【初心者向け】手品・マジックの覚え方ガイドライン
初心者の方がスムーズに手品を習得していけるように、いざ手品を始める前に知っておきたい基礎知識をご紹介いたします。
手品は比較的気軽に始めやすい趣味のひとつで、ネットには教材となる動画が数多く存在しており、独学で練習することも可能です。
しかし、始めるときのハードルが低いのにも関わらず、趣味として手品をしている人が少ないとは思いませんか?実は挫折するハードルも低いのです。何から手を付けて良いのかすら分からなかったりするのです。
ここでは挫折が少しでも減るように、手品を始めるまでに必要な情報をまとめました。
「手品」と「マジック」って何か違うの?
大体同じものだと思ってもらって大丈夫です。
マジックは全体を指し示し、マジックの一部のジャンルを「手品」と呼んだりと、厳密には使い分けていたりするのですが、「マジック」だと有名なトレーディングカードゲームと同じになってしまい混乱するケースがあるのと、趣味として手軽に始めることが出来るのが「手品」の範囲に収まることがほとんどのため、「手品」を使っていたりします。
ちゃんと違いを知っておきたい!という人は以下の記事を御覧ください。
手品を始めるにあたっての「不安要素」を解消しておこう
手品・マジックをやってみたい。でも自分に出来るかどうか分からない。
手品は数ある趣味の中でも難しいイメージが大きく、どうせやっても出来ないだろう。と始める前から諦めてしまう人が結構います。
ですがやりもせずに諦めるには勿体ない趣味です。
マジシャンが手品をしているのを観ると「器用なんだなぁ」「喋るのが上手い」などと思うかもしれませんが、正直言って「見当違いの見解」であると断言させてもらいます。実はあまり関係ありません。
器用さでいえば普通か不器用な部類の人も多いですし、人と喋るのなんか底辺と言っても差し支えないくらい会話に難のあるマジシャンも多いです。
と、どんなに言ったところで不安に思う人はいると思うので、手品を始めるにあたって生じる、よくある不安要素をひとつずつ解消していきましょう。
Q.手が小さいけど大丈夫?
A.500円玉よりも手が小さい。とかなら辛いかも知れませんが大丈夫です。
おそらく手の中にトランプなどを隠し持ったりするのを想像しているのかも知れませんが、実際はみんなが想像しているようなことをすることはあまりありません。
大きいと有利になることもありますが、手が小さい方が綺麗に見える手品っていうのも多く、実際は一長一短なのです。
カードマジックから派生して生まれた「カーディストリー」というジャンル(トランプで行うジャグリングのようなもの)では、手が小さいと「指が届かない」ということが発生するらしいですが、一流のプロマジシャンでも「カーディストリーは一切やらない」という人はザラにいます。
Q.指と指の間に隙間が出来るので、物を隠し持ったり出来ません
A.指と指の間に隙間が出来るのは、人体の構造上当たり前のことなので大丈夫です。
かなり太っている場合とかで無い限り隙間はできます。
隙間が出来ないようにするという技術もきちんと存在しており、練習次第でなんとでもなるので不安に思う必要はありません。
Q.不器用でも大丈夫?
A.器用だと有利なこともありますが、ほとんど関係ありません。
少なくとも、みなさんが想像している「器用さ・不器用さ」っていうのは手品には無関係なことがほとんどです。
正しいやり方を知っているか、スムーズに動けるか、マジシャンを見て器用だなと思うのであればそういった部分を「器用」と感じているだけなのです。
それでも納得できない方には
「箸でご飯を食べる日本人が、不器用なわけ無いじゃないかHAHAHAHA」という外人さんの言葉をプレゼントしておきます。
Q.喋るのが苦手だけど大丈夫?
