所感:「SANKEY SANDERS SESSIONS」Disc2

2021-02-28

SANKEY SANDERS SESSIONSとは?

仲の良いマジシャンJay SankeyとRichard Sandersのセッションを2枚のDVDにまとめました!っていう作品。
2002年9月からビデオでやり取りを開始、2004年1月にはモントリオールで集合、72時間缶詰になってセッションし続けた。という活動の結果だそうな。

2枚組になっているものと、vol.1とvol.2でバラ売りされているものがあるようです。
おそらくRichard Sanders氏のブランド「Sanders FX」から出ているものは2枚組、Jay Sankey氏のブランド「SANKEY MAGIC」から出ているものはバラ売り、って感じみたいですね。多分ですけど。

今回はvol.2の分。

vol.1はこっち

所感:vol.2

  • ホームビデオ画質
  • 解説はそんなに詳しくないのである程度慣れてる人向け
  • 海外の販売サイトだと「18歳以下は観るな」と注意あり
  • ちょいちょい茶番が差し込まれる

Repeat Offender(Sanders)

現象観客のカードがブックマッチの中に移動します。
さらにもう一度移動し、今度はブックマッチの中でステープラーの針で留められています。

ブックマッチって今あるんですかねぇ・・・?
バーとかだとまだ置いてるところもある、と聞いたんですけど、いや置いてるとこ見たことないよ?

やるとしたらクライマックスになるでしょうか。

一度目の移動は六つ折で、2度目は四つ折っぽい感じでしたね。
統一性がありませんが、2度目は針で留められているので広げれないからかなぁ?とか思いましたけど、あれか、針が通りづらいからとかか。

実演はそうなっていますが、ブックマッチのサイズよりも小さければ折り方はほぼ関係なかったりする。

1度目はマッチをちぎり取る動きの中でムーブを行っており、ここのハンドリングはブックマッチ以外だとあまり参考にならないかもしれない。

ただ片手での6つ折カードフォールドが解説されているので、そこは参考になる。

2度目の移動は、仕組み的に1度目の移動と無関係なので「針で留められる手のひらサイズくらいの物体」であれば何でも良い。

2度目の移動は、観客に「アンコール」されたとき用に取っておいて、求められたら少し軽い感じで演じることで最大限の効果を発揮する手順だと感じました。

(1度目の移動のほうが効果的だと思うのですが、2度目の移動で上手くキャンセルアウトして不思議さが強調される部分があるからそう思いました)

手のひらサイズで且つ、折ったカードを針で留めるようなガッチリ固定された状態に出来る構造のある
物体があれば、準備しておくといい気がします。

何かあるかな・・・?

Bleed Through(Sankey)

現象紙幣にマジックで書いていた予言が当たり、その予言が紙幣の逆側へ移動する。
メッセージが紙幣を通り抜けるというトリックだそうです。

フォローできねぇ。

書籍『ビル・スイッチ』(著:ジョン・ロヴィック 訳:滝沢敦)の中に類似手順がいっぱい入ってたりするんじゃないでしょうか?

Up & Over Aces(Sanders)

現象エースプロダクション。
2つのパケットに分けて両手に持った状態から、エースだけが表向きに2枚ぬるりーっと出現し、続けてまた同じ様に2枚のエースがぬるりーと出現する。

表向きでセットするとかが必要そうに見えたがそんなことはなく、表向きにセット・・・とかは必要なく、操作も単純であった。

思った通りのぬるーり感を出すには練習が必要そうだがとっつきやすく良さげである。

おまけで、表向きのセットが混ざるが4枚のエースが一度に揃うハンドリングも解説されている。

ちょっと練習してくる。

あやふやだが、ジョシュア・ジェイが似たような動きをするプロダクションをしていた気がしました。
気のせいかもしれないけど。

Proximity(Sankey)

現象紹介文は「暗闇の中で2枚のカードがお互いに見つけ出す」
1枚のカードを覚えてもらい、その後スペードのA(のような目立つカード)を抜き出し、観客が後ろに回して持ってスペードのAを表向きにデックに入れてもらう。デックを前に持ってきて広げると、差し込んだ場所に覚えたカードがある。

