1939年、ANNEMANNが生前に出した最後のまとまった原稿。
翻訳したもの(Fantia)
翻訳したもの(Creatia)
INSTO-TRANSPO
観客のイニシャルをサインしたカードを観客のポケットに、演者のサインしたカードを演者のポケットに入れるが、2枚が入れ替わり、観客のポケットから演者のカードが、演者のポケットから観客のカードが出てくる。
サインしてこそ輝くトリック。
このトリックから、心理的に嫌と感じやすい操作を抜いて、カジュアルに構成しなおしたらHarapan Ong氏の「偸天換日」(王房四宝収録)になるかなと。
STOP
サインしたカードをデックに戻し、観客に数字を思い浮かべてもらい、1枚ずつ「思い浮かべている数字は1ですか?」と質問しながら配っていく。観客が思い浮かべている数字のときにトップにあるカードがサインしたカード。
わたしがこのトリックを知ったのは、松田道弘著の「あそびの冒険4 ミラクル・トランプ・マジック」なんですけど、やっとこさ原著を読んだってところです。
翻訳だと大事な部分が訳されていなかったりし省かれていたりすることがありますけど、あそびの冒険に記載されているやり方は割と忠実のようです。
あそびの冒険では結びの言葉として、アイディアは秀逸だけど実用的ではない、演じている人を見かけないのは演者の技術的負担が大きいのと、テンポがスロー過ぎるからだろう。ということが書かれていましたが、現代の感覚だとこのトリックで使用する技術を負担と捉えることはないというのと、演出がそもそも、観客が想像するテクニック的な部分を否定するためという内容になっているようなので、松田氏が演じている人を見かけなかったのだとしたらそれは、ギミックをわざわざ使うのを面倒臭がったり、手品を見すぎたせいでスローテンポの演出に耐えられなくなったアマチュアが周りに多かったのではないだろうか?と思う次第です。
アマチュアよりも、手品を見慣れていない観客に見せる機会が多い人向けの手品だと思いました。
THE DOLLAR – CIGARETTE CHALLENGE
紙幣のシリアルナンバーを控えてもらい、その間に演者は未開封のタバコを開けて1本取り出して口に咥える。紙幣を返してもらったら、折りたたんで封筒に入れて火を点けて燃やしてしまう。
紙幣が消えて、演者がずっと咥えていたタバコから出現するというトリック。
似たような現象はいくらでもあるのでこのトリックを選択する必要はないと思うけれど、ここまで細部まで考えた類似手順はないかもなぁと。
後継作品は、このトリックからサトルティを削って簡素化しただけだな、って言えるかもしれない。
準備した紙幣を持ち出すことを正当化するセリフ回しがあったり、未開封の箱から取り出したタバコに、すり替えできないように印付けてもらったり、封筒からは紙幣がずっと見えている状態で燃えていくし。
似たような手順を演じているなら、削ったり足したりして良くするための参考資料として使えるんじゃないかな。
REMOTE CONTROL IMPROVED
青裏のデックから1枚、表を見ずに選び裏にサインをしてもら、このカードを赤裏のデックの中に入れる。観客に赤デックから1枚選んでもらうと、それが先程裏にサインした青裏のカードである。
Orville Wayne Meyerが発表したトリックを、アンネマンが少し改案したものだとか。
似たトリックだと、John Mendozaの「Famale」(DVD『John Mendoza My Best vol.1』収録)くらいしか思い出せないけど、こっちはデック自体が専用になってしまうけど、1デックで出来るので便利かも。
アンネマンの改案は、原案ではギミックカードを使っていたのをレギュラーにちょっと細工することでどんなデックでも出来るようにした感じ。
人によっては問題にならないかもしれないけど、わたしはデックに1枚だけコンディションの違うカードが入ったりするのが嫌なので、演じるならばJohn Mendozaのように専用のトリックデックにしてしまった方がやりやすいかなって思ったり。
My Best – Volumes 1-3 By John Mendoza(Vanishing inc.)
THE ACCESSORY
フォーシング・バッグの代わりになる小道具のアイディア。
凝ったフォーシング用の道具は演じる状況によっては場違いで、イケてる最近のマジシャンはこっそりこういうアイテムを使ってるで!って話。
そうだね、デビルハンカチーフだね。
ハンカチを検めたりするななどのtipsから、Al Bakerの影響(追われてもないのに逃げるなって名言とか)を強く受けてるのを感じます。
MENTAL DOLLARS
数人の観客に紙幣を取り出して折り畳んでもらい、混ぜて1つ選んでもらったら、選ばれた紙幣のシリアルナンバーを透視して当てる。
紙幣のシリアルナンバーを当てる手順。上記のデビルハンカチーフを使ったアイディアも使える。
演者が紙幣に一切触れないのと、それ以外の原理とも組み合わせているため不思議だと思います。
似た演技の参考にでも。
‘NUMBER, PLEASE’
電話帳を使ったブックテスト。
数字が書かれた謎チップから選んでもらって、その数字のページ、その数字の行数目の名前・電話番号を当てる系ブックテスト。
これもデビルハンカチーフを使える手順。
ブックテストでこういったフォースを使うのはどうかと思うけど、クライマックスで当てる情報の開示の仕方は盛り上がるなぁとは思います。
SENSITIVE THOUGHTS
シャッフルしたデックを2つに分けてもらって2人の観客に渡し、観客Aには数字を決めてもらい、観客Bにはパケットを見てカードを1枚覚えてもらう。演者はAの言った数字の枚数目にあるカードを当てた後、Bの見たカードが何枚目にあるのかを当てる。
セットが必要だけど、セルフワーキング。
演者はほぼデックに触らないけど、観客に操作してもらうことがことが多く、ちょっと間延びしそうな感じはある。
ただ、パケットが相互にカンニングペーパーとして機能するのは面白いですねと。片方のパケットをカンペに使うのはたまに見かける気がするけど、相互に使うのは見覚えがないなぁっと。
THE CARD DOCTOR
選んでもらったカードにサインしてもらい、端をちぎって渡し、残りはバラバラに破いてしますが、復活します。
アンネマンのトーン&レストア。
わたしはこのアイディアをダニ・ダオルティスのDVD『UTOPIA』で知りました。
その後、Dani’s Collection of Weaponsの3「ECHO」でこの原理を全面に押し出して色々やってるので興味がある人はどぞ。
また、手順で使うオブジェクトが演出で噛み合っていてよく考えられているなぁと。カードドクターってタイトルは、破いたりする理由付けにも通じているので、T&Rに凝った演出を求めてる人は参考に出来るかもしれません。
Utopia (4 DVD Set) by Dani DaOrtiz(Vanishing inc.)
