にカードを引いてもらい、観客が持っていたデックを配ると選んだ数字の場所から引いたカードと同じカードが出てくるっていうのが正確な流れ。
現代のもので似た原理なのは色々あるけども、Asi Windの「A.A.C.A.A.N.」が一番近いのかなぁ・・・。難しいけど1デックで済ませる的な。
スリーカード・ルーティンズ by アシ・ウィンド(Amazon)
アル・ベイカーのペット・ハットトリック
3人の観客から借りた紙幣のシリアルナンバーを透視する。
シルクハットをちょっとしたツールに改造する方法と、それを使う一例の透視トリック。
ハットは日常使いも出来て、調べられても特に問題はない。紙幣とか紙片をフェアにスイッチとか出来る。小さいものや薄いもの限定。
日常的にシルクハットを被ってる人はおそらく居ないと思いますんで、普段から被っているタイプの帽子で作る(割と出来る帽子は多いと思う)とかかな。
ナンバーを透視するときの手法は、現代でもメンタル系のマジックを演じる人が使う策略がすでに使われていたりで、完成度が高いですね。
アル・ベイカーのライジング・カード
ライジングカード。
ワイングラスにデックを入れて、マジシャンは一切触れないで行うライジングカード。
グレーターマジックやエキスパート・カード・テクニックなどでも解説されていた原理のライジングカード。エキスパート・カード・テクニックにはその源流とかも書いてた気がしますが、まぁ、気になる人はそっちを見てもらって。
セットが面倒で、このライジングカードを演じる人は居ないと思いますが、Nicolai Friedrich氏の「THE FOUNTAIN OF CARDS」(Flicking Fingersの『THE MOVIE』収録の)このトリックの発展系といえるかなと感じました。
人体浮遊の検めのように、リングをグラスの上下を通過させる動きがを取り入れてるのが印象的でした。
Expert Card Technique 日本語版 第2巻(Amazon)
Flicking Fingers-The Movie(Penguin Magic)
脈を感じて
5桁の数字3つの合計数を、観客が当てます。
メモ帳に数字を書いた後に観客に渡して計算しておいてもらい、別の観客がマジシャンの脈を取り、1から0の数字をマジシャンが言っていくと、毎回脈がいつもと異なる数字を感じ取って、6回繰り返して出てきた数字が、合計数と同じ。とかそういう感じ。
完全に即席で出来るメンタルマジック。現代では個々の策略に上位互換的な手法が存在しているのかも知れないけど、十分すぎるほどクオリティが高い。
計算周りのサトルティや、脈拍操作の手法やら、観客に手伝いを頼むときの観客の配置などなど、色々な部分で再履修する価値あるとおもんますよ。これはあれかな、どちらが古いのか微妙だけど、鉛筆をテーブルに置くと「コツンコツン」って鳴るやつを観客の手でやっているもんですね。
HEARTBEAT by JUAN COLAS(ellusionist)
アル・ベイカーのリストタイ
観客の腕にシルクを巻き付け、引っ張ると輪になってる部分はそのままに貫通して抜ける。
多分、今でも見るやつ。今でもあるんだから、クオリティについては言わなくてもわかりますよね?結ぶ系って、文章だとほんとに意味が分からないですよね(再現にめっちゃ時間を食いました)。
インポッシブル・カード・ディスカバリー
観客が1枚だけ引いて見ずにポケットに入れたカードを当てる。
シンプルな現象をシンプルな原理で解決する感じ。
現代のマジシャンは「カードを当てる」っていう現象を軽んじすぎてるなーとよく思ったりするわけですが、しっかりした演出で、ギルティな操作は上手いこと観客に確認する動作でやっていて、こいいうのでええねん・・・とか思ったりしました。
新聞記者によく演じた。みたいな事が書いてあったのですが、テレビ放送が世界で初めて行われたのは1935年。それより前の時代での「新聞記者に」っていう表現は現代で言う「テレビで演じた」くらいの意味があるのかなって感じました。
思い浮かべたカード
5人の観客にそれぞれ10枚ずつカードを渡して、その中から1枚ずつ覚えてもらい、カードはまとめてそのまま持っていてもらう。その後、10枚のカードが貼り付けられたボードを5組使い、観客の反応から覚えた1枚を特定していく。
サロンくらいで演じるのに適したカードトリック。
5人までの観客を前に上げて参加してもらえ、人数が足りなくても問題はない。
