所感:「C10」by Dani DaOrtiz

2020-06-19

「C10」とは?

Dani DaOrtiz氏の本。
原著は2013年発行、日本語版は2019年にスクリプト・マヌーヴァからPDF版として販売されてた30Pの冊子。
「C10」と氏が名付けている原理、4枚だけを覚えて利用するシステムを解説している。

所感

  • 非常に有用な原理。アイディア自体はモリス・サイデンスタイン氏によって1937年に発表されている。
  • 観客の目の前でセットする方法や、観客にシャッフルさせてからセットする方法も解説。
  • トップ・ボトムの表記がたまに混乱する。
  • トリックの解説はあっさり目。

冊子全体の2/3は、「原理の説明」「観客の目の前でのセットアップ」「シャッフルさせてからのセットアップ」に費やされているため、理解出来ない・習得出来ないということはない。
多少トップ・ボトムの表記に混乱することがあったが、理解に支障はないと思う。(日本語でトップ・ボトムの表記見ると混乱するのがわたしだけな気もします)

セット解説の濃度と比較すると、トリックの解説はかなりあっさりしており、氏の演技を観たことない人であれば「実演したい」と思えないかもしれない。

メモライゼーション
記憶術のデモンストレーション。
バーノンのアイディア(ダニはうろ覚えだが確か、と記している)とC10を併用した記憶術。
使いこなせれば非常に不思議だと思うが、自身を持って行えるようになるのは大変そうである。
実演できちんと観たいトリック。

セミ・メモライゼーション
メモライズド・デックとC10を組み合わせた記憶術。
観客にシャッフルしてもらったにも関わらず、デックのほぼすべてを言い当てたかのように思わせれる。

「触らない」カード・トゥ・ナンバー(ACAAN)
C10を利用した「エニー・カード・アット・エニー・ナンバー」。何故か目次に記載がない。
カードの選ばせ方は「ダニがやれば自由に観客が口にしただけ、と思わせれるのだろうなぁ」といった感じ。
「カード・アット・エニー・ナンバー」として演じたとしても通用するので、それで妥協するのも手かもしれない。

テンス・オープン・プレディクション
C10を利用した「オープン・プレディクション」。
観客に配ってもらうので非常に不思議。予言の提示の仕方はルーク・ジャーメイの「GAME」を彷彿とさせる。
説明できないトリック」のピースのひとつに、C10は非常に有効だと思った瞬間である。
氏のDVD『Lennart Green & Dani DaOrtiz』で実演を観ることが出来る。


2デック・プレディクション
2デック使った予言。観客が指定した枚数目のカードと、もう片方のデックから自由に選んでもらったカードが一致する。


メモライゼーション(裏向き)
観客にデックを混ぜてもらった後、「裏向きで並べたカードを覚える」というジョークから、実際に当ててしまうという手順。
マジシャンがコンビであれば、パートナーに当てさせる、ということも可能。

最後に

非常に有用な原理、ぜひとも使いこなしたいところ。
氏のDVD『Lennart Green & Dani DaOrtiz』や『RELOADED』の中にも「C10」の解説があるので、そちらで実演を観て気に入ったら詳しく知る意味で購入するもの良いと思う。(『RELOADED』は未見なのでどの程度解説されているか分かりませんが)

商品の解説から、簡易的なメモライズ・デックのように思っていたが、「テンス・オープン・プレディクション」のところでも触れたように、「説明できないトリック」に用いられる手法と相性が良いと思う。

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