A.喋るのが下手なマジシャンっていうのもいっぱい居るから多分大丈夫です。
実際にお客さんに演じるときのことを心配されていると思いますが、「手品を人に演じる」っていうのは楽しみ方のひとつに過ぎません。手品道具を集める、ひたすらテクニックの練習をする、新しいアイディアを知る、手品を見る、色々な楽しみ方がありますが、喋るのが苦手で困るのは「人に演じるとき」や「同じ趣味の人との会話」くらいではないでしょうか。
手品をしていれば喋るのが上手くなることもありますし、最悪の場合は喋らずに演じることも出来るのでなんとかなります。
また、鏡の前で黙々と練習するのが好きなので人と喋る必要がない。そんな人も居ます。
マジックを始めるその前に
不安に思っていた部分は解消されたでしょうか?
ここからは、マジックを始める前に知っておくと良いことを紹介します。
マジックの楽しみ方は人それぞれ
マジックを始めたいと思ってこのページに辿り着いた人は、多かれ少なかれどこかで手品・マジックに触れていると思います。
おそらくは「自分もやってみたい」と思った人が一番多いのではないかと思います。
ですが、この「やってみたい」の中にも「覚えて人に見せたい」「未知の技術を練習・鍛錬をしたい」「仕掛けや仕組みを知りたい」「研究してみたい」「手品道具を集めたい」「他の芸能に活かしたい」いろいろな形があります。複数当てはまる人もいるでしょうし、これ以外の手品への関わり方、単純に観たいだけ。そんな人も居ます。
同じ趣味の人であっても、手品に対するスタンスは人それぞれです。
同じ趣味であっても、人それぞれ手品との関わり方は違うということを知っておいてください。
手品という趣味は、他の趣味に比べて取り分け住み分けるということが重要になってきます。最初は頭の片隅でも構いませんので、このことを覚えておいてください。同じ趣味の人達と関わるようになったときに大事になってきます。
また、初心者に付け込んで色々なものを買わせようとする悪どい奴らも存在するので、十分注意してください。
どんなマジック・手品があるのか知ろう!
実際に始める前に、どんなマジックをやりたいのか?自己分析をしておきましょう。
いざ始めたら、これはやりたいのと違う・・・。ってこともあるので、そうならないためにも少しは知っておく必要がありますよね。
そもそもマジックにはどんな種類があるの?っていう人も居ると思いますし、まずは簡単に説明します。
すでにやりたいことが明確に決まっている人は、あーこういう種類があるのか。とでも思ってください。
マジックの種類(規模別)
マジックを演じる際の規模、観客との距離による分類です。
クロースアップ・マジック:
小人数の観客と向かい合って演じるスタイルのマジックをこう呼びます。
トランプやコイン・日用品などを使い、観客とのやり取りを重視したものが多いです。
サロン(パーラー)・マジック:
比較的大人数(30人くらい)を相手にして、広めの空間で行うスタイルのマジックをこう呼びます。
大きめの道具を使い、パーティーなどでBGMなどをかけた上で行ったりする事が多いです。
ステージ・マジック(イリュージョン):
大人数(数十~数百人)を相手にし、舞台上で演じる大掛かりなマジックのことをこう呼びます。
ステージ・マジックの中でも、特に大規模なものはイリュージョンと呼ばれ区別されます。
マジックの種類(手法別)
マジックをどう達成するかという手法の分類。複数組み合わせることもあります。基本的にはマジシャンだけが使う分類で、観客に対しては基本的には伏せられる情報です。
スライト:
「sleight」「Sleight of hand」日本語でいうと「手練」。訓練によって得た指先などのテクニックを利用して行う。
現代では「Sleight of hand」というフレーズの中でしか「sleight」という単語は使わないそうな。
「手先のテクニック」だけに限らず、今では「頭のスライト」なんて言葉もある(流行らなかった)。
ギミック:
「gimmick」日本語でいうと「仕掛け」。仕掛けのある道具を用いて行う。
おもちゃ屋さんなどで見かけたことのある人も多いのではないでしょうか?テンヨー製品を手にとってみてください
セルフワーキング:
「Self-Working」。指先のテクニックや仕掛けを用いず、決まった手続きを踏めば自動的に起こる手品をこう呼ぶ。
マジックの種類(素材別)
カード(トランプ)マジックやコインマジックといったメインで用いる素材による分類。色々あるから説明しきれない。
そんな事言わずに説明して!って思う人はリンク先(英語です)を見て「こういうのがあるのかぁ」と思ってください(・ω・)
マジックの種類(演出別)
演出による分類。種類が多いので一部を紹介。
メンタルマジック/メンタリズム:
予言・透視・念動力といった、超能力を演出としたマジックの分類。
ビザーマジック:
メンタルマジックと似た演出であるが、心霊・呪いといったおどろおどろしい演出のマジックの分類。
ギークマジック:
ガラスの破片を食べる、鶏の首を切断したあと復活させる、傷口の中から物体を出現させる。といった気持ち悪い演出のマジックの分類。
コメディマジック:
笑いの演出が組み込まれたマジックの分類。
どうやって学ぶか
手品を覚える方法として、大体この3つになります。
・本で覚える ・動画で覚える ・人に教わる
どの覚え方がいいのか?どの方法が一番効率が良いのか?