あるに越したことはないけど、テクニック系の負担はそんなにないので、大勢の前で演じることになった初心者さんなんかには良いトリックかなって。
アル・ベイカーの足し算トリック
観客たちの言った数を黒板に書き、演者が退室してアシスタントが代わりに入室し(演者とはすれ違ったり顔を合わせたりしない)、アシスタントが観客たちの言った数字の合計値を当てる。
アシスタントによる透視トリックで、ツーパーソンテレパシーとも言える。
演者とアシスタントがすれ違わない出入り口が複数あるとか、それなりに広い密室(外から見えない)、観客はある程度の人数が欲しいなど、そこそこ制限はあるけど、難しいものでもないので知っておくと使い途はなんかありそうな気がしないでもない。ツーパーソン・テレパシー系統は知らない原理が多くて面白いですね。
ちなみに複数回繰り返すことも可能です。
新しいロープの切断と復活!
ロープを切って繋げます。
今現在も使われている、最初に観客に切ってもらってはじめる手法を、1本のロープを手に取るだけで演技準備可能にするアイディア。この手法はを使えば、ロープ手順の途中で「あの」状態に来ますねっと。
フィンガー・ポイント
観客の覚えたカードを当てる。
古い手品本に出てきがちな不確実な方法かと思ったら、色々と出来そうな工夫が書いてあった。もしかしてそういうトリックって、和訳のときに訳者が変な解釈してるのか・・・?と頭をよぎるなどした。
とはいえ、根幹の部分のトリックはシュアファイアとは言い切りづらい。
リスクを背負ってでも不思議なマジックをしたいってスタンスの人は、覚えておいて機会があれば使ってみる(リカバリーの手段は用意しておいて)とかいんじゃないかな。
マッチメーカー
2枚のカードを引いてもらい、それぞれ4つの破片に破ってもらう。破片を混ぜてから2人の観客に交互に8枚の破片から1枚ずつ取っていくが、2人とも取った4枚の破片が同じカードのものである。
見たことのない手品道具を使う。この本の中ですでに「古いマニアならよく知ってる道具を使う」と出てくるけど、なんかもう見たこと無い。ただ載ってる画像を見たら構造はすぐ分かると思う。
へーそんな道具あったんだー。くらいの楽しみ方で良いんじゃないかな。でもやりたかったら、同じことが出来そうな道具はありそうです、多分、ここに書かれている謎道具よりももっと自然な感じの道具が。知らんですけど。
「いつでもどうぞ!」
2枚のカードを選んでもらいデックに戻す。シルクハットに1枚ずつカードを捨てていくが、ストップがかかったときに手に持っているカードが観客の選んだカードで、それをもう一度繰り返して2枚とも当てます。
特殊なセットをしたデックが必要だけど、観客が真っ先に想像するであろうタネをキャンセルアウトするサトルティが好き。こういう工夫もっとください。最近足りません。
アル・ベイカーのビレット・ミステリー
3枚の紙片に、演者が質問した内容に対しての答えを書いて3つの封筒にそれぞれ入れる。演者は次々と書いてある答えを読み取っていく。
スライトとあの原理(ワンアヘッド的な)を上手いこと組み合わせたシンプルなリーディング。アンネマンのビレットワークなんかを見ていると、このあたりから派生とかしていったのかなーと感じます。ピークの仕方と演出の噛み合い方が素敵です。
Annemann’s Complete One Man Mental And Psychic Routine 日本語版(Amazon)
セルフ・アンノッティング・ハンカチーフ
結んだハンカチがひとりでに解けます。
今だとリール使うのが主流なんでしょうか。
シルクはあまり詳しくないのであれですが、正直リールよりもこっちのベイカーさんみたいなタイプの方がメリット大きそうなんだけど思ったり。
シルク使う人達がみんな大好きな、弾いて結び目を解くトリックをした後にこれを演じるととても良いです。
Al Baker’s Second Book
グラスの消失
グラスに水を入れハンカチを被せます。ハンカチを取るとグラスが消えています。
ハンドリングで上手いことするトリック。Secondの序文にて「あまり細かすぎることをつらつら書かずに、演出なんかは読み手に委ね、解説はイラストにもっと頼る」ということを宣言しており、見れば一目瞭然なのですが、用具にとある処理をする「理由」が書いておらず、知らない人には伝わらないんじゃないかな?って部分がありました。「これなくてもいいじゃん」って思ってやってみたら失敗する系の工夫。
意外と気づかないよね、そういうの。
うわっ!!