Dani’s Collection of Weapons(video) by Dani DaOrtiz(Vanishing inc.)
SLATES AND ACES
1人の観客にデックを渡し、もう1人の観客と演者はスレートを1枚ずつ持つ。デックをシャッフルして4枚のAを探して1枚ずつ取り出してもらうが、見つかるたびにスレートを持った2人はカードの名前をスレートに書いていく。Aを4枚とも取り出したら、演者の持っていたスレートには観客のサインを書いてもらってから、窓の空いた封筒に入れておく。4枚のAから1枚をランダムに選んでもらったら、観客が持っていたスレートに書かれた名前から、選ばれたAの名前を残してそれ以外の名前は消してもらう。封筒に入れたスレートを取り出すと、同じように選ばれたA以外の名前が消えている。
幽霊が文字を消すという、スピリチュアルな演出が付いたトリック。
こういった演出が自分の雰囲気にあっていれば良いネタになりそうではある。
スレートとセットになったあのギミック、そうだね、フラップだね、を使うんだけども、ちょっと細工が必要。ちょっと他のスレートを使ったトリックと兼ね合いが・・・と一瞬思ったけど、フラップを使うスレートのトリックってどれも連続で使うことは無いし、問題はないか、と自己完結した。
余裕があれば、フラップを2枚持っておいて1枚にはこの細工しておくとかいいのかもしれない。同じ原理のトリックは今でも見かけますし。
最近はスレートを持ってるやついねぇよ!ってなりそうだけど、私は入手してしまったのでいつか使ってみたいなぁと思わんでもないのだ。
ちなみにだけど、やろうと思えば厚紙とかでも出来なくはないと思いますじゃ。
POKER PLUS
3人分のポーカーハンドを配り、演者のハンドを見せたあとに1人目の観客のハンドを見ると微妙に負けているが、演者のハンドを再度見せるとハンドが少し変わり、1人目の観客よりも強くなっている。しかし2人目の観客のハンドを確認すると演者のハンドは負けているが、また広げ直すとまた変わり、強くなっている。
ポーカー演出のトリック。
流れは綺麗だけど、変化が地味すぎるかなぁと思わないでもない。あからさまじゃないところが実際に使われてるイカサマっぽいと言われればそうだとけども。
スライト的に変更する余地がたくさん残っているので、当時は色々なマジシャンがヴァリエーションを考えたりしてたんだろうなぁ。
このトリックを変えていったら、往年の名作パケット・トリックである「ギャンブラーズ・ドリーム」みたいになるのかなぁって思いましたまーる
翻訳がだいぶ雑です、すまない。意味はわかるけどもっといい表現ないかな・・・もう機械翻訳でいいや。みたいな妥協した。*翻訳したものの出来についての話。
THOUGHT, IN PERSON
観客にカードを見せて1枚思い浮かべてもらってから、デックを渡してシャッフルしてもらう。その後、観客の思い浮かべているカードを当てる。
アウト・オブ・サイトーアウト・オブ・マインドのような、思い浮かべてもらったカードを不確定な要素を用いずに当てる系のトリック。
思い浮かべてもらったあと、カードを見せて思ったカードはありますか?っていうフェイズ、現象の説明ではカットしてるけどあります。
アウト・オブ~と比較する感じにすると、「THOUGHT, IN PERSON」は思い浮かべてもらったあとに観客にシャッフルをしてもらえる点、カードのフェイスをピークする必要が無い点、ブレイクなどを保持する必要がない点あたりがメリットかなと。
デメリットは、ワンウェイ的な性質を持ったデックが必要なので、借りたデックではしづらい点、状況次第では最後当てるときの対処が変わる、解説が雑なあたりだろうか。
アンネマンはワンウェイ好きですねー
MENTAL HEADACHE
シャッフルしたデックから何枚かパケットを抜き出してもらい、そのカードをすべて記憶する。その後、観客に1枚だけ抜いて隠してもらい、記憶を頼りに抜かれたカードを当てます。
いわゆるクロッキングを使ったトリックの解説。
クロッキングを使うトリックの中では難易度は低い方(はず。そもそもそんな知らないけど)なので、興味がある人は練習がてらこれから初めてみると良いかも。
クロッキングって、Max Maven氏の『KAYFABE』くらいでしか解説見た覚えないですけど、他にどんな資料に載ってるのですかね( ˘ω˘ )
所感:「KAYFABE Disc3 AUTUMN by Max Maven」
所感:「KAYFABE Disc2 SUMMER by Max Maven」
所感:「KAYFABE Disc1 SPRING by Max Maven」