まぁ正直どれでもいいと思います。
ただ、これから始めるあなたの「やりたいマジックの種類」「どんな楽しみ方をしたいか」「得意な習得方法」によって、ある程度おすすめしたい方法はあります。
まずはそれぞれの方法のメリット・デメリットを確認し、それを踏まえた上で自分はどうかを考え、一番良いなと思った覚え方を試してみてください。
本で覚える
紙媒体の書籍や電子書籍のような文章がメインの媒体を使って覚えること。
メリット
・能動的な考え方が身につく
・自分のペースで進めることが出来る
・自分の考えが入り込む余地があり記憶に残りやすく、新しいアイディアが生まれやすい
・詳細な部分・原案者が意図した部分を理解しやすい
デメリット
・活字を読むのが大変
・ある程度の手品知識が前提にないと理解することが難しい
初心者にはあまり向かない学び方で、どちらかといえば中級者・上級者向けなのは否めません。
ですが、初心者を卒業したあとの伸び具合がすごい。
復習しやすく、自分で考える癖も付くためでしょうか。
ちなみにですが、マジック業界には古くから「本当は隠しておきたいアイディアを発表せざるをえないときは本に載せろ」という言葉があり、ほとんどのマジシャンはまともに本も読まないということを揶揄した言葉なのでしょうが、なんでこの手品全然知られていないんだろう・・・?というような手品に巡り合うことがものすごく多いです。
これも本で学ぶことの良い部分かも知れませんね。
動画で覚える
DVDや映像コンテンツ、youtubeで覚える方法。
メリット
・概要が掴みやすい
・知識がなくてもそれなりに真似が出来る
・映像と音による情報は、記憶に留まりやすい
デメリット
・受動的になりがち
・詳細な部分・原案者の意図を理解するのが困難
・復習の際非常に手間
百聞は一見に如かず、という言葉の通り、何も知らない初心者であっても概要を把握できるのが強い。
上手くなるのめちゃめちゃ早くね!?ってなります。
ただ中級・上級者になってくると時間あたりに得られる情報量が少なくなってくるため、効率が悪くなる傾向があり、「ある程度までいくとそこから全然上達しない」や「みんな似たようなことしかしなくなる」という欠点が現れていきます。
書籍と比べ作成するのが容易なためか、質の悪いコンテンツの占める割合が大きいのが難点。
人に教わる
団体に所属するや、講師に直接教わったり、友人などに教えてもらう方法。
メリット
・個人に合った覚え方が出来る
・分からないことはその場で聞くことが出来る
デメリット
・教えてくれる人を探すということの敷居が高い
・ある程度習得した状態でないと、コストに効果が見合わない
環境や運に依存するので中々におすすめしにくい学び方。
ただ、運良くやばい(良い意味で)指導者に巡り合うことに成功した場合、将来を約束されたトッププロになることも可能なのである。
2020年のコロナ禍以降、オンライン環境で学べるチャンスが増えたため、評価が変わってくるかも知れない学び方。
基本的な学び方のおすすめ
というわけで、学び方によるメリット・デメリットを話させてもらいました。
それらを踏まえてどういう風に学ぶのが良いのか?