2枚のカードをデックに戻してシャッフルし、ハンカチをかけた状態にして、そこから手探りで観客のカードを取り出す。その後、残りのデックがすべて消失している。
この時代のカードマジックの本によく載っているトリック。の原型なのかもしれない。操作とそれをカバーする演出的な問題で、サカートリックになっています。
Expert Card Technique 日本語版 第3巻 (Amazon)
アンダーカバー
観客に黒板を渡し絵を描いてもらい。その後演者も黒板に絵を描く。演者は観客の絵を見ていないにも関わらず、そっくりな絵を描いている。
ノーマルメソッドとベイカーメソッドが解説されています。
用具の準備が面倒いなぁ的な理由で、演じるならノーマルメソッドな気がしますが、動作の必然性とか演出のことを考えると、ベイカーメソッドの方が美しいと思います。
黒板じゃなくても、スケッチブックやフリップとかでも大丈夫です。
アナザー・フォーエース・トリック!
4Aの内1枚をグラスに入れ、残りの3枚のAはデックに戻す。デックからAが消え、1枚だけAを入れていたはずのグラスから3枚のAが出てくる。
古のフォーエース・トリックの資料としてどうぞ。
一点気になるのは、サイ・エンドフィールドさんや佐藤総氏を思い起こすあのカードの偽装方法って初出いつでしょうかね。今のところこれが一番古い気がします。
Cy Endfield’s Entertaining Card Magic by Lewis Ganson(Lybrary)
カードマジックデザインズ by 佐藤総
(もう販売元がないじゃない)
あなたの脈が物語る
観客の脈を取りながら反応を見て、選ばれたカードを探し出します。
どの程度判別出来るのかなぁ・・・。これをするのであれば、アル・コーランの目隠しアクトも覚えておくと良い気がします。同じギミックを使うので!
ア・カード・アンド・ア・ナンバー 2nd
2つのデックを使い、一方から選んだカードがもう一方のデックの観客が言った枚数目から出てくる。
Oneにあった手順のバリエーション。覚えることをなくして、ギミックを導入しました。記憶もスライトも使いたくない人向け。
ベイカーのビルスイッチ
ギミックを使わないビルスイッチ。
サムチを使った手順ってもっと後じゃなかったっけ?と思ってロヴィックのビルスイッチ本を見たら、ベイカーさんの名前がめっちゃ出てきた。サムチ前の初期のビルスイッチのひとつらしい。
個人的にはこっちの方がやりやすい。ただ、スイッチ後のフェアさが、サムチを使ったものにはちょっと負ける気がします。スライトオンリーのビルスイッチにならばいい勝負。初期作品なのに後期作品とためをはるベイカー恐るべし。
ビル・スイッチ by ジョン・ロヴィック (著), 滝沢 敦 (翻訳)(Amazon)
アンサイト・アンド・アンシーン
2人の観客のサインカードをデックに戻してシャッフルしてもらい、演者はデックをポケットに入れ、感覚だけで2枚のカードを取り出します。
観客がサインカードを入れてシャッフルし、そのまま観客が演者のポケットに入れ、そこから演者がサインカードを取り出す。というのを2回繰り返し、デックはそのまま観客に手渡して確認までしてもらえます。
めっちゃ賢い。
そういえばHenry Fetschが「ゴースタティック・タッチ」っていう作品をJINXに載せていて「よく考えるわ」と思った気がしますが、もしかしたらこの作品からの派生か?