えー・・・。

えー・・・・・・。

テーブルの下に入れ・・・無理。
バスタオルの下に入れ・・・無理。

だって矛盾してるし。後ろ手に持つとワンチャン勘違いして成立するかもしれない。

手品慣れてない人だと、マジシャンが指示したとおりに出来ない可能性も。

「こうやるんだよ」って手本を見せることも不可。

・・・。

同じ趣旨のトリックを演じるのであれば「アワサカ/テンカイのカード・スタッブ」(書籍『魅惑のトリックカード・マジック』著:松田道弘)というトリックがあるのでそちらが良いのではないでしょうか。

わたしは紹介文からてっきり、佐藤総氏の「バスタオル・メンタリズム」のような作品なのかと思ってました。

Defective(Sanders)

「誤作動が克服される」
公式の紹介文これなんですけど、適当過ぎやしませんか。

現象観客の覚えたカードを取り出すが間違っている。
付箋に「Defective」(不良品)と書いて間違って取り出されたカードに貼る。
振っていると、付箋はそのままで観客の覚えたカードに変わる。

演出は良いと思います。

佐藤総氏がオール・バックの手順を誤作動みたいな演出でやっていましたが、あれは良かったですね。

Switch Places Aces(Sankey/Sanders)

演技はサンダース。

現象2枚のカードを覚えてもらった後、スペードとハート2枚のAを取り出してトランスポジションを演じ、最後には最初に覚えてもらっていてカードに変化する。

2人の共著である書籍『When Creators Collide』(1987年発行ですってよ)に載っているトリック。

2段のトランスポジションと、クライマックスの変化からなる3段階構成。

短くさくっと演じれるので便利である。
ダン&デイブのTIVO系トリックとか好きな人は気にいるんじゃないかなぁ。

Seeing Read(Sankey/Sanders)

演技はサンキー。

現象ブックテスト。
1冊の本の中から、3つの単語をそれぞれ別のページ・ページ内の適当な場所から選んで覚えてもらい、それを当てていく。

演者がサンキーじゃなかったら面白かったのかもしれない。

古典的な原理の組み合わせだが、この組み合わせ方はあったようななかったような。

Josh Zandman氏の書籍『The Impromptu Book Test』や、Luke Jermay氏のDVD『エモーショナル・インテリジェンス』とかを参考にして磨いたらもうちょっと良いトリックになるのではなかろうか・・・。

ブックテストで最近面白いなぁと思ったのは、Anthony Blake氏の「BOOK TEST Ⅱ」(DVD『BLAKE』収録)でしょうか。
日本語では難しいでしょうけど、ああいうの憧れますねぇ。

Consolidated Cash(Sanders)

現象コインの破片が復活します。

あるギミックを2組使用する。

マジシャンからすると演じるの怖い系だと思うが、観客からすれば自分が持っていたコインがビジュアルに復活したように見えるので効果的だと思う。

Mr.マリック氏あたりがTVの特番で演じそうなトリックだと思う。

わたしは「アリ」だと思うが、個人個人でめっちゃ評価に差が出そうなので、自分の目で見て確認して欲しい。

Ground Zero(Sankey)

現象両面にサインしたカードが、観客の持っていた謎カードの下から現れる。

謎カードはポストカードくらいサイズのものに変な模様を付けて作るだけのもの。

手順的には何一つ語るところはない。

謎カードをあの模様で作り、ある指示の仕方をすることで、裏にひっそり隠したカードを持たされても気づかないところは、なんかもっといい使い方があるような気がしました。

Belly of the Beast(Sankey)

現象2枚のカードの破れ目の交換現象。

初心者におすすめ。

最後に

内容はさておき、やはりこういう映像は残したほうがいいと思うんですよ、はい。

サンダース氏のトリックは中々良い物が揃っていましたが、サンキー氏のは少し微妙ですかね。

サンキー氏は起点となるアイディアは優れているのですが、その解決手法に幅がなく、完成度に対するしきい値が低いように思えます。

アイディア勝負は出来ないけど、改案ならまかせろーみたいな連中と組み合わせると強いように思います。

サンキー氏のトリックの概要だけ読んで、想像で手法を組み立てたらいい手品出来るんじゃないでしょうか?

お暇ならやってみてはどうでしょう。と思うわたしでした。

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