覚え方の流れ:動画→本+動画
基本的にはこの流れが良いと思います。
動画からある程度動きを理解し、基本的な動きは出来るようになったタイミングで、本と動画を併用する、または自分が習得しやすいと感じた学び方にシフトしていきます。
レアパターンではありますが、友達や知人にすでに手品を趣味としている信用できる人がいたらその人から教えてもらうのも良いでしょう。
ただし、面識がない人にいきなり教えてもらうというのは止めておいたほうが無難です。
「お金を払って一流の講師に習う」という場合や「無料で一から初心者にも分かるように教えます!」と銘打った一見お得に見える場合であっても、ろくな事にはなりません。
学校や飲み屋などで人気者になりたい人用のおすすめ
覚え方の流れ:動画(youtube)
youtubeで十分です。無料で観れます。
ただし、マジシャンの友達を作りたい・マジックの交流イベントに参加してみたい。という展望がある場合は控えたほうが良いです。理由は次の項で簡単に。
同じ趣味の仲間や有名なマジシャン達と交流したい人用のおすすめ
覚え方の流れ:動画→本・動画(DVD・DLCに限る)・人
基本のパターンと大体同じなのですが、youtubeに依存するのは控えたほうが良いです。また、積極的に人と関わるようにしましょう。
手品業界は有名な人とも簡単に交流できる珍しい業界なのですが、相容れない立場の人が多いです。
youtubeの無料動画で学ぶことは違法ではありません。
ですが覚えておいてほしいのです、トリックのひとつひとつに必ず「考案者」という考えた人が居ます。現役で活動されている有名なプロの方が考案されたトリックも多数あります。
youtubeでは考案者を隠し、あたかも自分が考えたかのように種明かししています。
これ、普通に嫌われると思いませんか?
中にはきちんと考案者を言ったあとで種明かしする方もいます。
これ、死ぬほど嫌われると思いませんか?
漫画家さんを例に挙げさせてもらいますが、ファンを自称する人に「あなたの漫画、違法アップロードサイトでいつも読んでます!ファンです」と言われたとしてどう思うでしょうか?
あ、繰り返しますが手品の種明かしは違法ではありません(一部法に触れてるものもありますが)。
これらのことを踏まえた上で、パクられているマジシャンの立場で考えてみてください。
youtubeで動画を投稿している人と、その動画で手品を覚えた人、
どう思われてると思いますか?
youtube動画から手品を始めるのは悪いことではありません。ですが、それが正しいことだとは思わないでください。
いつかプロマジシャンになる。なんて夢を持ったお子さんがyoutubeで手品を覚えている場合、このデメリットは教えておいてあげてください。
youtubeを見るのを止めろという必要はありません。こういうことがあるよとだけ説明はしてあげてください。確実に選択肢のいくつかは失います。
あとは単純に、上手い人が居ないからってのもあります。
ステージ・マジック/イリュージョンを覚えたい
覚え方の流れ:人→本・道具購入
例外になります。
ステージ・マジック/イリュージョンは初心者向けのコンテンツがほぼ存在していません。
大きな団体に所属して演じることが出来る人に教わる、プロに弟子入りする、という方法が一般的です。(大学のサークルなんかでは、代々用具が受け継がれているケースが多いようです)
基本的な事が出来るように慣れば、あとは本などに載っている物を自分で作ったり(生半可な技術では不可能ですが)、市販されている道具を購入・オーダーメイドして演じることが出来るようになります。
マジックを始める前のまとめ
以上、ここまでの内容はすべて守れというわけではありません。あくまでガイドライン的なものとしてお考えください。
マジックを始めたいときや、お子さんや友達がマジックを始めたいと言い始めたときには参考にしてみてください。