セックス・アピール
観客の男性と女性から指輪をひとつずつ借り、指輪を離れた位置に置くが、男性の指輪がひとりでに動いて女性の指輪へ近づいていきます。
見えない糸がない時代?のトリック。ワックス使ってるけど、くっつけないんだね。手を使わずに勝手に処理されます。
カム・セブン!
演者が2個のダイスを重ね、隣り合ってる目の合計が「7」になっていることを見せるが、観客が同じことをしようとしても何故か出来ません。
ちょっとした小ネタ。エラー品の特性を利用したトリックで、この現代にそんなエラー品そうそうあるかな?と思ったけど普通に100円ショップで買ったダイスにエラー品があって普通に出来ました。捜索時間5秒での発見でした。
ロスト・アンド・ファウンド
インポッシブル・カード・ロケーション。
原理的にはよくあるもの。
個人的には「運が良かった場合、演者はデックに触ることも見ることもなく当てることが出来る」みたいな、しれってされているプチアイディアが好きでした。
そういえばこのあたりの原理、チャールズ・ジョーダンがよく使っていた気がしますね。
Thirty Card Mysteries by Charles Thorton Jordan(Lybrary)
サムシング・フロム・ナッシング
タンバリンでプロダクションするタネをロードするアイディア。
タンバリンをもっと上手くやりたい人はどうぞ。ただ、手品用のテーブルが必要です。
パス・ザ・ソルト
秘密裏に塩を使うカード当て。よく知られている使い方では無い方法。
よく考えるなぁと。実用性もあるとおもいますが、マジシャン相手に塩の使い方見せる方がウケる気がします。
ボタンボタン!
子供向け手品グッズに入ってる用具を不思議に見せるためのアイディア。
テンヨーの道具を魔改造して演じるマジシャンを思い出します。
名前は―――!
観客に紙を渡して何か文字を書いてもらった後、四つ折りにして封筒に入れて燃やしてしまうが、マジシャンはその内容を読み取る。
ちょっとしたピークデバイス。謎の言語が書かれたカードを取り出して、「なんて書いてあるか読めますか?◯◯◯(観客の書いた言葉)って書いてるんです」という風に当てる演出。
特に変わった仕掛けがあるわけでもないので、その辺の100円ショップで道具を買えばすぐに使えます。
私と妻
アシスタントがスケッチブックに観客のイニシャルとカードの名前を書き、破り取ってシルクハットの中に入れ、演者はその後にイニシャルの観客にカードを引いてもらいます。これを複数人の観客で繰り返し、破いたスケッチブックを見てみるとすべて当たっています。
ツーパーソン・テレパシー。霊媒の負担は少なめ。
もしツーパーソン・テレパシーを本格的に行いたくなったら、アンネマンの『En Rapport』(マジシャン・霊媒役ともにそれなりのスキルが必要)や、『JINX PROGRAM 5』(霊媒は少しの練習のみでOK)を参考にすると良いでしょう( ˘ω˘ )
En Rapport by Theodore Annemann 日本語版 (Amazon)
JINX PROGRAM 日本語版 No.5 (Amazon)
ノベル・エスケープ
箱に入ったアシスタントが脱出します。
レギュラーの箱で行う方法。人体交換ボックスが高くて買えないけど、それっぽい箱はある・・・!というときは使えそう。
ミルキーウェイ
観客の帽子を借りてその中に牛乳を注いだグラスを置く。その後、グラスを取り出して新聞紙で作った筒の中に入れると、グラスが牛乳ごと消えて帽子の中に戻っている。
サロンで使えそうな牛乳の消失。似たような道具が色々売ってますけど、そこそこ簡単に作れるので、サロンで演じるネタを探してる人はどぞ。

