所感:「SPREAD ROAD by KID」

2020-06-20

SPREAD ROAD by KIDとは?

大阪を拠点として活動するアマチュアマジシャン・KID氏の1st DVD作品集。
収録作品はすべてカードマジックであり、パームとパーム・リバース(Paul LePaul氏の「A Useful Acquitment」と言ったほうが通じやすい方もいるでしょうか)、そしてカルに焦点を当てたものになっている。

収録時間は30分ほど。

所感

  • KID氏は平均女性くらいの手のサイズ
  • 言葉による解説は無く、日本語字幕によって説明
  • ストリートで演じやすいトリックが多い

SPREAD MYSTERY 1

デックを広げると4枚のエースが表向きに出現する。

このDVDの基本とも言える手順。
氏のパーム・リバースは広く知られているものと異なり、右手の窮屈さが解消されている。

SPREAD MYSTERY 2

デックを広げ適当な4枚をまとめて表返し、デックを閉じて広げなおすと4枚のエースに変化している。

「1」の手順を「変化」現象にしたもの。

UNDER COVER SWITCH

「SPREAD MYSTERY 2」演技後、デック内に残る「ゴミ」を処理もしくは利用するための方法として解説。
パーム・リバースとのシナジー効果高いです。

HONEY BEAT

観客の選んだカードがトップに上がってくる。指を鳴らすと選んだカードの別スート3枚がデック中央で表向きに出現する。

アンビシャスカードとメンタルリバースの混成とも言うべき現象。
現象がすべて観客の手の上で起こるような構成になっているのもよい。
ストリートマジック適性高し。

JUGGLE ATRACT

観客の選んだカードがデック内で表向きになり、もう一度広げると残りのスートがバラバラな位置で表向きになって出現する。

QUIET TENDERNESS

デックを振るたびに観客の選んだカードの別スートが表向きに現れる。
最後には、予言としてポケットに入れておいたはずのカードが、観客の選んだカードになっている。

Benjamin Earl氏の「Soft spread production」のバリエーション(DVD「Past Midnight」のDisc1に収録されてます)。
パームとパーム・リバースの練習にも最適な手順。

EXCELLENT ASSISTANT

コレクター現象。

どちらかといえば力技寄り。
最近頭のおかしいコレクターの手順を色々観たせいで「演じやすい!!」と一瞬思ってしまったが、間違いなく力技に寄ってるはず。

得意不得意の綺麗に分かれる技法を使うが、実用的だと私は思う。

CARD CUT

ジョーカーが消失し、観客のカードを探し出す。

シンプルでクイックなトリック。ちょっと何か見せなくてはいけないときに役に立つ。

PALMING TECHNIQUE

ワンハンド・トップパーム(1枚/複数)、ボトムパームの解説。

オーソドックスなパームの解説。
複数枚のワンハンド・トップパームは、1枚と同じモーションで行える。覚えておくと役立つでしょう。

ボトムパームは右手のクラシックへ入れるもの。

最後に

明確なコンセプトを持った作品集っていうのは良いですね。

カルの詳細な解説は他のもの(コスチャ・キムラット氏の『ロードランナー・カル』を推奨されてた)へ譲っていますが、パームの解説はされてますし、大体の手順はある程度までは習得しやすいと思います。

初心者に忌避されがちなパームですが、パーム・リバースとの併用から慣れていけば、自然と応用もしていけるのではないかと感じました。
そんな意味で、初心者がちょっと背伸びしたくなったときに挑むものとして丁度良い作品集なのではないかと思いました。

はっはっは、打ちのめされてしまえー|Д`*)

製品情報所感一覧表示へ戻る